ワイドショーで連日報道されている毒ギョーザ問題。事故か故意かでもめているようだが、もう一つ気になったことがあった。それは、日本向けの輸出商品と中国国内向けの安全管理の差である。素手で扱っている写真を見せて、不衛生この上ないようなことを言っているが、関係者のリポートによると、かなり厳重に衛生管理をしているようである。それも、中国国内向けとはかなり違っているという。
たとえば、中国における食品安全と検査状況というリポートによれば、
中国の食品安全政策は、国内向けと輸出向けで大きく異なっている。輸出による外貨獲得は中国政府の重点政策であり、輸出農作物等は相手国の基準に合わせるべく最大限の努力をしている。
中国国内での『毒菜』事件は、都市近郊の高価な農薬を購入する財力のある先進的な農家が、安全知識不足のままきれいで市場性の高い農作物を作ろうと努力した結果、起こしてしまった不幸な事件である。中国のCIQや日本の検疫所の努力により、これがこのままわが国に輸入され流通する事は殆ど無いはずである。しかし、検疫検査は通常5%の抜き取り検査である。検査漏れが無いとは言えず、また、中国側の検査漏れや不正行為等が皆無とも言い切れない。国産・輸入を問わず、食の安全のためにも信頼できる検査を実施したいものである。
と締めている。これは、今回の毒ギョーザ問題について書かれているわけではなく、去年の8月に書かれたものだが、ワイドショーのリポートを見ても日本向けの衛生管理のきびしさと国内向けの差は変わらないように見える。しかし、そのような格差を設けても事故(あるいは故意)は防げなかった。とすれば、国民全体に衛生管理が希薄だということになる。
一方で、中国メディアでは、
【北京=佐藤賢】中国製冷凍ギョーザによる中毒問題を巡り、中国メディアの一部は日本が過剰反応していると批判している。1日付の中国紙、環球時報は「日本メディアが中国ギョーザを包囲攻撃」との見出しを掲げ、「中国の生産者が毒入り製品を日本に輸出するはずがない」などと指摘。参考消息も「日本メディアが『毒ギョーザ』事件をあおる」との見出しで報道した。(日経新聞2/1)
どうしてこういう報道になるのか。先ほどのリポートの冒頭に、
中国国内での食品の残留農薬汚染問題は、2002年の日本の状況に対し比較にならないほど深刻であったようである。1990年代後半頃から香港や上海の先進大型消費地を中心に残留農薬による食中毒事件が度々発生し、死亡者が出る事態にまでになり、地元新聞紙上で『毒菜』問題として取り上げられたとのことである。中国の人達は、野菜を通常油で炒めて食べるが、外国人や外国生活経験者の多く住む都市部では野菜サラダを食べる人も多く、このような中毒事件が発生したものと思われる。消費者の間では、野菜を1時間以上流水で晒してからでないと安心して食べられない、という極端な話までされている。
とあるごとく、中国国内では、農薬の食中毒事件は日常茶飯事であり、ひとりの死者も出ないのにメディアが連日報道するのは、「反中」をあおっているのだと捉えていることになる。また、中国政府としては、あまり荒立てると、国内向けと日本向けの衛生管理の差に国民が不満を抱くのを恐れているのだろう。
また、この毒ギョーザが事故ならばともかく、故意の場合、話はより深刻になるであろう。そこには、個人の問題よりも貧富の問題がまぎれているからである。
最近のエントリーでは、「もったいないと食品偽装」以来、偽装食品の話をしているわけだが、特に、「コストカットが無駄を作り出す」では、コストカット競争が世界規模になっており、今回の中国の問題も「フラット化する世界」の一シーンに過ぎないことである。私たちは、より安い食品を求めて、中国から冷凍食品を輸入してきた。しかし、中国に対して、コストカットと同時に安全管理を求めることは当然だと思っている。だが、安全管理はコストがかかるものである。中国国内で、安全管理が国民に浸透していないのに、日本の安全管理を求めるのは無理である。日本の十分の一の人件費で、日本と同じ安全管理、どこか矛盾していないだろうか。もし、それが当たり前だとしたら、中国は日本の植民地だということになる。植民地だったら、直接日本のシステムを持っていって、指導すればよい。少なくとも、一国の政府である以上、その国を尊重してあたらなければならない。
最低限、日本の求めている安全管理をするためには、相手の国も食の安全が達成されていなければならないのである。
フェアトレードという言葉をご存知だろうか。
フェアトレードとは、貧困のない公正な社会をつくるための、対話と透明性、互いの敬意に基づいた貿易のパートナーシップです。フェアトレードは、アジアやアフリカ、中南米などの農村地域や都市のスラムなどに暮らす人々に仕事の機会を提供することで、貧しい人々が自らの力で暮らしを向上させることを支援しています。小規模農家や手工芸職人に継続的な仕事をつくり、農薬や化学肥料に頼らない自然農法や、生産地で採れる自然素材と伝統技術を活かした生産によって、持続可能な社会を目指しています。(people tree)
もちろん、このような活動は、草の根運動であり、かえってその国の経済活動を阻害しかねないこともある。でも、新興国の武器が安い人件費であっては、あまりにも未来はない。日本にも昔から「衣食足って礼節を知る」という言葉がある。衣食が足らない貧しい人たちに礼節の大切さを教えるよりも、まず衣食のある最低限の生活を保障してこそ、次の段階にいけるのだ。
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