「ワーナーBD一本化とPS3のPS2互換機出荷完了は、コンテンツ配信のための準備段階」を書いたとき、思ったことがある。CNET Japan「SCE、プレイステーション3 HDD 20GB/HDD 60GBモデル国内出荷完了を発表」の記事の反応のブログが、誰もがPS3互換機を買わせるためのあおりだとか、批判的な反応が多かったことだ。しかし、久夛良木氏の講演「PS3が創るリアルタイムコンピューティングの未来」ですでに触れられているように、
同時に、全世界数千タイトルにも及ぶ「プレイステーション」ならびに「プレイステーション 2」の貴重なゲーム・ライブラリ群も、さほどデータ容量が大きくないものから順に、ネットワークを通じてダウンロードできるようにする。
と語っているとおり、コンテンツ配信に向かった一段階なのだ。しかし、そのことに言及するブログは誰もいなかった。現実にPS1のダウンロードは「SCEJ、PS3でプレイ可能なPSソフトのダウンロードを4月26日より開始 当初は「鉄拳2」、「俺の屍を越えてゆけ」など11タイトル」にもあるとおり、すでに行なわれているのに。
このように多くのブログはそのときそのときのニュースに反応するだけで、終わっている。過去の事実を調べることなしに。それでは、そのブログは使い捨てといわれても仕方がない。 むしろ「紅白歌合戦ブログ実況時代の肖像権」のとき、反論があったので翌日、翌々日に訂正にいたるまでの記事を書いた。それが、書きっぱなしでないブログのあり方だと思うからだ。
「個人的データベースのすすめ」でも書いたように、必ずニュースはつながっているのである。「松下も変わらなくちゃ」にしても過去に「企業ブランディングと地域ブランディング」を書いたために、マーケティング用語の資料も残っていたし、PS3が創るリアルタイムコンピューティングの未来についても、「家電屋VSコンピュータ屋、ホームサーバーの戦い」などでたびたび引用した。
インターネットという、知識の宝庫を前にして、読者に知らせたいと思う情報があまりにも多いので、なぜこれらの知識を利用しないのかと不思議でならない。僕のエントリーは、パッチワークのように、引用文が多い。単純にリンク先を示しても、読んでくれるとは限らないし、しばしばリンク切れになる。「個人的データベースのすすめ」には「ニュースの信頼性に気を配れ」と書いたが、引用先は膨大で、どこが著者の重要と思う点かがわかりにくい。文章として成り立つには、その必要な文章のみを引用することが必要である。僕の場合、しかも本からの引用が多い。それは、ネット上の文章と本の上の文章の重みが違うからである。
僕は、自分の感想を書くより、その物証(引用文)の構成で、結論に導くことを好む。データベースにするには、大切なのは引用文の信頼性であるからだ。できるだけ、簡潔に鋭く書きたいと思っている。
「200本突破記念・五十音索引」に書いたコメントを再録したい。
CNET JapanってIT業界で飯を食っている人たちの集まり、つまり専門家の人たちばかりの人がいるところじゃないですか。僕のような業界とはまったく関係のない人間が、果たして続けていけるだろうかとまず考えました。専門分野に精通している人に対抗することはとてもできないと思ったんです。
それから、なぜ年間200本かといいますと、実は経済評論家の野口悠紀雄氏のコラムを読んでたとき、たまたま野口氏は年間200本のコラムを書いているという文章が目に入ったわけです。そこで、目標は200本だなと。ただ、それ以上になると、テンションが下がってまるで日記のようになってしまうと思います。
さて、専門家の集まりの中に業界素人の自分が年間200本のブログを書くにはどうすればよいのだろうか。いつも考えていることは「1%のプロ、99%の素人」ということです。どういうことかというと、専門家というのは、人生経験のうちわずか1%の世界の中からものを見ているんじゃないか、自分の精通していることなら、誰にも負けない自信があるということですね。でも、それ以外の99%はまったくの素人。僕は、素人ですから、この1%の世界にはとても太刀打ちできない。そこでこの「99%の素人」の部分を使えば、どんなテーマでもこなせるんじゃないか。「1%のプロ」ではたちまちいきづまってしまうけれど、「99%の素人」の部分を使えば、いくらでも発展できる。ただ、問題は、そのプロにもわかる話題じゃないといけないので、調べて書くことに気を使いました。資料があることと思い込みで書くことはまったく違いますから。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
尊仁 on 2008/01/14
