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CNET Japan ブログ

はじめに 〜 日本は何故iPodに負けるのか

2007/10/14 10:39
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プロフィール

村上敬亮

長年、官の立場からIT業界に携わり、政策の立案、実行をしてきた経済産業省 資源エネルギー庁の村上敬亮氏が、ITやエネルギー、様々な角度から、日本の発展のための課題や可能性について語ります。
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 本年7月、情報産業担当へ帰任したのを機にCnet編集の西田さんとお会いしたところ、一度、ブログを書いてみないかとのお誘いを頂戴しました。行政という仕事に長く携わっていると、簡単なことも小難しい日本語で書く悪い癖がつく場合があります。僕の場合、内部ですら、「わけがわからん。」と言われることが多いので(苦笑)、Cnetの水準に見合った質で、読んで理解できるブログが本当に書けるのか心配です。しかし、せっかく頂戴した機会なので、やらせていただくことにしました。よろしくお願いします。

 実は、公開ブログを書くのはこれが2回目です。前回は、短い間でしたが、独立行政法人 経済産業研究所の協力を得て、業務として、e−Lifeブログと題した情報産業論をさせていただきました。その時は、こんな絵を描いて、色々な方からコメントを頂きました(さすがに少し古くなってます。お許しください。)。

 正直に申し上げますと、e-Lifeブログを始めたときは、業務として取り組んでいたこともあり、どのようなコメントを頂けるのか凄く不安でした。しかし、蓋を開けてみれば、SPAMもどきの洗礼は頂戴したものの、誹謗中傷のようなコメントは皆無。むしろ、審議会等の場でも頂戴できないような真摯なご意見を頂き、ネットの実力を実感したものです。

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 さて、今回は、あくまでもプライベートの活動として、ブログを書きます。僕にとっては、業務に縛られない分自由に書ける楽しさがありますが、読んでいただく皆様には、経済産業省の公式見解とは何の関係も無いという意味で、ご期待に添えない部分もあるかもしれません。その点は、お許しください。

  僕の個人的なテーマは、日本のタテ割り産業をヨコにつなぐこと、です。情報産業で言えば、Walkmanを作った国が、何故、iPodに負けるのか、というのが最近の中では良い題材だと思います。Cnetの読者の皆さんならご存じのとおり、機器単体の機能としてみれば、軽さ、電池の持ち、音質をはじめ、iPodより優れた日本製品はたくさんあります。また、iPod自身も、日本製の部品を沢山使っています。むしろ中身の半分弱は、日本製といっても良いかもしれません(ちなみに、iPhoneでは日本比率は相当下がったようですが)。それでもなお、iPodは売れ、アップル社は高い収益力を誇っています。何故でしょうか。

 この問題は、プロの間ではすでに語り尽くされた感がありますが、それでもなお、様々な課題を整理する上で、また、広く知られているという意味で、僕はオープンな場で議論する良い題材かなと思います。念のため申し上げますが、決して、iPodが売れていること自体が間違っていると言いたいわけではありません。現に、僕自身、iPodユーザの一人で、大変に重宝しています。ただ、テーマとさせていただいた「情報産業の未来図」に対する思いを整理するには大変良い素材ではないかなと思うんです。何故なら、一度「製品」として縦に区切られて品質競争に持ち込めれば圧倒的に強くても、横断的にビジネスを統合しデザインしていく戦略の部分ではなかなか勝てない、日本の産業構造の難しさが、典型的に現れているように思うからです。iPod問題を契機に提起できると思う議論の切り口は、書きながら整理が変わっていくかもしれませんが、以下のとおりです。

? 産業分野横断的なビジネス戦略に弱い日本企業
  「技術」信仰による呪縛。イノベーションに対する誤解。
? クローズなアーキテクチャとオープンなアーキテクチャの比較。
  iPod型か、亀山型か。その優劣とは。
? それでも強い、日本の部品産業、装置産業。
  新潟から見えるiPodな風景。
? サービス指向なビジネス戦略。
  「品質」よりも「信頼」に強くなるために。
? よりマクロな社会的価値観の設定とIT革命の第二ステップ。
  アルチザンの再来。

 iPod問題と同じ構図は、実は、90年代を通じて、プロプライエタリな日本のコンピュータ機器が、マイクロソフトの主導したビジネス戦略に負けていったプロセスに、既に見えていたような気がします。ある意味、今、同じバトルが、家電に近い分野で起きているということなのでしょう。それどころか、個人的には、自動車産業やその他の製造業までもが、ひっそりと、IT化の進展に伴って、コンピュータ産業で90年代に起きたことと同じパスに入り始めているような気がしてなりません。

 今後、「ものづくり日本」が、その強さを維持したまま競争力の次のステージに行くためにも、情報産業で起きていることをきちんと整理し、理解することは、とても大切なことです。これだけ丁寧に、品質の高いものを、しかも大量に作り、世界の市場に提供できるのは、(期待も込めて言えば)やはり世界の中でも日本しかないと僕は思います。こんなに狭い国が、世界第2位の経済大国になったのには、それだけの理由がちゃんとあるはずです。その日本の大切な役割と能力を再構築し次の世代に継承していくためにも、どういう議論が必要なのか。僕の関心はここにあります。また、その議論の中で、情報産業自身がこれから社会的に果たすべき役割も見えてくるはずです。このブログを進めながら、こうした議論に色々な方にコメントがもらえたら嬉しいなと思います。

 なお、こういう真面目な議論ばかりだけだと、読む方はもとより書く方も疲れるかもしれないので、時々は、脱線もするだろうと思います。むしろ脱線の方が多かったりして・・・。では、よろしくお願い申し上げます。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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