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ファイル交換とノンパッケージ流通の交差点を探せ

2004/03/24 09:34
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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昨日(3月23日)、NHKの「クローズアップ現代」は「違法コピーがネットを駆けめぐる」というタイトルの特集を組み、Winnyなどファイル交換ソフトの罪悪を指摘した。番組では、著作権侵害で違法となりうる行為であると分かっていても、容易性、利便性で利用してしまうという現役利用者と、その行為そのものが犯罪であり、ファイル交換の存在自体が悪であると糾弾する行政や法執行側の双方のインタビューを放映していた。単に、ファイル交換という現象だけを見て、その善悪を判断するよりも、より建設的な発想に転換することが重要なのではないか。

日本の文化的魅力度とコンテンツ・ウラ流通の普及

面白い話を聞いた。お隣、韓国では日本の放送番組や映画などのコンテンツの流通が正式には解禁されていないにもかかわらず、日本でも人気の高いものは広く知られ、そのファンクラブの数も非常に多く存在しているという。ちょっと前までは、日本に滞在している人間がオンエアされたものをVHSで録画・郵送していたが、今では手作り翻訳テロップつきのAVIファイルがファイル交換ソフトで簡単に入手できるため、テレビやケーブルチャネル、映画館でこそ目にすることはないが、ブロードバンド大国である韓国では、PCで観賞するケースが非常に多いのだそうだ。

ハングルができなくとも、Go! Korea!の翻訳ソフトを介してYahoo!韓国などのサイトを見ると、テレビやアニメ、ゲーム、アイドルなどの多くのコンテンツ系ジャンルに、日本の情報が豊富に掲載されていることが分かる。

米国に留学していたとき、同じ留学生仲間の台湾や香港の女の子たちが、「JJ」や「CamCan」などの女性誌の情報に驚くほど詳しく、韓国からの留学生が行ったことのない東京の人気のあるお店を良く知っていることに驚愕した覚えがある。彼らの知識は、違法の雑誌輸出や違法コピー、個人の違法ダビングの成果であり、それが広く浸透していることを示しているのだが、同時に日本の文化的魅力度(知的財産権戦略本部流に言えば「Japan Cool」なんでしょうが)の高さを実感した。

# 90年代前半から半ば当時、同じアジア系の留学生でも、台湾、韓国、香港などからの人間は、日本に関する情報を共有しているため接しやすかったが、中国本土からの人間は日本に関する情報の保有はゼロに近かったため、なんだかトンチンカンなやり取りをすることが多かったことを記憶しているが、今はどうなのか

国内音楽市場では、もぐら叩き的な取り締まりに終始

「人気のあるコンテンツは、コピーされる。コピーされることが、人気のバロメータ」という、表現がある。最近では、状況が深刻なので、あまり軽々しくはいえないものの、その例えが示している現象は否定できるものではない。であれば、コピーすること自体をビジネスにしてしまえばいい。例えば、レンタルCDのように。

レンタルCDは、実質、借りてきて、聞いて、返す、というサービスではなく、ダビングしてから返すのが実質的な利用なのだが、それを正面きっては定義していないのがミソだ。ちょうど、パチンコには商品引き換え所が存在し、現金に換金することを前提としているように。その前提には、買ってきた/借りてきたCDをどう使おうと、いづれにしても私的利用であるから大丈夫というグレーゾーンにある。

しかし、今までも音楽パッケージは、FMなどのオンエアされているものをエアチェック(いやあ、死語だなぁ!)して、テープなどで楽しむという利用され、好きな曲やアーティストのものをよりよい状態で保存するためにレコードやCDを購入するというプロセスで流通していた。レンタルではなくとも、逆輸入であれば廉価でCDを購入することも可能だ。これまた、今度から規制がかかるという。

