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米国通信事業者の合併協議は放送融合の序曲

2003/10/29 12:02
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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AT&Tが念願の地域通信網を手にするとどんな展開があるものか。ちょっと前に「AT&T & BellSouth Merger」の噂を聞いたときにいろいろなことを想像したのだが、Wall Street JournalのAlartによると協議が決裂してしまったようだ

AT&Tとベルサウスの合併協議、中止へ

NEWS ALERT
from The Wall Street Journal

October 28, 2002

The latest round of merger discussions between AT&T Corp. and BellSouth
Corp. collapsed Tuesday when BellSouth indicated it was unwilling to move
forward with a deal, according to people familiar with the talks.

For more information, see:
http://online.wsj.com/article/0,,SB106738515181702000,00.html

2000年直前には、インターネット、そしてブロードバンドへの圧倒的な期待感が高まり、AT&Tに代表されるインカンバント・プレーヤーと、現在では存在しなくなってしまったものも多い新興プレーヤーたちも含め、広く通信事業者たちに華やかなスポットライトが当たった。が、その後の顛末はご承知の通りだ

通信は決してダメな市場ではない

その反動もあってか、携帯電話事業者を除いて、通信というビジネスは全部ダメになったかのような風評がある

いや、現在、華々しさはないものの、事業としては依然として堅調を続ける通信事業者は多い。もちろん、携帯電話の普及などによる固定電話収入の減少などは深刻だ。しかし、ネットへの入り口を押さえているという点では、決して将来性がないとはいえない。従量から固定へと、今までとは料金というゲームのルールが変わりつつあるだけだ。だから、コストを圧縮し、何らかの付加価値をつければ、成長には限界があるが、それなりに安定した将来が待っている

この将来への到達方法は、2つの流れがあろう。すなわち、AT&TとBellSouthの合併話のように、「地域+長距離/バックボーン系」といった垂直統合による事業の厚みをつけ、入り口ひとつあたりのネットサービスの付加価値をすべて自社で取り込もうとするもの。もうひとつが、入り口をたくさん集めて、広く薄くのスケールで勝負する、というものだ

後者を実現するためには、入り口を持っている地域電話事業者が既存の加入者をそのままブロードバンド・サービスにこぼすことなく取り込む必要がある。しかし、規制によってこれ以上の地域通信会社同士の合併は困難だろう。また、同業・異業の強敵が増えている。すなわち、新興地域通信事業者、ISP、そしてCATVだ

しかし、ライバルはテレビ

既存のスケールで稼ごうとしている通信事業者にとって脅威なのがCATVだ。だが、AOL/Time Warnerのようにネットサービスすべてを自社網で処理するだけの体力を持っているプレーヤーが上位には多いため、垂直統合志向の通信事業者にとっても脅威になりうる

ブロードバンド+多チャンネルTV+IP電話。このブロードバンド「三種の神器」はBellSouthのような旧Beby Bell系よりも、CATVの方が提供しやすい可能性がある。そして、なにより、全米世帯普及率70%以上を誇るCATVは通信基本料金よりも単価が高く、消費者心理として「解約する気は毛頭ないCATVに、プラスアルファするだけでインターネットも電話も使えるならばうれしい」という価格感覚があるため、FTTHやADSLを入れるといきなり基本料金の2〜3倍が必要となる通信事業者よりもアプローチしやすいといわれている

そこで、規制によって直接にビデオ配信サービスを提供できないVerizonやBellSouthは、CATVの対抗馬である衛星放送事業者と組んで、「衛星放送+通信」のパッケージ商品を盛んに宣伝している

# 地域通信事業者は衛星放送事業者との合併や買収を規制上、許されていないために、マーケティング上でのタイアップになっている

放送通信の融合はカウントダウン

ブロードバンドで正面勝負をしても、衛星放送とのバンドリングを行っても、依然として通信という事業の基本が設備型である限りは、垂直統合をするにしてもある程度はスケールをとらないとどうしようもない。そういう意味では、細かな管理を必要とするネット関連サービスよりも、放送のほうがコスト的に相性がいいとも考えられる

だが、いずれにしても、消費者は「オールインワン」に流れがちなのは確実で、一歩間違うと既存顧客をCATVにさらわれる可能性が通信事業者には大きな恐怖なのだ。地上デジタル放送にまつわる足かせをFCC(規制を行う:連邦通信委員会)につけられたCATVに対抗して、いかに先行したマーケティングを行えるかがカギと見ている通信事業者が多く、その売り物として上述したように「放送」が位置付けられているわけだ

これをマーケティングレベルであっても「放送通信の融合」といえなくもない。そして、その延長には、確実に放送も通信もひとつの物理回線で配信されるようになる、「本当の融合」が控えている。AT&T+BellSouthの交渉は、「通信による放送の融合」の将来像をカムアウトするきっかけになるかとも思ったのだが、どうやらもうちょっと先になるようだ

さて、地上デジタル開始を控えた日本では、どういう展開になるものか楽しみだ

# 静かな早稲田の研究室にて

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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