「違法ダウンロード違法化」論争は、今まで不発だった(つまり、手間がかかっているために誰も摘発しようとしなかった)著作権法を、(「アメリカ年次改革要望書」という外圧があったために)ようやく爆発する弾頭に整備するための第一段階だった。
読者ブログの論調を見ていると、「クリエイター」にも「ユーザー」にもメリットはないという。しかし、メリットのある立場の人間がいる。それは、これらのコンテンツを管理しているメーカーである。いわば、「コンテンツ」にはメリットはなくても、「コンテナー」である彼らには大きな問題なのだ。そして、その親玉は、当然、アメリカの映画会社である。「映画盗撮防止法」が成立した現在、アメリカは次の手を狙っている。 「ダウンロード違法化」の次は、「今年のアメリカ年次改革要望書から」で語った「エンフォースメント制度」の整備である。それには、法定損害賠償、著作権保護期間の延長、職権の付与の3点セットである。
職権の付与については、「著作権法の「非親告罪化」とアメリカ年次改革要望書」で、竹熊健太郎氏の
今の動きをかいつまんで書くなら、「著作権法の非親告罪化」に向けた準備が政府機関によって進行しているいうことです。これまでも現在も、著作権侵害というものは「侵害されたと思う側」が民事裁判に提訴するなり、あるいは刑事告訴をしない限り逮捕することも裁判を起こすこともできない「親告罪」とされているわけです。
それが「非親告罪」ということになると、警察・司法が独自の判断で著作権侵害とみなした行為者を逮捕することができることになり、商業的な出版・放送・上演・演奏のみならず、コミケの二次創作・パロディ同人誌などにも深刻なダメージが加わる可能性があります。
という言葉を紹介した。
さらに、法定損害賠償については、「今年のアメリカ年次改革要望書から」で
コンピュータソフトウェア会長の村上氏の意見書にとして「法定賠償制度の早期導入や、損害賠償の額を目に見える一部の侵害額の2倍の侵害があったと推定する規定(侵害の数量に関する推定規定)の早期導入をして頂きたい。」
との言葉を紹介した。また、著作権の登録制度が日米で大きく異なるという。米国(アメリカ)著作権局登録サポート(平成19年度版/全国対応)にはこんな文章が載っている。
@登録が著作物の最初の発行の前に又は最初の発行から5年以内になされた場合には、いかなる司法手続においても、当該登録の証明書は、かかる著作権の有効性及び証明書に記載された事実の「一応の証拠」(prima facie evidence)となります(米国著作権法410条(c))。すなわち、証明書に記載された事実が一応すべて事実であるという法律上の推定を受けるため、登録を備えておけば、著作権が第三者に侵害された場合、自分がその著作物の権利者であることを証明する責任等から解放されることになり、立証責任が軽減されるというメリットがあります。
A登録が著作物の最初の発行後3ヶ月以内になされているか、又は著作権が侵害される前になされていれば、著作権侵害訴訟において、「法定損害賠償金」(statutory damages)と「弁護士報酬」(attorney's fees)を受けることができます(米国著作権法412条)。
著作権が侵害された場合、侵害者は、原則として、@著作権者が被った「現実的損害賠償額」(actual damages)及び当該侵害者が受けた「利益額」(profits)か、又はA「法定損害賠償額」のいずれかを支払う責任が生じます(米国著作権法504条(a))。しかし、原告(著作権者)側で「現実的損害賠償及び利益」を求めるよりも、「法定損害賠償」を請求するほうが有利であると考える場合には、終局判決が言い渡される前はいつでも、現実的損害及び利益に代えて、裁判所が正当と考える金額の法定損害賠償(原則として、侵害にかかる1つの著作物について750ドル以上30,000ドル以内。侵害の故意が認定されれば、最高額で150.000ドルを限度として増額されうる。)の支払いを選択することができます(米国著作権法504条(c)。
著作権保護の延長については、「著作権保護延長とディズニー」でこんな意見を紹介した。
――著作権延長を実現したのは、米国が一番最初ですか?
城所: いや、EUがすでに1993年に、70年に延長しているんですね。米国ではそれに対抗するためというのが、実は最大の理由だったんです。
――対抗する理由とはなんでしょう?
城所: ヨーロッパが70年で、他の国が50年のままだったとすると、その国の著作物はヨーロッパの中で50年でいいよと。低い方に合わせるよということなんです。これを「相互主義」と言います。つまりこのままでは、米国が損するので、その対抗上延ばそうというのが一番大きな理由だったんです。そのほかにも寿命が延びてるとか、子供を作るのが遅くなってるとかいった理由もあったようです。(IT Media 「米国の前例に見る著作権法延長の是非」)
アメリカが70年で日本が50年だから、ディズニーの500円ビデオが成り立ってしまい、ディズニーのビデオの著作権による収益を損なってしまうからだ。したがって、日本に対し、著作権保護延長を求めるのはそこに理由がある。
また、法定損害賠償、(警察に対して権利者の同意を必要としない捜査権を与える=非親告罪化)職権の付与が付いて始めて、本当に爆発する(効果のあるor逮捕できる)著作権法が完成することになるのである。
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