前項「アップル・ソニー・ディズニーの共通点」で、この三社の共通点として@夢を語る人Aその夢を実現する人Bその夢に心酔する人々の三者が必要だと指摘した。もちろん、これはこの三社だけの問題ではない。成功した企業はいずれもが、この三者がうまく活用されたものだ。
また、このような企業はじぶんたちのブランドを大切にしている。マーケティング用語では
ブランディングとは、企業が顧客にとって価値のあるブランドを構築するための活動を指します。『戦略的ブランド・マネジメント』の著者ケビン・レーン・ケラーによれば、「ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること」と定義されます。このことはブランドの法的所有者は企業であっても、実際にブランドの価値は、個々の消費者の頭・こころの中に所有されていることを示していると言えます。また、ケラー氏は「ブランディングにとっての鍵は、ある製品カテゴリー内で消費者が知覚するブランド間の差異である」としています。この視点で捉えると、ブランディングとは、ロゴやブランド・ネーム、パッケージなどのブランド要素と、差別化されたブランド価値を結びつける連想を、消費者の頭・こころの中に育んでいく活動であると定義できます。
つまり、このブランドなら安心できるという信頼感が消費者の頭の中で構築され、販売活動がより発展的に進めることができることである。一方では、ブランドが企業のカテゴリーを硬直的に狭めてしまう可能性もある。たとえば、ディズニーブランドでは、刺激的な作品は上映できないが、タッチストーン・ピクチャーなら大人向けの作品でも上映可能というわけだ。
このブランディングは決して企業だけの問題ではない。たとえば、全国各地域に対する各県・各地域のイメージが観光収入に直接結びつく。たとえば、宮崎県知事の東国原知事を使った宮崎県の地域ブランディングの成功例がある。同じように地元の有名人を使った例は枚挙の暇がないほどだ。しかし、有名人もいない、名産もないというときはどうしたらよいだろうか。
学習院大学の青木幸弘教授は「(地域ブランドつくりのために)どのような体制作りが必要か。」との問いに
ビジョン、利害の調整、そして選択と集中だ。ただこれは自治体がもっとも苦手とすることだ。ブランドが成功するには『三つの者』の存在が鍵を握ると言われる。一心不乱に目的に邁進するバカ者、冷静に自己分析するヨソ者、後継者となるワカ者だ。とりわけ継承することが重要なので、人材育成に力を入れる必要がある。 (2006年1月4日(水)付け 日経MJから)
つまり「バカ者」の役割は「こんな街にしたい」というビジョンを高く掲げてまい進することであり、「ヨソ者」の役割は「そのビジョンのうちできる可能性のあるものは何か(選択と集中)、そのための資金調達はどうするか、地域が負担するのか、入場料を取るのか(利害の調整)」であり、「ワカ者」の役割はその町おこしのイベントを次の世代に継承することだ。そしてこの三者の間には「共感」が必要である。
問題になるのは、必ず地域の住民を巻き込んで行わないとその場限りのイベントになってしまう。住民というのは、基本的に怠け者である。来年もやりたい、もう一度見てみたいという魅力的なイベントでなければ参加することすら億劫になってしまうものだ。ディズニーランドがリピーター率ナンバーワンだったのは、絶えず未完成であり、完全なものを見せてないところにある。地域ブランディングも自分が参加すれば、こんなこともできる、あんなこともできると積極的に参加させることが必要である。
ところで、これは、
夢を語る人=一心不乱に目的に邁進するバカ者
その夢を実現する人=冷静に自己分析するヨソ者
その夢に心酔する人々=後継者となるワカ者
と読み解くことができる。消費者の頭の中にそのブランドの信頼感を植えつけることが必要なのだ。そして、彼らの中からそのブランドを守る後継者が現れる。
ところで「バカ者」という言葉、面白いので考察してみた。
矛盾しているようだが、その理由をこれから述べてみたい。
あたりまえである。本当のバカであったら誰もついていかないだろう。したがって、バカと「バカ者」をわけなくてはならない。「バカ者」とは、常識にとらわれずに直感的に行動する人間のことである。それが一見するとバカに見えるから「バカ者」となづけられるのだ。
問題になるのは「りこう」とは何かということだ。りこう者とは、常識をうまく利用して効率的に進んでいこうとする人間のことだ。そのために常識を打ち破ろうとはしない。なぜなら無駄なパワーが必要だからだ。知識を持った権威こそがりこう者の象徴である。
そしてワカ者やヨソ者よりも少ない。「バカ者」とは言いだしっぺのことである。最初に提唱した人間はどうしてもまわりの抵抗が強いものだ。しかも「バカ者」は変わり者が多い。人と同じことがしたくないのである。したがって「バカ者」は「ワカ者」のような継承者になることは少ない。そして他人からは「バカ者」とバカの区別がつけにくい。そのため、「バカ者」が芽を出すのが大変難しいのである。それだけ「バカ者」は貴重なのである。
夢を語る人は「そんな馬鹿なことを」と言って、切り捨てられることが多い。つまり、他人から見れば「バカ者」とバカが区別できないからだ。成功してみれば、今度は寄り添っていく。僕から見れば、そういう人間を「夢を見ない人」という。
「夢物語」で僕は
映画も音楽も演劇も小説も、すべての文化・文明は自らの「夢」を他人に伝えようとした者、言い換えれば、「夢」の世界から戻ってきた者によって作られているからだ。「夢」の中で自分の真実を見出して、新たな自分を作っていく作業、これは一生の大事業である。
と書いた。夢を語る人を馬鹿にする世界は、どんどん自分の世界を狭めていることになることに気がつかなければならない。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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