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ナンバーポータビリティの次にくるべきもの

2003/12/17 08:57
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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携帯電話の電話番号を変えることなく通信事業者を変更できるナンバーポータビリティ導入を前提とした動きが始まった。しかし、通話サービスにのみ限定されたポータビリティよりも、今後より高度化される携帯電話を利用した各種サービスの導入を前提とした、携帯電話のオープン・プラットフォーム化=サービスのアンバンドル化を議論する必要があるではないか

ナンバー・ポータビリティ導入の意義とまだ議論が到達していない領域

モバイル・ナンバー・ポータビリティ(MNP)の日本での導入が議論されている。総務省で行われている研究会では、携帯電話事業者、学識者や外部関連事業者などが委員として参加している。当初、導入に必要なコストを鑑みると、アナウンス・サービスなどの補助的手段でMNPに代替させようという案が事業者などから提案されたようだ。しかし、総務省側からの明確な導入への舵取りの結果、今後、導入を前提とした議論が行われるようになったと聞く

本来、MNPの導入は、携帯電話利用者の事業者選択の柔軟性確保など「消費者の基本的な権利の保護」が目的であり、具体的なアナウンス・サービスなどのサービスの追加など「更なる利便性の追求」を促すものとは根本的に異なるという理解が重要だろう。

であれば、昨今の携帯電話の利用で一般的となったサービス、すなわち電子メール、SMSなどのポータビリティや事業者間接続も当然想定しなくてはならないだろうし、現在活発に導入が進められている個人認証をベースとしたサービスも議論の対象とするべきだろう。仮に、電話番号=通話に関するポータビリティが確保されるにもかかわらず、電子メールや電子財布などのポータビリティが存在しないのであれば、依然として事業者間での移動を阻害する可能性が高くなるのではないか

より徹底したサービス・アンバンドリングが必要

日常生活において肌身離さず持ち歩く携帯電話というハイテク機器に、その他の機器が持っていた機能を取り込んだり、今は存在しない機能を効率的に普及させるためのプラットフォームとして利用するという戦略が日本では功を奏している。

電子メール、ブラウザー、デジタルカメラがその成功例であり、時計や電子手帳もあまり意識しないものの、携帯電話がなければ別途利用せざるを得ないものだった。加えて、交通機関チケット(定期やプリペイド)や電子マネー、クレジットカード、各種サービス会員証などのサービスを、非接触・近距離間通信プラットフォームとして携帯電話を利用することで迅速かつ広範に普及させる具体的な動きがいくつか出ている

例えば、ドコモとソニーのフェリカ・ネットワークであり、auのKeiクレジットなどだ

# これらのサービスは、ICカードビジネスとして数年前に広く夢多く語られたものの、その普及基盤となるクレジットカードや住民基本台帳カードなどで、採用が見送られたり、利用範囲が限定されたりした結果、技術的には完成に近い領域にあったにもかかわらず、われわれの手許に達しなかったものばかりだ

しかし、どんどん知らないうちに携帯電話に蓄積される僕ら利用者の個人情報またはそれを領したサービスの利用履歴情報を、それらがたまたま携帯電話という端末にまとめられているからという理由で、特定の事業者に委託してしまわざるを得ない状況のは本当にうれしいのだろうか。ともすれば、現在利用している携帯電話会社に対応したサービスを提供している交通機関や金融機関などに、知らず知らずのうちに利用が限定されていく可能性を否定できない

もちろん、完全にオープンなプラットフォームとして携帯電話が機能すればいいのだが、そうなるともならないともいえないだろう

電話番号のポータビリティとは、携帯電話事業者から番号付与の機能を分離(アンバンドル)するということだが、オープンなプラットフォームとしての携帯電話を活用するというのは、ICカードに内蔵される機能のアンバンドルであり、それらを実現するための携帯電話端末そのものの仕様をある程度までは標準化するということに他ならない

iモードもプラットフォームとして徹したことで、サービス・コンテンツ・プロバイダーの活性化と取り込みに成功し、利用者に幅広い範囲での利便性を提供できたことを忘れてはいけない

他国に先駆けた仕様の導入の戦略立案を

もちろん、他にもiモードなどのサービスのポータル画面のオーナーシップの他事業者への公開などもまだ十分に行われているとは言いがたい状況もあるが、いずれにしても携帯電話のオープンプラットフォーム化の議論がそろそろなされる必要はあるだろう

そもそも、通信事業者が異なる仕様のサービス(PDC、CDMA1x、W-CDMAなど)を導入していることもあり、MNPを導入しても端末自体を交換しないことには、例えばドコモからauへの移行はできない点で、すべての事業者がGSMという欧州やアジアなどとは異なる環境にいることは事実だ。まあ、むしろ端末を変えたいから、通信事業者を移るという発想も十分あるのだが

現在、一部の事業者は、携帯端末で利用されるOSの共通化などを急いでいるが、メーカーと通信事業者の事実上の垂直統合が前提となっている日本独自の動きであろう。むしろ、オープン化=アンバンドルの徹底を行うという戦略を国ぐるみで考えてみるのはどうなのだろうか

MNPをめぐる議論でも、他国での導入を気にかける節が多く見られたが、そんなことはどうでもいい。むしろ、他国に先行して携帯先進国としてのポジションを明確にすることが、むしろ必要とされているはずだ。もちろん、過去のPDCや、そして現在のW-CDMAのように、先行したはいいが、日本プロプライエタリなものを作ってしまってはどうしようもない

あらかじめ海外市場をうまく取り込めるように、できればハードだけではなく、その上で提供されるサービスやコンテンツの世界でも優位を確立できるような視線をもって、MNP、そして電子メールやICカードを用いた拡張サービスの携帯電話への取り込みとアンバンドリングの戦略を設計する時期に来ている

# この冬一番の寒さの朝に、ゆっくりと朝食を食べながら

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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