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「エディ割り勘」 最終回 「ICカード 前編」

2007/07/23 10:04
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プロフィール

宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
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昨年の12月から始めさせていただいたこのブログですが、対談という形式は今回が最後ということになりました。来月以降は、私が最近海外に行くことが多いということで、アジア、ヨーロッパ、北米など、海外のモバイルの事情を中心のテーマにしてブログを書くことになりますのでよろしくお願いします。

さて、最終回ということで選んだテーマは「ICカード/おサイフケータイ」。
あまり新しくないテーマに聞こえるかもしれませんが、筆者は今後のモバイルアプリケーションを考える上で「外部のデバイスやメディアとの連携」がもっとも重要と捉えおり、現時点でもっとも使われている外部連携デバイスであるICカードを取り上げることにしました。現在の主流のモバイルコンテンツ・アプリケーションは、「モバイルの中で楽しむこと」を主眼にして作られているものが多かったですが、今後の広がりのポイントとしてはICカードが提供するような「クロスメディア」的な点にこそ将来があると思うのです。

タイムリーにも本日リリースされましたが、来年には念願の一兆円超えが確実になったモバイル市場の中で、これまで市場を牽引してきたモバイルコンテンツ市場に取って代わり、2005年以降は、ICカードによるチケットや交通などのサービスを含むモバイルコマース市場がその成長を牽引しています。すでにセブンイレブンを始めとするコンビニではほとんどのお店でICカード決済が利用できるようになっています。また、積極的にICカード利用を進めている分野の一つである航空業界でも、ANAがチケットはすべて電子化すると発表するなど更に追い風が吹いているような気がします。

今回は、携帯電話向けの非接触ICチップの供給元であり、普及に向けて様々な取り組みをされているフェリカネットワークス株式会社企画部の伴さんに、おサイフケータイの現状と今後の展開に関して話を伺いました。


フェリカネットワークス 伴氏

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■おサイフケータイ第二世代

宮田 フェリカネットワークスは、ソニー、ドコモ、JR東日本の合弁会社で、モバイル向けのICカード事業をやれられている会社です。ところで、現在御社の提供されているICカード「フェリカ」全体ではどのくらいの規模になっているのですが?
伴 カードは今年7月に累計出荷数が日本全体1億3200万枚、携帯向けICチップが5500万枚を突破しています。全世界だと、カードと携帯向けあわせた累計集荷数が2億2700万枚にのぼります。
宮田 もう億単位なんですね。そのうちモバイルフェリカ/おサイフケータイはどれくらい普及しているのですか?
伴 昨年末でおサイフケータイが2500万契約だったんですが、5月末で3300万を超える携帯電話が普及(実際稼動)するところまできました。普及台数が、2008年3月末で、4770万というのが現在の予定です。あと、使える店舗数も現時点で18万店舗までになりました。対応店舗数は今後もまだまだ伸びていくと思います。ただ、これらは「決済」という観点での数字ですね。後は、JRさんがやっているモバイルスイカの乗車券利用ですね。これもようやく50万を超えたと聞いています。当初の初年度100万人には到達していないものの、1日1000人〜1500人ぐらいの数が増えていっているらしいんですよ。やはり、対応機種が70機種を超えて、当たり前のようにおサイフケータイが増えてきているので利用も今後更に伸びると思います。
宮田 モバイルスイカも開始当初はアプリの容量の問題などで、最初のダウンロード自体がかなり難しかったというのもハードルでしたよね。現在は、その点解消されているというのもあると思います。
伴 おサイフケータイは、第二世代に入ったと感じています。第一世代というのは、サービス開始当初の形で、まずはこれまでお財布を膨らませる原因だった「複数のカードを1枚にまとめる」事でした。NTTドコモでいうと、903とか703からフェリカチップのバージョンが新しくなって、容量が倍以上に増えました。このことによって、スイカなど大きなアプリが入っていると後1つか2つくらいしかアプリが入らなかった状況から、他に10個くらい入るくらいようになり、お財布にあるカードをすべてICカードに入れてしまうという夢の実現に一歩近づきました。第二世代に入ったというのは、「おサイフケータイだけで生活できる」というイメージです。ついに地下鉄やバスなどでも使えるパスモが始まったことで、JRで使えるスイカとあわせて交通機関はすべて大丈夫。ランチもコンビニであればどこでもおサイフケータイが使えます。私自身も、自宅を出てからスイカで電車に乗って、会社に来るとピッと鍵が開いて、お昼はエディで食べにいって、コンビニでもエディで決済して、帰る時も同じ様に帰って行くっていう形で、「一日財布出してない!」っていうのに今週初めて気がつきました。そういう意味でいうと、僕みたいな生活が出来る人が今後増えていくのではないかな、という風に思っています。
宮田 なるほど。確かにおサイフケータイが使えるシーンは圧倒的に増えましたよね。先日のニュースにあった「硬貨が年間6億枚減少している」というのも、電子マネー・おサイフケータイの普及を感じさせます。

