スター・ウォーズといえば、ジョージ・ルーカス監督の映画である。六部作あり、後半三部作(W・X・Y)の後に、前半三部作(T・U・V)が作られるという不思議な構造をしている。さらに、小説やテレビではその本編の外伝的物語がつづられている。
一方、FFZでも、AC(アドベントチルドレン)で二年後を描いているが、そのほかのBC(ビフォアクライシス)CC(クライシスコア)DC(ダージュオブケルベロス)ではいずれもが、FFZの時代よりも前の時代である。
似ているところはほかにもある。FFZとSW(スター・ウォーズ)後半三部作は、いずれもが支配者(神羅と帝国)に対する抵抗組織(アバランチと共和国・ジェダイ)側から描いていることであり、一方、CCとSW前半三部作は支配者側から描かれていることである。
なぜ、そのような構造で作らなければならなかったのだろうか。それは、悪の象徴であるダース・ベイダー(アナキン・スカイウォーカー)やセフィロスを冷酷無比な極悪人として描いてしまえば、作品として大変わかりやすくなったろう。だが、実は、二人とも英雄として有名だったと設定されている。どれほど優れた人間であっても邪悪な存在になりうる。そのためには、その英雄がどうして堕ちていったかを描かなければならない。ジョージ・ルーカスはこんなことを言っている。
この三部作(エピソードT・U・V)を通して、私は善悪という二分法はとらなかった。自分では善を行っていると信じている人間が、どのようにして邪悪な存在になってしまうかこそが問題だったのだ。始まりは愛する人を救いたいという極めて純粋な望みだった。自分の周りの状況をコントロールしたいというごくささやかなことだったのだ。母を、妻を失いたくない。本当に大切に思う人を失う苦しみを味わいたくない。そのために悪魔と契約を結ぶ、ファウスト的な物語である。アナキンが抱えている問題の根源は、執着を捨てられないことにある。諦めをつけ、自分の人生を歩むべきことに気がつかない。厭だからというだけで、太陽が昇るのを止めることはできないのだ。しかし、アナキンは執着することでさらなる力を追求し、ついには宇宙を支配できると考えるところにまで行き着いてしまう。それこそが彼の真の転落であり、悪になるということでもある。(ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズエピソード?シスの復讐」プログラムより)
それでは、FFZはどうだろうか。ゲームを知らない人のために、DVDの「アドベントチルドレン」から引用してみよう。
ライフストリーム―それは星をめぐる命の流れ。星と、星に生きるすべての命の源です。
神羅カンパニーは、ライフストリームを資源として使う方法を見つけました。そのおかげで、私たちの生活はとても豊かになりました。でも、それは星の命を削ること―そう考える人も大勢いました。神羅は、自分たちに反対する人々を力で抑えようとしました。
神羅には、ソルジャーという特別な兵士たちがいました。大昔に、空から降ってきてこの星を滅ぼそうとした災厄―ジェノバの細胞を埋め込んだ人たちです。そのなかに、セフィロスという、とても優秀なソルジャーがいました。でも、自分が恐ろしい実験で生まれたことを知って、神羅を憎むようになりました。そしていつしか、すべてを憎むようになってしまいました。
神羅と神羅に反対する人たち。憎しみのあまり星を破壊してしまおうとするセフィロス。セフィロスを止めようとする人たち。いくつもの戦いがありました。戦いの数だけ悲しみがありました。私が大好きだった人もライフストリームになってしまいました。(スタジオベントスタッフ編「ファイナルファンタジーVII 10thアニバーサリー アルティマニア」スクウェアエニックス)
SFで味付けはされているが、公害や環境問題に通じるものがある。良かれと思って開発を続けていくうちに、とんでもないものまで生み出してしまったというわけだ。英雄たちは、自分の力ではどうしようもないことに怒り、憎しみを抱く。たとえば、セフィロスは、ニブルヘイムで自分の出生の秘密を知り、村を焼き払う。アナキン・スカイウォーカーは、母の死を予知夢で見てしまい、助けに行くが助けられず、怒りに駆られた彼は母を拉致したタスケン達を皆殺しにしてしまう。
僕は、「父と子の戦争物語」と題してこんな文章を書いたことがある。
スターウォーズは父と子の物語である。この長大な六部作は第一作が1977年であるから実に28年の歳月がかかっている。始めの3本(エピソードW・X・Y)は息子のルーク・スカイウォーカーが主人公の物語であり、後半の3本(エピソードT・U・V)は父親のアナキン・スカイウォーカーの物語である。始めの三本で父を殺したと思ったダース・ベーダーこそが実はルークの本当の父親であるという入れ子細工のような不思議な物語であった。後半の三本は父親のアナキンがなぜダークサイドに落ちたかという理由を追っている。
(中略)
最初の「エピソードT」から見ていくと、全体がアナキンの贖罪の物語となってくる。オビ=ワンとヨーダはアナキンの子供たちがダース・ベイダーを倒すことを望んでいるが、彼らが理解していなかったのは、目的を達成する唯一の方法は、子供たちがアナキンの中に善があると信じることだった。アナキンの子供たちへの愛情が、ダークサイドから彼を引き戻し、真の悪である皇帝を抹殺して、予言通りフォースにバランスをもたらすのだ。だからこそ、アナキンはすべての源なのである。(ジョージ・ルーカス「スター・ウォーズエピソードVシスの復讐」プログラムより)
父親の役割として、家族を守るということとを子供たちを成長させるということがある。成長させるということは父を乗り越えるということである。スター・ウォーズには父親が反面教師となって子どもたちを成長させる意味も当然あるのではないだろうか。
一方、FFZの物語は、なぜか父の存在が希薄である。唯一、マリンという女の子を連れたバレットがいるが、その子は実の娘ではなくて事故で亡くなった親友ダインの娘である。むしろ、孤児たちの面倒を見るティファやエアリスが母親のにおいがするし、セフィロスは自分の出生の元になったジェノバに愛着を持ち、「母さん」と呼んでいる。
父と子、母と子の関係は、子供(特に男の子)にとって大きな違いがある。母に見捨てられては生きていけないが、男の子にとって父親は乗り越える対象であり、ある意味、母を取り合うライバルである。ダース・ベイダーとセフィロスの違いは、同じ執着でも意味が違う。父を取るか、母を取るかといえば、母を取るのは、それだけ自分の命に近いからである。ダース・ベイダーは「アナキンの子供たちへの愛情が、ダークサイドから彼を引き戻し、真の悪である皇帝を抹殺して、予言通りフォースにバランスをもたらすのだ。」から、十分復活する可能性がある。ところが、セフィロスの母ジェノバは、宇宙からやってきた星の敵対者であり、真の悪である「神羅や彼をモンスターにした宝条」を滅ぼしたところで、彼の心に平和は訪れまい。父を否定しても生きていけるが、母を否定することは自分の存在を否定することになるからである。
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