う〜ん。どちらかと言えば基礎情報の調べずにエントリを書いている部類なので強くは言えませんが、「素人の感想など少ないほうがいい」というのはどうなのでしょうね?ブログってニュースでも論文でもないので感想で良いと思います。また、意外とその分野のプロでない人の感覚や感想って、物的証拠から導き出すことが難しい本質を突いていたりすることがあるので、ブログという点では否定する必要はないかと思います。
あと、ニュースの記事などは、あくまで企業の発表等を取材をした人が書いているだけで、それを見た人一般の人たちがどのように感じたかは、そこにはありませんし、あとは、しばらくして結果が出る感じでしょうか。しかし、例えば、企業人として興味のあるもののひとつは、自社あるいは他社が戦略や新製品を発表したときの一般の人たちの反応です。それも、ここで言うところの素人の反応です。それって、ニュースなどでは知ることができませんから・・・
まあ、このあたりはブログの利用の仕方の違いだと思います。データベース的な利用の方法を考えると、確かに素人の感想は少ない方が良いとなるかもしれませんが、商品や企業戦略の反応を知りたいという前提になると素人の感想は多い方が良いという話になったりするんですよね。
ブログを見る人の前提が変われば必要とする内容も違うということで・・・
hokky (cafe noir) on 2008/01/13
mugendai さん
やっぱり、私も、著作権、最近は気になっています。
著作権、法律が難しいです。
パブコメ関係の文章については、著作権法13条と、32条2項が私を守ってくれそうなのですが、それ以外については、法律が理解できないのです。
それで、あまり、はみ出した書き方ができなくなってしまった今日この頃です。
sumimotoshohei on 2008/01/13
sumimotoshoheiさん、コメントありがとうございます。
いつも気になっているのは、著作権の問題です。著作権のガイドを見ると、自分の文章が主で、引用文が従となっていますが、論文などを見ると結局、引用の塊です。僕のように引用が複数で、自分の文章が少ない場合、「正当の範囲内」に収まらなくなってしまいます。またリンクばかりのブログはどうなんでしょうか。当然、ブログは著作権の私的複製の例外には当てはまりません。むしろ、「肖像権とフェアユース」(http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2008/01/03/entry_25003650/)で紹介した「フェアユース」(「著作権法の硬直的な適用が、この法律で育成することを企図している創作力そのものを、時として、抑圧してしまう場合に、裁判所がこれを回避することを認めたもの」)というような著作権法の弾力的な適用を考えるべきだと思いますが。まあ、現状の著作権問題は見て見ぬふりをしている状態でしょうが。ブログの価値が拡大していけば、そのような考え方も生まれると思います。
mugendai on 2008/01/13
mugendaiさん
更に3点ほど。
(1) mugendaiさんが「200本突破記念・五十音索引」をエントリなされた時に私も自分のエントリ本数を数えていました。2006年5月から初めて202本、丁度新年早々のエントリが200本でした。(私の場合は1年間で200本と言う訳には行きませんでしたが)今更ながら、mugendaiさんのガッツに敬服します。んー、私自身もっと頑張らねば。
(2)
>むしろ「紅白歌合戦ブログ実況時代の肖像権」のとき、反論があったので翌日、翌々日に訂正にいたるまでの記事を書いた。それが、書きっぱなしでないブログのあり方だと思うからだ。
この考え方に、同意!。エントリした責任ありますよ、絶対に。
私自身も「自分の頭の中では体系的になっているTry and Tested」と言うことを、CNET Japanブログネットワークへリニューアルされて、自分で過去記事のカテゴライズを行っている時に気が付きました。で、過去記事から現在までを体系的に読者の方にお見せすべく、自分のWebSiteを作成中です。
(3)
>また、それが読者ブロガー全体で自由に活用できるデータベースとなることが理想ですが。
読者ブロガーの櫻吉さんが行っていた「関連エントリ」みたいな形で(どう言ったフィルタリングにするかは、検討する必要が有りますが)、自分以外の読者ブロガーのエントリを表示出来れば、尊仁さんが仰るような「記事の補完」にも繋がると思いました。
朝之丞 on 2008/01/13
mugendai さん、こんにちは。
私も、自分自身の感想は、少ない方が、良いと思っています。
リンクを設けたとき、リンク先まで見て下さる方が少ないだろうという事も、分かっています。特に、自分の場合、1つの投稿中から数十ヶ所にリンクしたりするので、この傾向は顕著だと思います。
文章自体を引用する場合に、躊躇する理由が、2つあります。
1つは、引用元の著者の方が、私に引用される事を、どう思うか、気になってしまう事です。とても、気になります。
