最終更新時刻:2008年7月24日(木) 23時08分

2

メディアは人間を幸せにしたかB

公開日時:
2008/04/14 23:21
著者:
mugendai

@メディアは人を育てない

 

 少子高齢化の時代の未来図に「介護ロボット」という奇妙な発想がある。確かに、メディアは人間の行動をサポートしてきた。そして、自律型2足ロボットは、このメディアの集大成として考えられることも可能かもしれない。だが、果たして、人間が介在しない介護ロボットが単独で高齢者の役に立つ時代が来るだろうか。むしろ、人間と人間のぬくもりがあってこそ、介護が可能ではないか。
 教育の現場でもそうだ。教師は、決してメディアが成り代わることはできないだろう。なぜなら、教え育むという関係には、生徒一人ひとりに対応を変えねばならず、さらに間違っていたら叱るという行為が成り立たなければ進まないからだ。
 テレビに子守をさせるということはよくあることだが、言葉をおぼえたての乳幼児をテレビの前に座らせると発育が遅れるという。母親と直接言葉のコミュニケーションの大切さが教育の必要性に大きくかかわっているのである。

Aメディアは〇・五

 

 「メディアはなぜ孤立化を好むのか」で心理学者の小此木啓吾氏の言葉を引用した。

 たとえばいままでの人と人とのかかわりを「二」という数字で表すと、現在の情報機械と人とのかかわり、コンピュータとのかかわりなどは「一+〇・五」つまり「一・五」のかかわりだと私は比喩的に表現しています。
 「孤独」ということについて考えてみても、子供がひとりきりになる、あるいはひとりで自分の部屋にこもったりすると、文字通り一人きりで、昔は日記をつけたり本を読むなどしたり、自分の心の中でいろいろなイマジネーション、思考、思索、瞑想をふくらませていく一人だけの時間とか経験がありました。
 それが二・〇か一・〇かという心の条件で暮らす時代でした。ところが現代の子供の場合には、父親・母親に叱られると、すぐ自分の部屋に入ってウォークマンに聞き入ってしまう、TVをつけて面白い番組を見る。最近だとコンピュータ・ゲームにふけることになります。いわば情報機械の特徴は、機械ではあっても、そこにはいろいろな人間的な情報がたくさんインプットされていて、それが一つの擬似的な人と人とのかかわりを代行してくれるという意味があります。そこで人とのかかわり以上に面白いインタラクションを経験させてくれます。そのなかに、ほんとうの人間はいないけれど、こうした情報機械と二人でいる、つまり一・五というわけです。(小此木啓吾著「現代人の心理構造」NHKブックス)

そして、僕はこう書き添えた。

 このメディアは、人工物だから自分の都合でON・OFFできる特徴がある。メールができなかった時代の携帯電話は、相手の都合を気にしなければならなかった。だが、メールができるようになって、そんな相手の都合も関係なくなる。その瞬間、自分のパーソナルな空間がその分広まったような気分になる。そしてこの友達関係も簡単にON・OFFできる関係となってしまった。

 今、ケータイでは直接話すよりもメールが主体で使われている。これにより、会話によるストレスを感じなくてすむからだ。人間関係も間にメディアがはさまることで、ますます「一・五」の関係になっていく。

Bロボットと労働者

 

 ロボットという言葉は、カレル・チャペックの戯曲「R・U・R」から生まれた。このロボットの構想をもたらしたきっかけは、電車の労働者からだという。「日本ロボット創世記」(井上晴樹著/NTT出版) によれば、

1924年(大正13)年6月2日付けの英国紙「イヴニング・スタンダード」への寄稿である。それは、「ロボットは、私が電車に乗っている間に生まれた」と始まり、郊外からプラハ市内へゆく電車のなかは満員で乗り心地が悪く、乗車口のところまで人があふれ、その様子は「羊というより、機械だった」と報告している。そのことは強く心をとらえ、チャペックはその状態を見ながら、「人間は個性をもった存在ではなく、機械ではないか」と思いついた。車中でずっと、「働くことはできても、考えることはできない人間に、何という名をつけたらよいか」と頭をひねった。「この概念は」とチャペックは書く、「ロボットというチェコ語の言葉に表現されているのである」

 現代社会でも、サラリーマンたちの通勤風景は84年たっても変わらない。違っているといえば、誰もがケータイを覗き込んでいる風景だけだ。まるでロボットたちの次の行動プログラムがケータイ画面に映し出されているかのように。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

ブログにコメントするにはCNET_IDにログインしてください。

この記事に対するTrackBackのURL: 

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

2008年7月
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々今アーキテクチャが面白い
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトインターネットのリュミエール
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogleお前もか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
江島健太郎 / Kenn's ClairvoyanceiPhoneという奇跡
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点

読者ブロガー

個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志動画配信の影響なのかインターネット部門が「終了」
個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志
ネットのニュース.logiPhone対応サイトについて思うこと
ネットのニュース.log
電子政府パブリックコメントの抜粋全国健康保険協会の会計(意見募集)
電子政府パブリックコメントの抜粋

企画特集

DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」
〜企業システムの仮想化環境の構築を支援〜

新着コメント

まあ子供に元気よくそとにでろとか青年に社会参加せよと大声でいったところで......
『誰でもよかった』犯人増殖する
投稿者:porepore90
中島みゆき「ショウ・タイム」を聞きましょう。 いや、詩人中島みゆきの「シ......
『誰でもよかった』犯人増殖する
投稿者:ルート134
Toyolinaさん 両方お使いなんですね。 iPhoneは、直感的ですね。カスタマイズ......
iPhoneの「絶賛」と「冷めた反応」の間で
投稿者:kobanet
iPhoneに関する様々な解説をネットで見ますが、江島さんの意見が一番まとを得......
iPhoneという奇跡
投稿者:minoru.inui
EMONEαもiPhoneも所有しておりますが、どちらをより使いたい、携帯したいかと......
iPhoneの「絶賛」と「冷めた反応」の間で
投稿者:Toyolina

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?難し
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
加速度的に製品の認知度を普及させているBlu-rayレコーダー。その高画質、長時間録画という製品特性に「お
今週の新製品総チェック:ソニー「VAIO」が新キーワードを発表、ビクターからはYouTube対応ビデオカメラ
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
今週の新製品総チェック:まさにiPhone一色の1週間、ついに店頭発売へ
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」