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機能よりもデザインが先導する製品開発

2003/11/21 14:31
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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auのデザインプロジェクト製品「InfoBar」を使っている人をしばしば見かけるようになった。ストレートデザインの携帯電話は昨今珍しい。それ以上に個性的な電話の存在は、どれも似たり寄ったりのデザインばかりの昨今、目立ったものになっている。そして、InfoBarや日本への上陸も予定されているNokia 7600は、携帯電話のデザインは機能を顕在化したものではないのだな、と改めて気づかしてくれる

提供者の論理としてのフレームワーク

僕を含め消費者は自分のニーズから発想し、需要を意識する。それに対して、ハードメーカーは技術に先導されて製品化をすることが多い

時としてこの両者のギャップをうまく埋める製品が、大きなヒットを生むきっかけとなる。また、消費者は必ずしも自身のニーズを意識していなく、また顕在化させていないほうが多いため、文化人類学者的な視点をもったマーケッターは「コンシューマー・インサイト」として、この見えざる間隙を顕在化させることができる。単にマーケットリサーチをして計量化してしまうのではなく、むしろ質的なマーケティングを重要視する傾向が生まれたのは、これが理由だ

製品開発を消費者視点で行うには内部にいながら外部の視点をもつ必要があり、内部(個人または組織)の思考のフレームワーク(認知科学的にいえばスキーマ)を忘れる必要がある。しかし、これがなかなか難しいし、そもそも誰にでもできるものではないことは、あまり理解されていないようだ

デザインから始めるという発想の転換

そんな時、製品の機能よりもデザインから発想すると意外とたやすく「内部にいながら外部の視点」を得やすい

むしろ、必要とされる機能がある程度まで絞り込まれている製品市場であれば、デザインで差別化するしかない。また、また、デザインは製品自体をターゲット顧客に訴求しやすくもなることもあって、デザインへの注目は高まるが、その位置付けは「お化粧」のレベルであることが多い

しかし、「形態が本質を規定する」ことは多い

デザインが機能を規定する

利用する場所を想定してデザインされた機器は、そこ以外の場所での利用はイメージしにくい。場合によっては、機能性を有さないデザインが逆に利用する場所を特定させたり、利用場所こそ決定しないまでも、利用のスタイルや使われ方を決めてしまうことすらある

# 普及研究で「文化屈折」と呼ばれる現象がある。イノベーションが本質的な機能とは異なる使われ方で普及することだ。デザインや形態が、いかに独立しているかを知るには面白い。たとえば、中古の冷蔵庫を電気のない砂漠のど真ん中で使っている部族は、冷蔵庫の「箱」としての機能を重宝しているという。その上、その箱は密閉しやるい大きな扉がついているから、食品などを乾燥させないようにするには便利だし、何にも増して白に金色などのモールがついているデザインが好きなのだとか

例えば、迷彩塗装やモスグリーンのカラーリングだけで、ヘビーデューティな利用や屋外での利用イメージに結びつきやすいし、勘違いをして全天候型だと勘違いして水濡れさせて故障してしまうことすらある。それほどに、デザインは強力な説得力をもつのだ

視覚や触覚は直感的な理解が容易しやすい。一方、製能面での差別化はなかなか認識されにくい。むしろデザインのほうが製品の位置づけや特性、ターゲットユーザを規定するのに優れている。

デザインのミスマッチ感覚に個人差は出にくい

これは、逆にユーザーやシチュエーションからみてミスマッチ感が顕在しやすいことを意味する。「場」から発生する一種のアフォーダンスが自然に取り込まれるからだろうか、誰の目にも「変」と映ることが多い

また、不思議なものでぴったりかどうかという感覚は、個人差に拠るものが多いのだが、特定の条件から逸脱しているかどうかについては、かなり共通理解を得やすいという傾向がある。それがゆえに、一種のリトマス試験紙としてデザイナーの仕事は役に立ちうるし、意外と冒険は少ないのだ

もちろん、お化粧としてデザインではなく、商品戦略の基本構造つくりから始めないと意味はない。もちろん、通常、このプロセスではデザイナーのセンスも、マーケッターのスキルも、あまり当てにされないことが多い。いわゆるプロダクトアウトといわれる所以だが、まだまだ成功例は稀少なのが現実

ちょっと発想を変えてみてはいかがか

# 秋の晴れた日にボジョレーヌーボーの二日酔いさましで散歩した後に、研究室にて

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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