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政府戦略本部の議論って

2003/10/06 23:23
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mori

マイクロソフトやマッキンゼーで情報通信分野の戦略立案に携わってきた森祐治さんが、通信・放送業界やエレクトロニクス産業に関連した時事的トピックスについて、アカデミックな視点から分析していきます(このブログの更新は2004年4月9日で終了しました。続きは<a href="http://japan.cnet.com/column/mori/">コラムによる連載</a>をご覧下さい)。
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今日は、休職中にもかかわらずオフィスに出向いた。その後、下の打ち合わせに入って、大学に行きそびれてしまった。研究室からのリモートデスクトップ、接続ポートを変えた成果を確認できず。接続ポートの変更でダメなら、ポートフォワーディングとかしないとダメかも・・・。ううむ、面倒

さて、今日の午後、小糠雨の中、某ホテルのティールームで政府の某戦略本部の下に設置された某専門委員会の第1回会合のための資料について、コメントを求められた

なんといえばいいのか困ってしまった・・・

その資料は、専門委員会の座長である民間人(財界人)への説明資料として、官僚の方が作ったものだ

××産業を戦略的産業と位置づけ、政策的資源の抜本的拡充を図る

と、第1ページにどーんと宣言された資料ではあるが、そのための具体的なアクションについては、それ以降の10数ページに目を通してもなんら記述はない。せいぜいあるのは、主要各国における市場規模の比較や各国政府の取り組みなどのまとめと、すでに様々な委員会や審議会、戦略本部などで議論されている課題とその議論の状況をまとめで、この専門委員会が行うべきユニークなアクションやそのオプションなどについては一切言及されていない

そもそも、同専門員会の設置目的は、戦略本部が行う議論の中でも一部の産業が対象にする領域について、政府としての取り組みについての理念の整理と方向性の特定だというから、それほど明確なものを求めるのは間違っているかもしれない。また、その第1回打ち合わせ資料ということであれば、尚更かもしれない

しかしだ、専門員会のメンバーはこの戦略本部が対象とする領域を管轄する複数の官庁が推薦するメンバーで、大学関係者や業界の関係者が中心だ。座長は中立性を保つためにかその業界とは異なる世界の民間人を選んでいる

メンバーの多くは政策立案のプロではないし、むしろ座長と大学関係者を除いては既得権益側の代表といったほうが妥当だ。また、他のメンバーである大学関係者であっても、実質、官庁と密接な関係のある先生方ばかりだ

それに対して、中立性を問われる座長は、企業や政府関連の活動に対して経験豊富な方ではあるものの、この領域についてはまったくの素人といってよいし、彼自身がサポート・スタッフを擁しているわけではない。そのため、実質的には事務局の提供する情報と、参加メンバーの意見のみが、彼が得られる情報のすべてであり、その中から今後の日本の進む道が特定されることになるわけだ

だからこそ、その座長向けの資料が、このレベルなのでは、「明日の日本、果たして大丈夫か?」と、思わざるを得ない

事務局は、僕が思うにその世界の課題をずばりと指摘し、何が問題で、その解決のための糸口としてはこのようなものがありうる。しかし、その実現のためには、これこれが障害となっている・・・など、「戦略本部」たるもの、議論はアクション志向の内容であるべきではないのか?

そして、議論すべきはとことんやる。といっても、そもそもそこに居合わせるメンバー自体が、すでに「調整」済で、ある程度まで予定調和で落ち着くところにはまるためのメンバーである限りは、突っ張った話題自体が上がることもない・・・。

こんな現実を知らないわけではないものの、「国家戦略」を議論する場に向けた、ほとんど「お茶を濁す」といったレベルの資料を見せられて、改めて言葉を失ってしまった。この意見を求めて来た方も官僚なのだが、「大丈夫だろうか」という意があってこその行動なのだろうと思うのだが(まあ、その裏に官庁同士の競り合いなどがあるのだろうが・・・)

しかして、「国家戦略」を議論する場で「お茶を濁す」ような資料が罷り通るという事実に、驚くというよりは、むしろ呆れざるを得ないのは、極めて悲しい現実だ。結局は、この戦略本部自体がお飾りであるということを、否定できないからだ

じゃあ、そもそも国家戦略本部って何なんだ? 

これと同じとはいわないが、政局で盛んなマニフェストについての議論が、結局は具体的なアクションプランも数値目標も提示しない骨抜きマニフェスト=現在の公約と何の変わりもないものになりかねないと、危惧をしないではいられないのは僕だけか

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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