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「らくらく“おさいふ”ホン」 最終回 「ICカード 後編」

2007/08/27 13:36
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プロフィール

宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
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■誰でも簡単にICカードアプリが作れる時代に

宮田 前編でもお話しましたが、大規模な取り組みとしてコンビニなどで普通に使えるようになった今、今度は小さなイベントや商店などでもフェリカが使えるようになるといいですよね。もちろん我々のようなモバイルサイト運営企業も含めて。
伴 既存のカードや会員証も簡単におサイフケータイ対応が可能なサービス「イスタンティーノ」を弊社は今年より開始しましたが、さらにこの6月より「ピットモット(TM)」というパッケージサービスが稼動しました。これは、現在電子チケットを中心に展開していますが、それ以外にも手軽におサイフケータイを使ってクーポンなどのサービスを提供したい事業者向けに提供するアプリのパッケージです。基本的なアプリの機能はすでに用意されているので、後は会員証とかクーポンとかアプリケーションによって、HTMLから制御出来る様になっています。
宮田 例えば、弊社がイベントをやる時に、一からフェリカのアプリを書かなくても、イベント独自の部分だけをカスタマイズして使えるみたいな感じでしょうか?
伴 そんな感じのイメージです。迅速・安価・簡易な導入が実現したことで、これまで気軽に採用することが難しかった短期間のイベント等でもおサイフケータイ対応が可能になりました。9月20日から4日間開催予定で、20万人近い来場者が予想される「東京ゲームショウ2007」でも採用されました。現在東京ゲームショウの公式サイトからチケットを買うと当日、専用レーンでかざして入場が可能です。
容量の制限などはまだありますが、だいぶいろいろなことはできるようになっています。これまではセキュリティへの配慮などから、一般サイトでアプリがすぐに使える状況にありませんでしたが、ピットモットはそれを徐々に可能にしようという仕掛けです。
宮田 ベーシックなICカードとしての機能も向上してきたし、それにあわせてその周辺のアプリケーションもどんどん進化してきた、というのが今の状況ですよね。
伴 そうですね。これまでは、3キャリア対応でおサイフアプリを作ると2000万くらいかかります、という状況でしたが、このパッケージを使えば十分の一程度で作れるようになりました。どんどん利用していただきたいですね。

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■さらに利用のハードルを下げる 〜メールでフェリカ?〜

宮田 冒頭にもお伺いしましたが、ICカード全体の発行枚数(1億3200万枚)の40%以上(5500万枚)がおサイフケータイになっている状況ですよね。ただ、利用面で言うと、おサイフケータイは持っていても実際はICカードは普通のプラスティックカードを使っているユーザも多いように感じますが、その点はいかがですか?
伴 私自身キャリア出身ということで、iモードの例を引き合いに出させていただきます。iモードがブレイクした理由には、2つ要素があったと思っています。一つ目は、コンテンツ自体で色々と新しいことが出来る部分だと思います。それに加えてもう一つ重要だったのが「メール」の存在だと考えています。それまでショートメールでは、60文字くらいしかやりとりできなかったのが、iモードメールになって10,000文字まで送れて、しかも絵文字も付いてる。これで、多くのユーザがどんどんメールをやりだしたっていうのが、iモードのブレイクの1つの大きなきっかけだったと思っています。おさいふケータイでも「いろんなことできます」という部分は、すでに提供できている部分だと思いますが、iモードにおけるメールのようにエンドユーザー同士がコミュニケーションをする時のキラーが欠けているかな、と。
宮田 たしかに今のおさいふケータイは大分便利になったけど、まだ「たのしさ」はないかもしれませんね。
伴 例えば、前編でお話をしたICカードでのプロフィールの転送なんかも一つのコミュニケーションですし、メールを使って電子マネーをハンドリング出来ます、とか、ポイントカードになります、とかね。今後は、携帯電話の今のサービスと「シームレス」になっていくっていうのが必要と考えています。
宮田 さっきのディズニーのような例でも、メールで友達にクーポンを送るような機能があれば、実際に体験した人がメールで友達に伝えるというのは大分ありそうですよね。
伴 ディズニーさんの例でも、このキャンペーンで初めておさいふケータイ使った人が78%と非常に高かったんです。まだまだ使われていないということですよね。ただ、このキャンペーンを通して、友達に知らせたり、それで実際に使った人も非常に多かったです。特に女性であれば、SUICAもnanacoもプラスティックカードとなってしまうと、これまでと同じようにおさいふがかさばってしまうので、きっと携帯の方がいいはずです。今後も、メールの話だけでなく、ブラウザとも連動するなど、よりシームレスにICカードを使えるしかけを考えていきたいと思います。逆に、宮田さんから見ていて、こんなことできたら、というのはありますか?
宮田 伴さんのお話しともすごく関連する内容ですが、二つあります。一つは「パパママショップへの展開」、それと「P2P」ですね。電子マネーはすごく便利ですけど、まだ私の財布の中にはたくさん小さな店舗のポイントカードと(ほとんど使わない)クーポンが入っています。何とかこれをおサイフケータイ化したいですね。それができればパスモもおサイフケータイで使います。それと独自性という意味でもP2Pは是非広めて欲しい。飲み会のあとの割り勘を幹事の携帯とタッチしていくだけでできるなんてのは、魅力的ですよね。
伴 P2P自体は、運営する側の始点で言うと正直お金をどこで稼げばいいの?という話になってしまうので、なかなか進んでいません。ただ、一時期、ジャパンネットバンクさんの10円振込みなどが流行ったことを考えると、あるかもしれないですね。来年の春くらいから、キャッシュカードなどの共通化も予定されているのでその辺で何か変わるかもしれないですね。
宮田 店頭でのクーポン配信の「トルカ」などがはやっていないのも、まだまだ小さな店舗が対応できていないのが大きいと思います。僕らのようなコンテンツベンダーなどが、どんどんアプリケーションを作りやすい状況になるといいですよね。興味はあるけどフェリカ対応とか出来ていないベンダーって多いと思うんですよね。そこが出来るときっと面白いですよね。
伴 そう遠くはなく実現していくと思います。「インスタンティーノ」「ピットモット」はある程度そこを意識して設計してるので、導入費用という面でも今までより劇的に下がりますし。おさいふケータイははまだ利用のハードルはあるのですが、1回使っていただくと7割以上のユーザの方が満足していただいています。後は、おさいふケータイの決済の利用で、通常より購入する商品が増えるとか来店頻度が増えるとか、導入する側にもメリットがあるはずなので、導入の裾野を広げていければと思います。

