CNET読者ブログをしておられる熊澤さんに、僕の前回のエントリ、「帝国海軍とiPod」に関する的確なご指摘を賜りました。せっかくCnetの中でブログをやらせていただいてるので、このご指摘について触れてみたいと思います。
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第一に、僕の前回のエントリにおける文春の対談からの引用は、従来のテーマ設定から推論しても、その意図・論旨が理解でいきないとご指摘いただいています。お恥ずかしながら、論理的に読み込めば、そのとおりと思います。例えば、「国」の話と、「プロダクトデザイン」の話には大きな落差がありますし、帝国海軍を問題にするなら、まずは、「今の霞が関」をこそ比較対照させるべきだろうというのは、正しいご指摘と思います。
ただ、前回のエントリは、こういう対談があることを広くご紹介したいと思って書きました。色々な方に広く読んでもらいやすい内容だと個人的に感じたからです。しかし、頂いたコメントなどを見ていますと、詳しい方が多いことがよく分かりました。そういう方には不満の残る内容だったと思います。申し訳ございません。また、対談の内容の当否についてご関心をもたれた読者の方に更に正確な文献をご紹介できるほど詳しい歴史的知見は、自分にございません。何卒お許しください。やはり、公の場で歴史を語るって、なかなか難しいことですね。
これだけ見ても訳が分からないと思いますので、まだご覧になられていない方は、お時間が許せば、是非、前回のエントリをご参照いただければと思います。
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第二に、熊澤さんには、「iPod問題」という僕のテーマ設定について、自分の最初のエントリよりも正確に書いていただいているように思います(苦笑)。例えば、 熊澤さんには、冒頭に近い部分で、このテーマを、次のように整理していただいます。
組織を「機能組織(Functional Organization)」にするのか「プロジェクト組織」にするのかということであり、「iPod」を引き合いに出したい気持ちは「価値連鎖(Value Chain)マネジメント」のことではないか
価値連鎖のマネジメントをどう再構築するか、というのが僕の問題意識であることは間違いありません。そのために、プロジェクト組織への転換が大きな課題の一つだと思っているのも、ご指摘のとおりです。まだ先の方で書こうと思っていたのですが、先にきれいに整理していただいた感じです。
ちなみに、プロジェクト組織への転換については、個人的に感じていることが二つあります。
第一に、自分もソフトウエア産業政策を担当していたので、PMBOKについてはそれなりに勉強をし(冨永さんにも大分厳しくご指導いただきましたが)、その結果、ソフト開発はもとより行政にこそ、早急にきちんとしたプロジェクト管理を導入して、プロジェクト組織を志向すべきと感じました。
その後、自分自身でも、省内業務のプロジェクト化を進める、せめて、プロジェクトチャーターくらいは主立った業務毎に作成してみるなど、あがいてみましたが、これがなかなか難しい。経緯的に引きずっていてやめられない業務の整理や、人事制度との不整合など、典型的な初歩的課題というか構造的課題が噴出し、今もなお、あがいている最中です。まあ、結局は、組織論だけみていても、組織論すら解決できない、みたいな感じでしょうか。ただ、プロジェクトマネジメントからは、実にいろいろなヒントを頂いたように思っています。
第二に、結局、プロジェクト組織への転換や「プロジェクト型の横風」だけでは価値連鎖のマネジメントの再構築には、なかなかたどり着けないということです。そこには、考えれば考えるほど、一つ一つのミクロの現場のプロジェクト組織化から、より大きな市場構造まで、実に色々な要素が絡んでいます(考えなくてもそうかな・・(苦笑)。 このため、一つ一つの問題を課題解決型に虱潰して積み上げていくというアプローチだけでは限界があるなと感じています。
特に大きいのは、マーケティング及びマスコミ・広告市場の構造問題ではないかなと思っています。この点については、またおいおい、少しづつ触れていきたいと思います。
熊澤さんには、先ほどの部分の後に、更に次のように僕の問題意識を整理していただいます。問題の構造の広がりについても、難しさについても、よくお感じになられているのではないかと拝察いたしたので、勝手ながら、引用してみます。
