最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

-

コメンテーターになるな、クリエイターを目指せ

公開日時:
2007/08/11 11:54
著者:
mugendai

 

 

 多くのブログを読んでいると、何が面白いのかわからないブログが多数存在する。たとえば、多くのリンク先しか紹介していないブログ。気の効いたコメントもなく、ただの感想だったりする。リンク数が多ければ、ランキング上位になるかもしれないが、本人は楽しんでいるとは思えないし、結局辞書代わりに使われているに過ぎない。このようなブログは、グーグルで探せばよいことであり、存在自体が消えていくのではないか。テレビのニュースのコメンテーターとしても同じだ。この人ならではのコメントがない限り、それのみで残っていくのは難しい。

 それならクリエイターとは何か。新しいものを生み出す力である。たとえば教育を例にとって考えよう。教師が先輩に教えられたとおりに授業をしていれば、その教師は何の感動もないし、子供たちはつまらないと思うだろう。教師は、自分なりに悩み、創意工夫して子供たちを納得させようとすれば、子供たちはそれを面白がるだろう。教育で一番教育されるのは教師自身である。生徒ではない。生徒は、教師を教育しているのである。

 

 

@阿久悠が放送作家から作詞家になれたのは

 「阿久悠と山口百恵で紹介した「夢を食った男たち」(毎日新聞社)にこんなエピソードがある。

 音楽番組の台本で、歌が入る部分は、曲名を書いて、原稿用紙一枚分の空白を作っておけばよい。歌が多くなると、まるまる空白で、原稿料をもらうのに気がひけることもある。

 それもあってだろうが、ぼくは、曲名、作詞、作曲、歌手を明記し、歌詞も律儀に書き写して、空白を埋めていた。

 空白が厭だと思うのは性格だが、それ以外にも理由がある。歌詞を書くことによって、カット割のイメージも湧くだろうし、アイデアを生み出すヒントもなり得ると思っていたのである。事実、歌詞によって触発されたイメージは書き加えていた。

 この無駄とも思える作業が、役に立ったと思っている。まず、新顔ばかりで占められて来た作詞家、作曲家の名前を知り、活躍の度合いを知り、作品の傾向を知り、また、歌詞を書き写すことによって、何が書かれて、何が書かれていないかを知ることになる。

 当初は無意識に書き記していたが、何回か重ねるたびに、今一つの時代のヒーローとして飛び出して来た作家は、誰であるのか、自然に名を覚え、馴染んで来た。

 テレビの音楽台本の説明が必要かもしれない。構成作家(放送作家の一つでドラマ以外の分野、バラエティー・報道・ドキュメント・お笑い・音楽など)の仕事は、MC(いわゆる司会、master of ceremony)のコメントと曲順などである。かつては、この構成部分を構成台本、歌詞部分を歌台本として二冊作成したものもあったが、現在ではほとんど一冊になっている。本番までに何度か印刷校正を繰り返す(第一稿?決定稿)。第一稿では曲名のみで歌詞は書かれていないが(ADが歌詞カードからコピーした)別紙が貼ってあったりする。印刷製本のときにそれを見て打ち込む。

 構成作家は歌の部分はタッチしない。第二稿以降、ディレクターがカット割(歌詞ごとに複数のカメラを使ってカメラの動きを記号(UPとかT.Iとか)で詳細に表したもの。ディレクターの芸術性をそこで競った)を第一稿の台本に書き込んで印刷される。

 阿久悠がもし、普通の構成作家のように、曲名のみ書き込んで出稿したとすれば、作詞家としてデビューすることはできなかっただろう。

 手塚治虫が死ぬまで新人作家の漫画を読み、新たな闘争心を燃やしていくのと同じである。阿久悠もまた、死ぬ直前まで書き溜めた歌詞がいくつもあったという。彼らは絶えず、今の時代にあったものが何だろうと考え続けていったのである。冒頭に紹介した「夢を食った男たち」のあとがきにこんな言葉かあった。

 時代、風、このキー・ワードが好きである。

 風土という言葉がある。これから風俗と土俗とに分けると、どうしても土俗にブがあって、風俗は軽々しく扱われる。文学でも、歴史研究でも、そういう傾向がある。

 しかし、変わるもの、変わるものが産み落とした目に見えないほどの小さな時代の卵、それらを見つけたいと目を見開き、アンテナを働かせているのが、ぼくらの仕事なのである。創作も卵から孵化する。

 

 

A1%のプロと99%の素人

 セカンドライフがそれほど面白いものではないのでリピーターが減っているという。訪問者たちは何を期待していたのだろう。毎日イベントを開くディズニーランドのようなものを期待していたのではないか。「お客さん」を喜ばすのがテーマパークの役割なら、セカンドライフはクリエイターが物を作っていく喜びを表しているのではないか。冒頭の教育の例を見るとおり、教師が「お客さん」では教育は成り立たない。教師が「クリエイター」になってこそ教育が成り立つのである。セカンドライフもまた、「土地は作りましたよ。どうぞ何でも作っていってください」といってるのに、訪問者は「何だ、まだ何にもできてないじゃないか。つまらない」といっているようなものだ。必要なのは「お客さん」に「クリエイター」の心を育てることである。

