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シームレス・コンテンツ

2006/04/10 09:13
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中島聡

Microsoftでチーフアーキテクトを務めた経験を持つUIEvolution CEOの中島聡氏が、「Web 2.0」と呼ばれる新しいネット時代のサービスのあり方や、ライフスタイルの変化について考察します。
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 このCNET Japanでも報道された「松下電器産業とスクウェア・エニックスの提携」。提携の核になっているミドルウェアSEAD EngineがUIEngineの上に作られていることもあり、私のところにも問い合わせが数多く来ている。

 まず最初に説明しなければならないのは、発表記事の中で使われている「シームレス・コンテンツ」という言葉。私が今まで「パーベイシブ・アプリケーション」と呼んでいたものと100%同じと考えていただければ良い。パーベイシブという言葉が日本人になじまれていないことと、コンテンツという言葉の方がスクエニのビジネスを考えた時にしっくりくるというマーケティング上の理由で呼び方を変えただけのことである(個人的には、パーベイシブ・アプリケーションもしくはパーベイシブ・サービスという呼び方の方が好きなのだが…)。

 何人かの人に「具体的なコンテンツや対象となるデバイスのアナウンスではないんですか?」という質問をされたが、そんな人たちには「具体的なコンテンツの話ではない所が重要なんです」と答えている。今までの常識から考えれば、「パナソニックのテレビ向けにスクエニが○○を配信!」というニュースの方がインパクトがあるのだろうが、UIEngineの目指すところは、そもそもそういった「特定のデバイス向けにコンテンツを造りこむ」というビジネスモデルからの脱却にあるので、まずそこを理解していただく必要がある。

 せっかくの機会なので、パーベイシブ・アプリケーション(もしくはシームレス・コンテンツ)の時代とはどんなものなのかを簡単にまとめてみよう。

1.特定のデバイス向けにコンテンツやアプリケーションを作りこむのではなく、最初から色々な種類のデバイスに向けて提供することを前提としたビジネスモデルの上にコンテンツやアプリケーションを作る時代になる。当然、そこには、単にOSやCPUの違いだけでなく、画面サイズ、入力装置、CPU能力、メモリー量、ネットワーク遅延、サポートされているメディア・フォーマット、などのさまざまな違いを考慮したアプリケーション・アークテクチャが必須である。UIEngineなどのミドルウェアは技術面で重要な役割を果たすが、それ以上にビジネスモデル(=売り方)、アプリケーションやコンテンツの作り方も根本的に見直す必要がある。

2.基本的に全てがウェブ・アプリケーションとなる。アプリケーションを明示的にデバイスにインストールしたりダウンロードしたりする時代は終わり、全てのアプリケーションがTVのチャンネルを切り替えるのと同じぐらい簡単にアクセス可能になる。「アプリケーション・オン・デマンド」の時代である。メモリーカードやハードディスクにユーザーのデータを格納する時代は終わり、全ての状態やデータはサーバーに保持され、ローカル・ストレージは単なるキャッシュになる。これにより、コンテンツやデータが本当の意味で「ユーザーに帰属する」時代になる。

3.「特定のハードウェアの能力を最大限に利用する」という作り方から、「ユーザーが複数のデバイスを通じてコンテンツやアプリケーションにアクセスすることを前提として、トータルでのユーザー・エクスペリエンスを最適化する」という作り方に変わる。3Dポリゴンをいかに美しくみせるか、に費やしてきたクリエイティビティを、テレビからでも携帯電話からでも同じサービスにアクセスできる時代にはどんなユーザーエクスペリエンスを提供すべきか、という部分に発揮する時代である。

4.コンテンツ・ビジネスはサービス・ビジネスとなる。何年もかけて大規模なタイトルを作り、短期間で売りさばいて開発費を回収する売り切り型のビジネスモデルから、サービスとしてコンテンツを提供し、ユーザーの反応を見ながら改良や機能追加をし続けるサービス型のビジネスモデルへと変化する。

 スクエニがUIEngineという技術を持つUIEvolutionを買収したのは2004年4月のことである。「なぜゲーム会社が組み込みデバイス向けのミドルウェアの会社を買収するの?」と不思議に思った方も多いと思うが、これで少しは理解していただけるのではないかと期待する。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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