村上さんの「日本のタテ割り産業をヨコにつなぐこと」というテーマを言い換えると、「機能組織型に固定してしまっている感のある日本のタテ割り産業界に、企業の垣根を超える、決断の早いプロジェクト型のヨコ風を送り込みたい」と言うことと、「プロジェクト型の風」で「価値連鎖」の「顧客満足度(サービス)、マーケットシェア、収益、生産性」などを極大化する方向にもって行き、日本の産業界を活性化させたい、ということではないかと思う。
しかし、組織論の如何に関わらず企業活動の本質的問題は、価値の源泉であるマーケット・ニーズが民族や国家・法律・文化、ライフスタイル、地理的環境、等々により多種多様に異なることで、これをどの様に取り込み、ロール・アウトするのかという古典的なことであるので、組織論は支援手段の一部でしかないということである。
と同時に、企業活動の最終目標は、誰がどれだけ儲けるかということであるため、新しい「ヨコ風」も儲けの分配の壁をくぐりぬけるのは容易なことではないであろうと思っている。
ほんとに、難しいです。(苦笑
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第三に、行政にこそ、この時代の反省が引き続き活かされず残っているのではないか、というご指摘です。この部分は、僕がこの対談を読んだときに、何より大きく感じたことの一つであり、仰るとおりと思います。熊澤さんが敢えて、僕のエントリをご自身のブログに取り上げようとされたのは、「それを申し上げずに産業のタテ割りだけ触れるのはとフェアではない」という思いを強くもたれたということかと思いました。
ちなみに、お恥ずかしながら社会人になったばかりの頃は、海軍省なんて歴史上の過去のもので、今の行政には関係ないんだと思っていました。ところが、勉強してみると、人事、意志決定その他が驚くほど似通っている。最初にそれを知った時には結構ショックでした。例えば、各艦の艦長さんや艦隊の司令長官が1〜2年周期くらいで替わってしまう、どこの艦隊司令長官は次はだいたいどういうポストに行って、これらと海軍省内局との距離関係はどうしたこうしたで、仕事の仕方ではどうしたこうした・・・・・って、うーーーん、これって今に繋がるものも多いなと。。
例えば、最近、嶋田海相の日記が発見されて話題になったと思いますが、それと対照的に好意的に語られることの多い米内海相(阿川弘之さんの著作や、更に贔屓目ということでは実松譲さんの著作など)に関する著作なども、行政官としては、読むと勉強になると感じています。
これらは、現実を直視し開戦をとどめようとする彼の必至の取組を英雄的にすら感じさせる側面がある一方、冷静に考えると、その米内大将ですら、行政の仕組みの問題からは逃れられず、事態は変えられなかったという厳しい現実を露呈しただけだとも感じます。それが行政の仕組みの問題だけなのかといった問題は別途あると思いますが、現状に対する危機意識を正確に持つためにも、このあたりの事実関係を今の行政を担う行政官が正確に理解しておくことは、大事なことだと思います。ちなみに、米内大将については、個人的にはある面大変尊敬しておりますが、その言動・業績については、中国時代をはじめいろいろな評価がございますので、念のため申し上げておきます。
正直なところ、自分は立場上、行政自身のタテ割り問題については公の場で討議しにくい場合が多いのが実態です。また、行政のタテ割り問題については、外部に向けて指摘しているよりもむしろ、自分自身、内部で解決に向けて動いていくことが責務と感じています。
しかし、ブログで直接触れる機会が少なくても、そこを問題でないと思っているわけではありません。この点については、このブログ全体のテーマとの関係でも、一度、正直に申し上げておく必要があると思っていました。今回は、そのきっかけを熊澤さんに提供していただいた形となりました。ありがとうございました。
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さて、こういうやりとりがCnetブログの中で起きるのは、編集部の意図にもかなっているのでしょうか?今回は、そんな思いもあって、コメントではなく自分のエントリで大きく取り上げてみましたが、これ以上、素人が歴史とiPodを牽強付会に結びつけていると、更にご叱責を賜りそうです。その点は反省して、次回は、また別の切り口から、ネタを探したいと思います。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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