 本当のプロには、素人に「クリエイターの心」を育てる力がある。たとえば、手塚治虫や阿久悠に感動的な作品がある。それを見た素人が、よし僕も漫画を書いてみよう、ぼくも作詞をしてみようと感じさせることなのではないだろうか。「鉄腕アトム」を読んだ読者が、ロボット研究者になったり、「ブラックジャック」を読んだ読者が医者になったりする例は有名である。

 しかし、プロにはなったものの、これは俺の思った世界とは違うぞと思って悩むケースもあるだろう。しかし、「クリエイターの心」を持てば、自分から創意工夫をして問題を打開していくだろう。それには、絶えず、社会に「アンテナを働かす」ことが必要である。わずか1%のプロの狭い世界の中で悩むより、99%の素人の目で世界を眺めていけば「なんだ、こんなことか」と思うことも多い。

 人生や生活でプロの価値なんか1%しかないのである。もし、その世界に閉じこもっていれば、何もものが言えなくなってしまう。素人の目なら間違ってもかまうことはない。傍若無人だ。そして新しいアイデアは99%の素人が握っている。

 

 

 

 

 

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

1

はじめまして。
パブリックコメントについては数が多いので、検索エンジンで探すのは大変だと思います。
自分自身は、「はてな」の「パブリックコメントのカレンダー」というリンク集のような場所をとても参考にしていますが、載っていない情報の存在を確認したり、、逆に、Googleではみつけられない情報が掲載されていたりの、両方の体験があります。
そして、自分としては、この場所を補完できるようなリンク集のブログが出来たらとてもうれしいだろうと思いつつ、自分のブログを書いています。目標は、未達成です。
実は自分自身は、日本語の文字を読むこと自体がとても楽しいので、実際は、ブログ本文が出来上がる前に、満足が訪れてしまっています。

  隅本証平 on 2007/08/13

ブログにコメントするにはCNET_IDにログインしてください。

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

2008年7月
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々今アーキテクチャが面白い
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトインターネットのリュミエール
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogleお前もか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
江島健太郎 / Kenn's ClairvoyanceiPhoneという奇跡
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点

読者ブロガー

個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志動画配信の影響なのかインターネット部門が「終了」
個人・少人数制作アニメーション現代記 - 真狩祐志
独断と偏見の気になる情報セキュリティGoogleというネットの巨大なメディアに支配される脅威
独断と偏見の気になる情報セキュリティ

企画特集

DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」DELLが掲げる「新・仮想化アセスメントサービス」
〜企業システムの仮想化環境の構築を支援〜

新着コメント

ルート134さん。コメントありがとうございます。 >すべての情報にはス......
Googleというネットの巨大なメディアに支配される脅威
投稿者:新倉 茂彦
コメントありがとうございます。 「消費者・生活者を主役とした行政への転換......
パブリックコメントは国民に知られていなかった( 2 )
投稿者:sumimotoshohei
こういう余計な人がいなければ、知られずにアリバイ工作できたのに。 //...
パブリックコメントは国民に知られていなかった( 2 )
投稿者:ルート134
一般にも、うけているが、マニア系にはHPLXの後継機なのでしょうね。 XPにも......
iPhoneの影で馬鹿売れしているみたい
投稿者:ルート134
>制作についてはこれといって語られない。 今週、4ch(読売)で深夜に少......
動画配信の影響なのかインターネット部門が「終了」
投稿者:ルート134

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

[レビュー]高い信頼性を普通に使う地球に優しい電源ユニット--Antec EarthWattsシリーズ EA-650
“自作ユーザーは、電源ユニットに何を求めるのか?”出力なのか、安定性なのか、それとも機能性なのか?難し
オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
今週の新製品総チェック:ドコモ、au夏モデルが続々店頭へ、ビデオカメラは新機種ラッシュ
NTTドコモ、auなど、ケータイ夏モデルの店頭発売日が決定し、盛り上がりを見せている。9.8mmの超薄型ケータ
[レビュー]テレビを持ち歩ける最強ツール--ソニー、Blu-rayレコーダー「BDZ-A70」
[レビュー]ネットワーク対応の高機能デジタルフォトフレーム--ソニー「Canvas Online CP1」
15時間の行列で手に入れたiPhone 3Gファーストインプレッション--ソフトバンクモバイル「iPhone 3G」
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「薄型テレビ」
[レビュー]通勤鞄に忍ばせたい軽さと装着感--マクセルのノイキャンヘッドホン「HP-NC15」