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■らくらく「おさいふ」ホン

宮田 モバイルのインターネットは、若年層向けというイメージが強いというのが一般的な見方だと思うのですが、見方を変えると、携帯電話はパソコン以上に年齢の高い層も持っているわけで、潜在的なターゲットと言えると思います。私の父親と話をしていると、パソコンでインターネットは使うけど携帯は使わない。でも、SUICAは当たり前のように使ってるんですよね。そういう意味では、ICカードが提供する利便って非常にわかりやすいので、それが高年齢層のモバイルインターネットの利用の入り口にならないかな、と思ったりしています。
伴 カードの方が特に高齢者の方には分かり易いっていうのは、おっしゃるとおりですね。先程指摘したメールの件ですが、私の父親の年代でもメールくらいは携帯でできているので、(アプリではなく)メールでFeliCaが扱えるようになれば、たぶんもっと普及するのではないかと考えています。
宮田 それは同感です。
伴 僕は、個人的には、「らくらくおさいふホン」を作る必要があると言ってるんです。
宮田 具体的に言うとどんなものですか?
伴 コンセプトとして、「高齢者が使えるレベルのおさいふケータイ」。文字の大きさや操作感の問題など、らくらくホンで実現しているようなことをICカードに対してもやるイメージです。高齢者が使えるものですから、本当にユニバーサルなものにしないといけない。そういうところは絶対に必要だと思ってるんですよ。
宮田 それはいいですね。現状まだモバイルSUICAを使っているお年よりっていうのは、あんまり居ないんですよね?
伴 興味はあるみたいなんですけどね。駅でもモバイルSUICAの説明を熱心に聞いている老夫婦を見かけたりします。ただ、今のままだと正直難しいかなと思っています。現状はまだリテラシーの高い人向けというところがあるので、今後いろいろな側面で努力をしていきたいと思います。事業者側の裾野を広げるところとあわせて、おさいふケータイの利用を広げて行きたいと思います。

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サービス開始当初にam/pmでしか使えなかったという状況から考えると、現在の状況は本当に別世界のように便利になりました。伴さんがおっしゃるように、おサイフケータイだけで一日生活する、なんていうことも無理なくできるようになりました。

一方で、プラスティックカードにはない「おサイフケータイならでは」の部分がなかなか明確に押し出せていないので、「持ってるけど使わない」という人が多いのも現状ですね。アプリケーションが「決済」なのか「プロフ転送」なのかは分かりませんが、「端末間通信」がおサイフケータイのブレイクスルーになるのではと、個人的には感じました。端末をくっつけるだけでマイミク承認ができたりしたら、結構はやるのではないかな?と思います。

「クロスメディア」という切り口でいうと私たちの会社がやっていることも手段は違え、同じことですので、是非おサイフケータイがもっと普及して、決済やクーポン、割り勘など普通にできるようになるといいですね。

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この対談という形式での連載は今回が最後になります。

対談をしてテープを起こしてというのは想像より結構大変で、更新もしばしば滞ったりとご担当の方にはご迷惑をおかけしましたが、一つ一つの話は非常に刺激的で示唆に富むものが多く、個人的には非常に楽しませていただきました。

次回からは「東西ケータイ見聞録」という題名に衣替えをして、もう少しラフな感じでアジアやヨーロッパ、アメリカなど海外のモバイルの事情なんかに関してもブログを書きたいと思います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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