■次のステップは「CRM」 エージェントとしてのICカード

伴 先程申し上げたとおり、フェリカも第二世代に入り「どこでも使える」というのは当たり前になりました。一方、ハードとしても、大手三キャリアさんは基本的に今後ほとんどの端末に載せていくといっていただいています。
宮田 そうすると、おサイフケータイとして次のステップとしてはどの辺になるんでしょうか?
伴 先日、マクドナルドさんも来年の秋から、電子マネー決済を導入いただくことを発表いただきました。いよいよこうなってくると、ランチはマックでいい、となると通勤から食事まですべておサイフケータイでいけるようになります。そうすると、リアルの世界の中で、ユーザどんな導線でどんなアクションをおこしたということから、どんな趣味・嗜好を持っているのか、まで分かるようになってきます。
宮田 なるほど。確かに、GPS情報などを使うことで「その時」どこにいるのかという情報が分かっているサービスプロバイダーは増えていますけど、「履歴」が把握できてはいないですよね。その点、ICカードの履歴が追えれば面白いことになりそうです。
伴 平たくいうと、CRMなんですけど、おサイフケータイでは、その人はどういう属性をもってるかとか、何をやっているかとかは分かるので、リアルな部分で更にパーソナライズされたサービスを提供するための情報を把握出来るツールなんです。
宮田 良く分かります。そういう意味では、トルカなんかももともとはそういう発想だったのではないですか?飲食店やドラッグストアの店頭で、ユーザの属性に合ったクーポンが配信される、例えば女性であれば化粧品の割引情報が配信される、というような。ICカードというと、まだプラスティックカードの利用が多いと思いますが、この辺は携帯でしかできないですよね。携帯と本当の意味で連動して、ユーザ自身の事を知っているICカードが、その情報をベースにして情報の取捨選択してくれるみたいな、そういう事をしてくれないかなとすごく思うんですよね。
伴 ですよね。インターネット業界の方々は、皆さんそういう方向を薄々理解しているのかなと思っています。今のところ、複数のカードがこの中に入りますっていうのが、エンドユーザーさんに対する付加価値としてのアピールなんですけど、今後はリコメンデーションみたいな部分に繋げていければいいなと思っています。CRM的な発想を持ち込めれば、もっとハッピーな利用シーンを見出せるのと思っていて、次はその辺に取り組んでいきたいと考えています。
宮田 フェリカネットワークとしてユーザIDを発行するみたいな、発想はないんでしょうか?たしかマイソニーIDってありましたよね。
伴 マイソニーIDはあるのですが、まだフェリカと連動はしていないので、今後の課題です。

■20%のユーザが店舗間送客 : ディズニーとの実証実験
伴 CRMという切り口で、昨年夏のディズニーさんとの実証実験をご紹介します。「タッチパス」というサービスを使って、東京都現代美術館で開催されたディズニーアート展にフェリカチケットを使って来場した来場者限定で、ディズニーストアで使えるクーポンを配付しました。木場にある東京都現代美術館は、一番近いディズニーストアまでもバスで20分くらいかかる場所なんです。それでも、結果としては、クーポンをもらった人の実に20%のユーザがディズニーストアまで来店して、クーポンを使いました。その中で、当日行った人が37%、1週間以内とすると70%。「ディズニーの気分」になってるっていう時に、うまくモチベーションを付けてあげると遠くても送客できるということが良くわかりました。
宮田 この数字はすごいですね。二人に一人以上クーポン使うというのは、普通のクーポン情報誌などではありえない数字だと思います。
伴 今回はディズニーさんでしたけど、ユーザの属性を上手く使ってリアルで回遊するようなモティベーションを造ってあげれば、それはそれでかなりの効果が出るって事は僕らも分かりました。今後は、これをプラットフォーム化して横展開するっていうところが、今僕らの1つのターゲットになっています。
宮田 このようなサービスはまだ実証実験の段階ということですが、一般的に利用できるようにするための課題はどの辺にあるのでしょうか?
伴 まだ課題は多いのですが、やはり会場の側に設置するリーダ(ICカードを読み取る装置)のシステムの問題があります。この辺がより簡便にかつ安価で設置できるようになると利用は進むと思います。

■「エディ割り勘」できるって知ってました?
伴 リーダライタという話でいうと、あまり知られていないんですが、ドコモで言うと903から端末のフェリカ自体がリーダにもなってるんですよね。
宮田 そうなんですか!知らなかったです。ということは、端末同士でフェリカ情報のやりとりできるんですね。
伴 そうです。実際にやってみましょうか。
(私と伴さんの携帯をくっつけて、伴さんのアドレスデータを送ってもらいました。すごい簡単!)
宮田 さっきの伴さんの話で、確かにお店での支払いはおサイフケータイでかなりできるようになってきているけど、友達と割り勘するのは難しいですよね、って突っ込みを入れようとしてたんですけど、そういうことも将来できるんですね。
伴 今でも、ビットワレット(エディの発行会社)さんに送金額の1%の手数料をお支払いいただければエディを使って送ることができるようになってます。
宮田 エディtoエディはもうできるんですね。
伴 先程のイベント利用の話で言うと、リーダライタはだいぶ安くなってきてるんですけど、携帯電話同士でやるって事も可能なので、今後リアル側の投資は、特にイベント利用というのは、かなり安くなるという風に思っています。
宮田 なるほど。ディズニーさんみたいな大手だけでなくて、リーダはなくても、ラーメン屋の親父が首から提げてる携帯でクーポン読み取って50円引きみたいな話もできるわけですね。

宮田 先程のCRMの観点に話を戻すと、本当はディズニーだけの輪の中での話でなくて、ディズニーでの買い物とマツキヨでの買い物が両方反映されるCRMがあるといいですよね。そうすると本当の意味でのおサイフケータイのバリューが出る気がします。
伴 我々も、そういう事は常日頃から考えています。ただ、以前の宮田さんのエントリにもありましたけど、「誰かに守られてる!」つまり、秘書だとかエージェント的に捉えてもらえるか、「誰かに見られてる!」監視されているというようにネガティブになってしまうか、ユーザどちらに感じてもらえるかがポイントだと思います。まずは、おサイフケータイに関連するサービスを提供する事業者がそれぞれのCRMを進めていいって、その中のユーザとの信頼関係でエージェント的なサービスを提供していけばよいと思っています。その先に次のステップがあると思います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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