誰が言い出したのか知らないが「ユビキタス社会」という言葉。今日もテレビのスイッチを入れたとたんに耳に飛び込んできて卒倒しそうになった。「ユビキタス・コンピュータ、ユビキタス・ネットワークの実現された社会」という意味で使われているようだが、「ユビキタス」という言葉の使い方が思いっきり間違っているのでやめて欲しい。
ユビキタスとは「遍在する(あらゆるところにある)」という意味の形容詞。ゆえに、ユビキタス・コンピュータ、ユビキタス・ネットワークとは、コンピュータやネットワークがあらゆる所に存在する状態のこと。それが分かっていれば、ユビキタス・サービス、ユビキタス・コンテンツなどの応用もきく。
何かがユビキタスになったのは決して最近のことではない。先進国において、電気、水道、都市ガス、舗装道路などがユビキタスになったのは何十年の前のことである。逆に、ユビキタスだったものがそうでなくなる場合もある。公衆電話はある時期はユビキタスだったが、携帯電話の普及とともに見つけにくくなった。ゴミ箱は地下鉄サリン事件以前はユビキタスだったが、今や探すのが一苦労だ。
そこで問題になるのが「ユビキタス社会」という言葉。ユビキタスは形容詞なのだから、文字通りに解釈すれば「遍在する社会」ことになってしまう。これでは意味をなさない。まったく同じ理由で、「ユビキタス時代」、「ユビキタス世代」、「ユビキタス環境」も誤用。
「『ユビキタス』と言えば『ユビキタス・コンピュータ』のことに決まっているじゃないか」という声も聞こえてきそうだが、そんな誤解をしているのは、一部の日本人だけ。百歩譲って、「それは和製英語」とわりきるのも手だが、そんな誤用を普段からしていると、英語の文章を書く時に、"ubiquitous society"などとついうっかり書いてしまって恥を書くことになるから気をつけた方が良い。実際、"ubiquitous society"でググって見ると、わんさかと英語の論文が出てくるが、どれもこれもが日本人の書いたもの(参照)。アチャー、指摘するのが遅すぎたのかも知れない…
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