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グループシンク

2003/10/09 23:58
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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ふと思い立って、参謀など帝国軍について、いくつかの書籍などをひっくり返した。きっかけは、オフィスの荷物の整理のときに発掘した「失敗の本質」であり、その再会から得た、戦略立案を生業とした参謀というポジション、そしてそのエリートたちの失敗などへの考察が、イノベーションとマーケットに悩む日本の家電、ITなどの企業にとって有益な学習になるのではないかという発想だった

同書を最初に読んだのはいつのことだろう。太平洋戦争や満州などの歴史的な背景はともかく、巨大な組織を動かすという仕組みに興味を持ったのが最初のきっかけだったと記憶している

その勢いに任せて、昨日今日で家にあった瀬島龍三の「大東亜戦争の実相」やら山崎豊子の「不毛地帯」まで再び読み始めてしまっている

ちょうどこのblogの公式デビュー(!)に向けた山岸さんとの打ち合わせを兼ねたランチでも、個別に話をすると非常に優秀な日本の総合電機メーカーやIT産業の幹部の方々が結果的に勝っているとはいいがたい状況を甘受している原因のひとつとして、戦略策定能力の欠陥があるのではないかということが話題に上がった

    # アニメやゲームが盛り上がっているというのは、実は市場の表面的なことであって、その企画や製作の現場は疲弊し、新たな作品の登場はなかなか困難になりつつあるというのも、「プロデューサー不足」に原因が求められることが多い。が、これも産業全体をひとつの組織や態系として捉えたとき、アービトレージを市場全体に仕掛ける全体戦略/プレーヤーを欠いた産業構造だったことの結果だったのかもしれない

ひとつに、戦略策定を行う人材の不在がありうるが、どうやら本来的に能力面では非常に優秀な人材を取り揃えている一流企業であればあるほど、一概にはそう思えない。(それに、そうであるとしたら、そういう人材を獲得したらいいだけの話だ)もうひとつに、人材は揃っているものの、組織は個の能力の和にあらずという性格から生じている可能性が指摘できるだろう

もし、仮に後者であるとしたら・・・

世界大戦に望んだ大本営の参謀たちは、各地方から選抜され。幼年学校、士官学校、軍大学で、(日本ではなく)米国のビジネススクール同様の「考え抜き、議論し尽くす」というトレーニングを経て、「不可能はない」と称せられるせられるほどの能力を身につけたという

それほどまでの精鋭がそろっても、組織的な欠陥を乗り越えられなかったという指摘を、「失敗の本質」は行っている

同様にアリソンの「決定の本質」やハルバースタムの「ベスト&ブライテスト」で指摘されているように、極限的な状況では「グループ・シンク」という人間の潜在的な恐怖への反抗や共通信念が反映されやすい意思決定の流れが生じてくるという、一種の潜在的初期値決定性の誤謬が現れる

本来的には、中立客観的な視点からこのような流れを修正する機能が組み込まれているべきなのだが、いかんせん機能しにくいものだ。企業でも、役員会、監査役や株主という「監視」仕組みがあるにもかかわらず、機能していないことが多い。経営陣の意思決定が何らかの形で偏り、結果として成長機会を逸することになれば、本来的には株主たちは訴訟を起こしてもおかしくないのだが、そのような話を耳にすることは少ない

「三人寄れば文殊の知恵」という諺がある一方、「船頭多くして、船、陸に上がる」という戒めもあるのも、経験的にこのような誤謬が発生しやすいことを示しているのだろう

こんなことを考えながら、夕方に某研究会に講師として伺った。そこで、参加者の大手企業のシニアマネージャやエグゼクティブの方々に、間接的にこのことを問うたところ、返ってきた答えは「そんな高度な問題じゃない。そもそも、戦略を考えることがないのだ」といった内容だった

やれやれ・・・

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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