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ブロードバンド新会社は放送とITで付加価値を生め

2003/10/31 13:55
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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NTTがブロードバンド専門会社を新設するという(10月31日付 日経新聞記事)

既存事業会社の統合

新設とはいえ、まったくの新規ではなく、NTT-BB(ブロードバンドイニシアチブ)とNTT-Xの統合による再出発になる

NTT-BBは、ブロードバンド・コンテンツ配信および映像コミュニケーションサービス、そしてインターネット接続サービスである「BROBA」を提供しており、NTT持ち株直下のブロードバンド戦略会社として2001年に設立された

一方、NTT-Xは、分割前のNTTマルチメディアビジネス開発部を前身にNTT-MEの子会社として設立され、ネット関連企業への出資やNTT-ADでスタートした検索エンジン事業(現在はポータル事業)「goo」の提供会社として、またネット関連人材の輩出元としても知られる企業だ。現在はNTT東日本配下にある

BROBA+gooで付加価値は生じるか

分かりやすい形ではBROBA+gooの提供会社という位置付けがあるが、それではわざわざ新会社として設立する意義に欠ける。やはり、ユニークなブロードバンド・サービスの提供会社としての位置づけを期待されるのが当然だろう

だが、そこで「ユニークな・・・」って何だろう?という疑問が起こる

BROBAはブロードバンド黎明期にコンテンツ配信を主軸としてスタートしたものの、自身は多数の顧客を有するわけでもなく、かつコンテンツを開発・買い取る仕組みを持っていたわけではないため、コンテンツ事業者と組まざるを得なかった。しかし、コンテンツ事業者としては、「蛇口(提供先)は多いほうがいい」という発想があり、顧客基盤を持たないNTT-BBとエクスクルーシブな契約をすることは少なかったようだ。結果、@niftyなどの大手ISPのブロードバンド配信サービス競争に埋もれてしまい、「NTTのブロードバンド会社」という鳴り物入りのスタートの割には成功しているとは言い難い結果になっている

一方、gooも日本発のポータル事業者として奮闘しているものの、所詮「ポータル」事業でしかなかった。そのため、競合プレーヤーがブロードバンド接続など垂直統合を急ぐ中、NTTグループの1ポートフォリオという立場上拡張展開ができなかったために出遅れた感をぬぐいきれない

いずれにしても、厳しい言い方をすれば、決して大成功を収めているとはいえず、NTTブランドの下でのみ生き残れた2サービスを統合したところで、垂直統合ともいえず、これまでにない新たな価値の形成ができるわけでもなく、競合プレーヤーにとって脅威にはなりえないだろう

新会社は何する会社ぞ

では、意図的に新たな訴求価値を設定しなければならないことになる

そもそも世の中にまったく存在しない価値を提供できるのならばまだしも、ほとんど想定しうることはほぼすべてがNTTグループのどこかが提供しているといっても過言ではないだろう。であれば、それらサービスを移管統合してワンストップサービスを提供するという手もあろうが、政治的には簡単なものではないし、モノによっては規制や独禁などによる制限も生じてこよう

であれば、まったく世の中にないわけでもなく、NTTグループがいまだ提供していない「新たな訴求価値」とはなんだろうか?

実は、あるのだ。それも、結構イケるのが

例えばだが、先日、AT&TとBellSouthの合併断念の話で取り上げたように、「放送+通信の融合」というサービスを目玉にしてはどうなのだろう

# その後、協議の席を立ったBellSouthの株価は大いに落ちたそうだ

すでにスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)子会社のオプティキャストとNTTグループは、NTTが提供するFTTH上でCSで配信されている番組などを放送仕様(64QAM)の配信方式で提供することで合意している

オプティキャストは、ほかにもマンション向けのFTTHプロバイダであるつなぐネットコミュニケーションや有線ブロードネットワークス系のFTTHプロバイダ・ユーズコミュニケーションらとも販売提携をしている。が、サーバ型放送基盤技術やインタラクティブ番組開発などについてはNTTグループのお得意とする部分も多いため、FTTHを提供し、利用するという関係以上の組み合わせが成立しうるのではないだろうか

また、NTTグループのFTTHを活用すれば、オプティキャストが提供するCS系の番組だけではなく、地上デジタル放送やBSデジタルの再送信も可能になるのは、以前から述べてきたとおりだ

通信・放送の融合に加えてITサービスの提供も

単に通信+放送の再送信ではなく、インタラクティブ・サービスの提供や、サービスやコンテンツ提供者のための決済などバックオフィス系をWebサービスなどによって簡単に接続できるようなITの領域にまで進出すれば、NTTブロードバンド新会社の活躍余地は非常に広がることになる

先に掲げた米国での通信事業者と衛星放送事業者のマーケティング・アライアンスは、飽くまでマーケティング上の協働であり、物理配信網の共有すら行かない。しかし、FTTHで先行する日本では、物理配信網の共有に加えて、そこを流れる放送や通信のトラフィックを超えた領域に事業機会が見出せる。IT=情報処理という領域だ

通信事業者にとっても、放送事業者にとっても未知の領域ではあるものの、この部分の提供こそが、放送・通信の融合による新たなビジネスモデルの創出につながるものであり、ここを押さえなくして競合優位を得られることはないのではないか

新会社のユニークさを、放送との組み合わせとIT領域への進出としてみてはいかがだろうか

# 秋のやさしい陽の下で紅葉の始まった樹木を眺めながら、自宅にて

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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