CDレンタルや逆輸入に対する実質的な規制の実施によって、CDを買うことを含めてCDに接すること自体を抑制してしまい、音楽業界の凋落を招いたのではないか。

そもそも、コンテンツはCDなどパッケージによって流通されていたわけではなく、無料流通であるプロモーションの成果としてCDに対する対価として支払われていたのに、最後の落としどころがレンタルやデジタルで抜かされてしまった。そのため、対処療法として、もぐら叩き的な措置がとられてきた。しかし、冒頭紹介した番組で言われるようにネットワークを利用されるとなると、どうしようもないのが現状なのだろう。

すでに、Winnyの開発者を含めた何人かが警察に逮捕や事情聴取を受けているという報道があり、検索するとたくさんの情報が見つかるが、それはそれ。コンテンツ産業の人間は、今までの仕組みの限界を理解した上で、現状維持の努力だけではなく、同時に新たなるアクションをするべきなのではないか。

簡単な合法課金システムの提供によるボトムアップを

再び韓国の例。

放送番組をIP上でどんどん放映してきた韓国では、PVRで録画するなんてことよりも、ネット上で見逃した番組を見るほうが簡単だとたくさんの視聴者が「発見」した。そこで、主要テレビ局は非常に廉価な価格で、番組の放映直後からネット上で有料配信を始めたところ、非常に好調な業績を達成しているという。

まさしく、元のNapStarなどでどうしようもなくなっていたところに、Appleのi-Podが登場し、簡単に、正規のコンテンツがたった99セントで買えるようになったら、そちらにメインストリームは一気に流れたのと同じだろう。みんながあるかどうかも分からないコンテンツを探して時間を無駄にするよりも、欲しいときに確実に、正規にルートで買えるのであれば、そちらを選ぶという簡単な選択をするという当然が改めて分かったのだ。

じゃあ、日本でも放送など映像コンテンツも、そうしたどうか?

もちろん、そうなると海外配信などでは、配信そのものではなく、内容がよろしくないという文化規制の問題は、当然残るが、それはそれ。そもそも、コンテンツを入手したいという人たちの自由を抑えて、利益を得るという発想は当然のことながらイノベータやアタッカーに打破される。しかし、それを遅らせていくのは主流派であり、イノベータのジレンマの例えそのものなのだ。

であれば、今こそメインストリームにいるプレーヤがインサイド・アタッカーとして、新たなるアプローチをするのはいかがか。TBS、フジ、テレ朝の民放3局の番組配信サイトトレソーラの努力はなかなか実らないという。が、それはそのはず、どれ程名作であっても、「監督が今年のアカデミー賞を受賞した」などの時代のコンテクストがなければ、ビデオレンタルショップでも古い作品には誰も手を出さないのと同様、当時は人気でも、今は誰も見ない。だからといって、メゲてはいけない。コンテクストを取り込んだ韓国の例を見習おう!

胡散臭いがすっかり定着してしまった感のある「デジタル三種の神器」たるHDD/DVDレコーダーなどに、ちまちま録画するよりも、必要だったらいつでも見れるというアーカイブの提供こそが望ましいのは、経済合理性から見ても当然だろう。であれば、お役所も、逆輸入CDの規制よりも、むしろ規制緩和ではなく、流通配信経路の自由化促進策を打ち出し、及び腰のコンテンツ・プレーヤーの尻を叩くのはどうか。

NHKの番組の中でも、ゲストの橋本典明さんが「開き直った、廉価で、簡単な利用」というアプローチの重要性を指摘しておられたが、全く同感。蓋をしても、すり抜けるというのが、デジタルであり、ネットワークの特性であることを理解し、それに応じたアクションをとるべきではないか。

ファイル交換ソフトの利用者を摘発した全米レコード協会も正規の音楽配信サービスをプロモートしている。また、専門家の多くが、i-Podなどのサービス利用の結果、今までとは違う形で新しいアーティストへの注目が始まったり、以前発表され埋もれていた曲の発掘など、多様な市長形態が現れていること、そしてその結果、産業が活発化していることを指摘している。

前向きに考えましょうよ。みなさん

# 購入したばかりの低反発マットレスに寝ながら

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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