最終更新時刻:2008年10月7日(火) 13時05分

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IGF2日目雑感 〜 CIRとIPv6

公開日時:
2007/11/14 18:33
著者:
村上敬亮

 IGFの二日目が終わりました。その雑感をご報告します。IGFそもそものについては、昨日、ややくどくどと紹介しました。初めて触れる方は、恐縮ですが前回のエントリと併せてご覧ください。今回は、会場をうろうろしていて、いくつか、面白いなと思ったお話を。

 

1.Ciritiacl Internet Resource 

 ご案内したとおり、IGFは、インターネットガバナンスを巡る南北対立的背景から生まれてきました。ですが、IGFも最初から、ドメインネームをはじめとしたインターネットのリソース管理問題に直接入ると、混乱が増幅する可能性もあります。このため、世界情報通信サミットでIGFの設立を合意した際には、Diversity, Openness, Access, Securityの4つをテーマとして議論するということで、リソース管理直球の部分は避けるような課題設定がされていました。

 ところが、第一回のIGFでは、南北対立的要素は厳しく残ったそうで、中国等の激しい主張によって、第5のテーマとしてCritical Internet Resourceというテーマが新たに設定されました。何がCIRかはそれ自身定義しないというところで調整を図ったんだと思いますが、今回、そのセッションがどのような展開となるか、参加者もみんな注目をしていたように思います。

 しかし、結論から言うと、そんなに厳しい対立はありませんでした。同じセッションにパネリストとして出ていた、TCP/IPの生みの親として有名なVintCerf氏(現在、Googleのチーフエヴァンジェリスト)や、ややまた違うことを言うシラキウス大学のMuller教授などの応答が注目されたと言えば注目されていましたが、つっこむ側の指摘は穏やかで、特に荒れることなく、セッションが終了。

 おそらく、セットアップされた方々が相当事前にご苦労されたのではないかと思われますが、それにしても、この一年で何が変わったのか、ちょっと興味をそそられました。

 例えば、中国。正確な人数はわかりませんが、相当な人数の代表団が来ており、個別のWorkshopでは若い女性が積極的にモデレーターをして全体の議論をリードするなど、インターネット文化の中に潜り込んだ立ち位置での議論が目立ちました。インターネットって、やっぱり物理的な設備というより、使ってみて徐々に実感してくる文化だと思うのですが、多少は、こうしたインターネット文化が、世界中の人たちにも浸透してきたということなのでしょうか。逆に言えば、そこまで目くじらを立てなくても、国家として関与する方法は別途あるとい言うことなのでしょうか。。。

 確かに、ある中国人の学者先生は、あるセキュリティカルチャーのWSで、「CIR的なものへのアクセスビリティも含めてLongDistanceがある」といったような趣旨の発言をしていたので、別に不満・不安が全くなくなったというわけではないんだと思います。でも、それも非常に穏やかな指摘の仕方でした。何かが変わったのかなあと、ついつい、楽観視してしまったのですが、それが本当なら、結構面白い話ではないかと思います。

 

2.IPv6

 CIRが肩すかし的になる一方、今回発言が目立つなあと感じているのは、IPv6への移行問題です。国内で感じていた以上に、世界は V6への移行を早期に対応が必要な現実的な課題として議論している印象でした。

 もちろん、国内にもv6を視野においた動きはたくさんあるわけですが、どうも、RFID関連にしても、NGN周りにしても、オープンに議論する風潮が国内にはあまり無いような気がします。その点、米国を中心に、こういう場所を使って、みんな課題をあけすけに(それでも肝心なところは言ってないんだと思いますが)語っているのを見ると、日本は、まだまだ、政策論議の後進国だなあと感じました。

 別に、日本の関係者が意図的に隠しているとは思いません。だけど、欧米は、こういう話をオープンなところで議論するのが上手ですよね。場の設定も含めて。だからこそ、行政内部がクローズに議論しているという印象も残らない。日本だって、行政にも悪気があるわけではないのですが、どうやってオープンに議論を進め、どうやって肝心な部分を個別に調整するかみたいなコミュニケーンノウハウは、もっと世界標準的なやり方に近づけていく必要があるなと思いました。

 もちろん、そういう意味では、欧米の識者も、肝心な部分については実ははっきりと言ってないんだと思います。指摘の内容は、v6移行時の技術的な問題に加え、ドメインネームの配布方法、独禁法との関係、多言語ドメインへの対応、ドメインネームを巡るローカリティをどこまで許容するかなど、これまでも聞いてきたような話がほとんどです。おそらく、これらの言い方が微妙に変化してきていて、従来の彼らの言説と今の説明の仕方を重ね合わせて読むと、本当に何が言いたいのかがはっきりわかる、そういう暗号のような世界なんだと思いますが。

 そうそう、VintCerf氏も自分のリマークで触れていたので、チェックしてみると良いと思います。このページの中程(3人目)くらいにあります。彼のこの問題への触れ方も、参考になると思います。

 

3.その他

 その他にも、いくつか目立つ指摘はありましたが、まだ二日目なので、全体の印象と言っていいのかどうかはよくわかりません。

 例えば、セキュリティの人材育成不足やCert/CCのネットワークなどを介した国際連携の重要性、セキュリティのインシデントに対する司法・警察の対応(情報は持っていても実際に検挙するのはなかなか難しい。制度の弱い国があるとそこが抜け道になるなど)などは、あちこちのセッションで多くの人が指摘していたように思います。

 多言語対応の問題も熱いですね。国連の会議らしいなと思いました。大体は聞いたことのあるような話ですが、多言語対応を義務づける対象となる言語の定義をきちんと法的スキームの上にのせてはどうかという話が出ていたのは、少し新しいかなと思いました。

 また、直接聞いていないので中身をご紹介できませんが、Protecting Children from Sexual Exploitation Through ICTsというWSが大変盛り上がっていたようです。市民社会代表が多いと言うこともあるんだと思いますが。。

 

 更に詳細にご関心のある方は、自分のラフな説明よりも、IGFのホームページのメインセッションの議事録を通読して頂くのがよいと思います。メインセッションと4つ以上のWorkshopが平行して動く形式でやってますので、自分も全部はフォローできてません。メインセッションには、必ずReportbackというセッションが設けられていて、各WSからの報告も入っていますので、時間がある方は、そこを丹念に眺めると、まあ、こんな議論か・・・という感じがすると思います。

 以上、せっかくのブログなので、2日目の印象を。。。

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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