「ウルトラマン」で有名な円谷プロが映像プロダクションのTYOに買収された。これからのTVシリーズは、ミニチュアによる特撮がCGに取って代わることになる。かつて、CGの制作費が高くて、日本式のミニチュアや着グルミがコスト的に安かったからだ。現在では、むしろCGが安くなったことを意味している。
円谷プロは、「ゴジラ」などを手がけ「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二によって48年に設立された「円谷特殊技術研究所」が前身。「ウルトラマン」(66年)をはじめ、ミニチュアのセットを駆使し、巨大ヒーローと怪獣が戦う作品は、日本の特撮のシンボル的存在でもある。だが、「いい作品のためには金を惜しまない」という姿勢に同族経営の弊害が加わり、「働いていない人が多く、1本作るたびに首が絞められる経営」(吉田社長)だったという。
円谷プロの大岡新一・副社長によれば「コストの問題から、制作の基軸はすでにCGになっている」という。 (朝日新聞11/25)
これはアニメの世界でも言える。たとえば、手描きのセルは現在は、「サザエさん」だけ。
テレビアニメを長年支えてきた、透明フィルムに手で描く「セル画」が近々姿を消しそうだ。コンピューターによる制作が主流になり、いまやセル画によるテレビアニメは放送39年目の「サザエさん」(フジ系)だけ。地上デジタルハイビジョン放送への移行も控え、風前のともしびだ。(アサヒ・コム編集部)(朝日新聞8/29)
時代の流れと言ってしまえば、それまでだが、手作りの技術が失われ、すべてがパソコン画面で作られる時代になってきた。そのことは、会社に集まらずに自宅のパソコンからデータを流して作業が可能になってきたことを示している。いわば、アニメーターのSOHO化だ。しかし、集団でクリエイトするエキサイティングさが失われつつあることも事実である。これからは集団のものづくりのテンションをいかに維持するかが課題になる。
このように制作者側の事情が変化する一方、受け取る側の事情も変わりつつある。制作者と同じソフトを手に入れさえすれば、(もちろんかなり高いし、パソコンも特化しなければならないが)容易に制作者側になることも可能だ。(もっとも儲からないが)少なくとも、受け手と作り手がパソコンを通してこれほど近くなった時代も初めてではないだろうか。
今、注目しているのがPS3で発売された「アイ・オブ・ジャッジメント」についている「PlayStation Eye」というカメラである。それを使って画面に取り込み、自由にオブジェクト化する技術を開発していると言う(PS3 FAN)(映像)。かつてタイトーから「ラクガキ王国」というのが出ていたが、そこでは自分の書いた絵を3D化して動かすことができた。開発中のものはそのラクガキ部分が実写の写真にできるようである。しかし、まだまだ送り手と受けての壁は高い。ブログのように、金をかけずに優れたクリエイターが容易にデビューできる環境づくりが急がれることが必要である。
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