もう1つは、自分自身の文章について、訂正しまくりなので、引用として、他の方の文章を掲載した場合に、その方が、原著を訂正されたときにどう対処してよいのか、自分の方針が決まっていない事があります。
私の場合、引用するのは、ほとんど、ウェブ上のテキスト文章なので、訂正の多い私が、 mugendai さんと同じ書き方を選択した場合、私は、「人に厳しく、自分に甘く」の典型のような書き手になってしまうのではないかと危惧しています。
sumimotoshohei on 2008/01/13
なるほど。ブログというフィルタリングが共有DBになるということですね。ただ、CNETにその領域を区切ると興味の幅の広さと関心の深さのバリエーションに比べて総量が少ないので、なかなか機能しづらいような気もします。ブログ全体まで広げちゃうと広すぎるのかもしれませんが。
個人的にははてブで抽出して文脈整理することが多いですね。キーワードやタブ以外にドメインでも抽出可能なのでCNET全体を見通すときにも役立ちます。
尊仁 on 2008/01/13
尊仁さん、朝之丞さん、コメントありがとうございます。僕は書いていて、現在ではなく、未来に残る文章を書いていきたいと思っているんです。現在のみに執着すると全体が見えなくなっている。一つ一つのニュースは突発的なものですけど、過去のデータベースを作れば、このニュースはこう意味であり、これからはこうなるということが見えてくる。で、データベースになる文章をいろいろと紹介することが、結局、未来にも役に立つことになる。Wikiもさかんに利用させてもらっていますが、自分に使いやすくするツールとしては自分で作るしかないと思うわけです。また、みなさん、自分の経験から書いておられるんですが、それはそれで貴重なことですが、なんか読者との間に橋渡しがないために、その場しのぎの言葉に落ちてしまっているのではないか。データベースとは、それを補強するための骨格として必要になってくると思います。また、それが読者ブロガー全体で自由に活用できるデータベースとなることが理想ですが。
mugendai on 2008/01/13
> そういう読まれ方を保管するサービス
「補完」でした。
事実蓄積も評価・批評・論評も、とにかく蓄積参照されていくことで情報系としては豊かになる・・(誤りや見当違いも含めて、笑)とは思うのですが、特に自分の得意分野で明らかな間違いとか見当違いあるいは調査不足の記事があったりすると「うーん」と思います。
でも、一方、自分のエントリーでも、往々にしてそのようなことがあるのだろうなあと(汗)。
尊仁 on 2008/01/13
mugendaiさん、こんにちは。
>事実を指摘するには物証主義でいけ
私の場合は、物的証拠としてTry and Tested結果の画像を数多く掲載している訳ですが、どこまで活写して良いものか、この掲載する画像は信頼にたるのか?、いつも悩んでいます。ただ、ご存知の通り、私のCNET Japanブログネットワークに於ての立ち位置では、地道に事実報告の積み重ねしかないと思っております。
以前、某Mac系の雑誌で「突っぱね」表現を見かけたのですが、物凄い「丸め方」にビックリした記憶が有り、私もこういう風に見られているのかな?と反省しました。
朝之丞 on 2008/01/13
CNETブログネットワーク内でも基礎情報を一切調べずに書かれているエントリーがよくあるんですけど、こういう脊髄反射系のブログも含めてブログ界隈なんだろうなあと思う次第です。
なぜかというと、はてブコメントなど含めて(そういう場合は非難も多いですけど)情報が補完されていったりするので、結局単体としてのエントリーがやがては総体として情報のストリームを作る種になっていたりするんですよね。
でも、過去のエントリー(第三者のエントリーも含めて)文脈的に読まれることで個々のエントリーはもっと価値が増しますよね。
そういう読まれ方を保管するサービスやツールが出てくるといいなあと思います。
脊髄反射系に行きがちなのは情報の流れ方受け取り方の背景にあるツールやサービスの性質・性格もあるのではないでしょうか?(=メディアのアーキテクチャー性)
尊仁 on 2008/01/13
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>読者ブロガーの櫻吉さんが行っていた「関連エントリ」みたいな形で(どう言ったフィルタリングにするかは、検討する必要が有りますが)、
そうですね。このあたりはもっといい参照系が構築できる可能性ありそうな気がします。今でもテーマ区切りでニュース記事と連動できますけど、過去記事とは繋がれませんもんね。
あと、感想についてですが、そもそもどのネタをどう取り上げるかという時点で個人の視点や価値観が如実に出てますんで、感想パートの分量という以前にニュースのピックアップでさえ個人視点の提示ということなのだと思います。