「インターネットは隕石である」と言ったのはソニーの出井元会長だった。 インターネットは、恐竜を滅ぼした隕石のように、産業界の姿を変える。新ビジネスが出てくる一方で、適応できない会社は滅ぶだろう。さらにブロードバンドネットワークも出現する。我々にとっては絶好の機会だ。(1999年COMDEXのスピーチ「ソニーとSONY」日本経済新聞社)
そういったソニーが、薄型テレビのブームに乗り遅れたのは、ご愛嬌だが、インターネットがメディア業界に巨大な嵐を巻き込んだのは事実だ。
さて前項「テレビ局解体論」で、現状ではテレビ局に自浄作用を期待できない以上、外圧つまり、インターネットによりテレビ局の解体は進むかというのが、今回のテーマである。
それにはまず、大きな条件がある。
@テレビとインターネットが同じ条件を整える
つまり、インターネットがテレビと同じくらい、簡単でハイビジョン放送が可能な状態まで画質を高められるかということだ。それにはVistaが地デジ対応になる必要がある。そうなれば、パソコン自体がホームサーバ機能を持つことになる可能性がある。
A著作権管理の問題
インターネットではテレビのコンテンツがのどから手が出るほど欲しい。CS放送には認められているのに、インターネットにはそれほど優良コンテンツが少ないのはなぜか。テレビ局としても死蔵するよりもお金を出して放送してもらうのはありがたい。しかし、現状ではセキュリティ問題があり、簡単にコピーされてしまうのはゴメンだというのだ。たとえば、YouTubeなどがそれに拍車をかける。
B収益モデルが描けない
インターネットで儲かっているのはポータルサイトや検索サイトばかりである。決して個々のホームページが収益に結びついていない。テレビのコンテンツは地域限定であるから、地方局に売ることもできるし、DVDやCS有料放送で二次使用が期待できる。ところがインターネットでは、そのまま世界中に流れてしまう。宣伝にはありがたいが、コンテンツを売りたい相手限定には向いていない。
インターネットは玉石混交の世界である。テレビ局というステータス(今さら、もうないという人もいるが、少なくともインターネットよりはステータスを信じる人が多い)がないので、その中から立ち上がって信頼を勝ち取るには労力がいる。
このようにインターネットとテレビでは向いている方向は180度違う。でも、制作会社にとっては大きな可能性がある。
日経ビジネスオンラインでは吉野次郎氏の「ネット狂時代、テレビ局の憂鬱」を連載しており、その中に「第6回・経産省が後押しする下請け番組制作会社の逆襲」という項目がある。テレビ局は総務省の管轄、制作会社は経産省の管轄だというのだ。
経産省は、「テレビ局に頼っていたら生き残れない」(メディアコンテンツ課)と、番組制作会社の危機感をあおる。
ネット広告市場の急拡大の影響で、すでに新聞・ラジオ・雑誌の広告市場は縮小傾向にある。「今後、ネット広告によるテレビ広告の侵食は免れない」。あるメディア業界のアナリストはこう予想する。テレビ広告市場が縮小し始めたら、テレビ局は番組制作会社への発注額を減らさざるを得ない。
テレビ局からの発注が減れば、番組制作業界は新たな活路を開く必要に迫られる。成長著しいネットが救世主に見えてくるはずだ。ネット向けの番組作りを始めた一部の野心的な番組制作会社の動きが、業界全体に広がるきっかけになる。
インターネットがテレビ局解体の方向に向かうか、それは視聴者の選択にかかっている。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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