エキスポランドのジェットコースターの事故は、改めてジェットコースターとは大変危険な乗り物であることを思わせた。これはまた、かつての福知山脱線事故や流れるプールの事故、さらには各地の遊戯施設の事故等、安全管理がおざなりになっていることを感じた。その原因は何か。安全が目に見えないことだからである。かつての耐震偽装事件のとき、僕はこんなことを書いた。
建築主は「見える場所」には金をかけても、鉄筋という「見えにくい場所」には金をかけることを嫌った。そして購入者は「見える場所」のみを判断して「見えにくい場所」は見なかった。だが、乗客が「安全に命を守る」ことはあたりまえであるとして乗ったように、マンションが「地震から命を守る」のはあたりまえであるとして購入したはずである。しかし、いつの間にか「命を守る」ことが「見えにくい場所」に追いやられてしまったのだ。
私たちは、「命を守る」という根本常識を再び「見える場所」に引き上げなければならないのである。それしか、本来の安全な鉄道、安全なマンションに入ることはできないのである。(犯罪は入りやすい・見えにくい場所で起こる)
ディズニーランドで一番の人気はやっぱり「マウンテン」の名がつくジェットコースターである。子供が乗っても安全なジェットコースターであったはずだが、遊園地の絶叫マシン競争で安全にコストをかけられなくなったのだろうか。この見えない部分に金をかけず、見える部分にのみ金をかけるのは、人の配置にも見て取れる。本来、プロが行うべき監視や視察をアルバイトや目視で済ませたり、書類上でごまかしたりするのは、安全の軽視というしかない。
「安全」に金をかけない。しかも、本来目に見えないところこそ、気配りをしてお客に気持ちよく楽しんでもらおうというサービスが消えてしまった。この気配りこそが「安心」なのだ。だが、安全と安心はなかなか両立しないらしい。
それはなぜか。それは「安心」と「安全」がまったく別物だからだ。
では、なぜ安全と安心がセットで追及されるのだろうか。それは、一方が現実の状態を表し、もう一方が心の状態を表す、別のことがらだからであり、それに加えて、両者は必ずしも連動していないからである。もし、災害が減少し世の中が安全なものになるにつれて、人々の不安も取り除かれ安心も高くなるのであれば、両者をセットにする必要などない。政府や企業は単に安全だけを高めれば人々の安心がついてくるはずである。しかし、実際にはそうは行かない。だからこそ、安全とは別に、安心も謳っているのである。政府や企業の立場では、安心という心の状態にアプローチできなければ、政策や商品への支持につながらず、安全を高めるだけで満足しているわけにはいかないのである。(中谷内一也「リスク情報」NHKブックス)
さらに、最近報道されるのは、タクシー、トラック、観光バスなど運輸業界の厳しさである。規制緩和が異業種からの参入を許し、ほとんどの業界が派遣社員やアルバイトであふれている。ぎりぎりの睡眠時間、ぎりぎりの低賃金、いつ事故が起きてもおかしくない、なぜこんな状態までほっておいたのか。僕は「日本の無責任というシステム」で医師不足に言及したことがある。
ハードな仕事であればあるほど、個人の責任が問われる。問題は医師不足に限らない。日本全体が責任を回避しようという傾向があるのではないか。例えばプール・エレベーター・公共遊具・シュレッダー・ガス器具などの事故が今、報道されているのはなぜか。おそらく発売されてから常におこっているはずだが、なぜか今取り上げられているのは、いくつか理由が考えられる。@報道を抑えている政治家・関係団体(例えば日本医師会など)の力が弱まっている。A報道がそのことに関心がなかった。B関係者からマスコミにリークがなされた。C本来責任を持って処理するはずの会社の担当部署が責任を取らなくなった。D被害者の泣き寝入りが減って訴訟など明るみに出そうという傾向になった。
つまり、個人の責任を追及する姿勢が顕著になるとともに、明らかになったのは会社側の責任体制の不明確さであった。そうなると、医師のように医師個人の責任が明確なものほど医師になろうという人間は減っていくことになる。
かつて日本の製品は海外でも良質で安価であった。このときは、いざトラブルが起きたとき、会社が責任を取るかたちでよい商品と引き換えた。またその原因は追究され。二度と起こらないようフォローが万全になされていたはずだった。だが現在では、責任は正社員から派遣社員に移り、派遣社員からアルバイトへと移っていった。今、日本の現在を取り巻く漠然たる不安の原因はこの無責任の転嫁により、いつ自分がその事故により、その責任の代償を払われることになるかわからない不安でもあった。
「ジェットコースター」という乗り物は不思議な乗り物だ。「安全」なはずの遊園地で「恐怖」を売り物にしている。思えば、「スターウォーズ」も最近の「スパイダーマン3」も映像のそこここに「ジェットコースター」に乗ったかのような気分になれるシーンが満載されている。つまり、人々は「ジェットコースター」が好きなのだ。だが、それは安全であることが最低条件ではあるが。
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この分野にたいする、特に新奇な装置にたいする生命保険会社の見解をしりたい。