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NTT新会社は通信事業会社を超える

2003/11/11 22:44
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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先に掲載したエントリで取り上げたNTTのブロードバンド戦略会社「NTTレゾナント」がついに正式発表となった。本年3月12日の日経新聞のすっぱ抜き記事から8ヶ月。直後に「グループ各社の調整が不調であり、見送りになった」といわれていたが、今回、圧倒的なグループ資源を集約し、これまでにないユニークな戦略を提示し、どのような新世界を実現していくか楽しみだ

「BROBA+goo」以上にあまり具体的なイメージは見えない

多分に新会社が設立される12月から営業譲渡が実行される来年3月までにより詳細なリリースが行われるのだろう。現時点では、残念ながら、同社の発表を見る限り、その具体的なイメージはあまり伝わってこない

もちろん、事業収益見込みを500億円程度と設定し、3つの事業領域(「ブロードバンドポータル事業」、「映像コミュニケーションサービス」、「企業・コミュニティ等との連携による先導的ビジネスモデルの開拓」)を定義し、その営業形態もグループ各社を有機的にまとめていくと明言した点で、漠然と「ブロードバンド、やります」という掛け声ばかりが大きかったNTT-BB設立時よりは地に足が着いた印象を受ける

情報サービス起源の新会社は、通信事業をどう越えるか

だが、興味深いのは今回の発表にある「新会社の事業概要」である。もちろん、BROBAとgooという通信そのものではない事業を統合するため、事業概要にあるように通信事業というよりも「情報サービス」という印象が強い。すなわち、EC、コミュニティといった「通信の中身」に直接にかかわる事業を、NTT持株会社と通信規制を受けているNTT東西と深い関わりを持つ戦略子会社になることが興味深く、意味合いとしては大きいのかもしれない

BROBAを提供してきたNTT-BBもNTT持株会社の100%子会社でNTT東西が販売チャネルだったが、持株会社にとって研究所などと同様に同社をインキュベートしてきたという位置付けでしかなかったと考えれば、それほどの無理はない。しかし、地域通信を規制下で行っている東西事業会社が積極的に情報サービスを提供する新会社に(株式的にではないものの)参画する構図が描けているとなると、意味合いは異なってくる

# 本当にそうなっているかどうかが、グループ企業間の「調整」の目玉なのだろうが

本来、通信事業者は「通信の秘密(通信事業者は通信利用者の通信内容を知ってはならない)」というルールに縛られてきた。情報提供や情報の加工は、VAN(付加価値ネットワーク事業)やISPのように第2種通信事業として区分され、通信ネットワーク/サービスを提供する設備を持つ第1種事業者とは異なる存在として位置づけられてきた

旧NTT、あるいは地域通信事業者であるNTT東西は、第1種事業者として通信ネットワークを流れる情報そのものには手を触れてこなかったが、規制緩和により通信事業者の区分が消失し、通信事業者が情報処理の世界に踏み込めるようになってきている

そもそも、NTTグループにはNTTデータという大手SIerが存在し、NTT分割後はNTT東西やNTT Com、そして関係会社の収入源としてSIやNIは大きな位置を占めるようになっていた。だが、システムやネットワークの構築を行ったとしても、情報そのものを直接的に処理するというのは子会社を中心に行ってきた事業だが、中核に最も近いポジションに就くNTTレゾンナントは既存の境界線を明確に越えることになるようだ

通信とITの事業者区分が消失していく

すでに通信ネットワーク事業を持つIT事業者は多いが(富士通(本体のネットワークサービス事業本部と100%子会社のニフティ)やNECなど)、インカンバントの通信事業者で「通信+SI+情報サービス」のすべてのプロフェッショナル・サービスを提供する事業者はNTTが初めてではないか

# もちろん、アタッカーとしてのYahoo!BBなどは存在するが

僕の以前のエントリーでは、通信と放送の融合という領域で大きく広がる可能性を米国の通信事業者のマーケティング戦略から指摘した。が、NTTグループはこれとは違うものの、先進国のフラッグシップ通信事業者の中では珍しいほどの通信とITの融合サービス事業領域に足を踏み出そうとしているようだ

もちろん、スペインのTelefonicaのように海外でも積極的にネット事業展開をしているケースはあるが、やはりISP部門とネットワーク事業部門を区分している(あるいは規制上せざるを得ない)

その点、NTTグループの移動体部門であるNTT DoCoMoがiモードという形で、すで通信と情報サービスの境界線をぼやかす尖兵となっていた点で、すでに通信+アルファの世界に足を踏み入れていたともいえる

個人的には、放送との融合というもうひとつの挑戦領域にも世界の最先端としてぜひともチャレンジしていただきたいが、通信とITの融合という事業としての動きも興味深い。先進国では国営が中心だったフラッグシップ通信事業者は民業圧迫を回避するために、民間ではあったものの公正競争を保持するために相互に事業の乗り入れを許されなかったAT&TとIBMのように、今まで通信とIT、情報サービスは明確な形では統合されてこなかった

ブロードバンドという名目の元、NTTの新たなる挑戦がどのような発展を現すか、興味を持って見守って行きたい

# 自宅リビングルームのソファで、Title 12月号を傍らに、Pet Shop Boysを聞きながら

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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