お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

「パーソナライズ」「集合知」対談2 「検索」 後編

2007/01/13 15:12
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
ブログ管理

最近のエントリー

前編はこちら

-------------------------------------
宮田 紺野さんが前編で指摘されたような検索結果の精度の問題以外にも、キー操作の制限により一番上に表示されたものが広告であったとしてもクリックされやすい、というようなモバイルならではの問題もあると思います。今後、モバイルにおける検索はどのように方向性で発展していくとお考えでしょうか?

紺野 まず、PC・モバイルという違いはさておき、検索エンジン自体の発展の方向性としていわゆるセマンティックウェブ的な概念を取り入れる動きは今後出てきています。つまり、検索エンジンがページに書かれている情報をこれまで以上に理解することで、検索の精度を上げていくという技術に対する取り組みです。これは、もちろんモバイルにおいても精度という面で大いにプラスになると思っています。加えて、今後のキーワードをあげるとすると、「パーソナライズ」と「集合知」でしょうか。
「パーソナライズ」とは、文字通りユーザ毎に検索結果を変えていくという仕組みで、GoogleなどはすでにPC向けには導入しており、過去の検索履歴を活用して検索結果画面を個人毎にカスタマイズするオプションがあります。モバイルにおけるパーソナライズも、「場所」や「時間」といったシチュエーションによって変わってくると思われますので、これから試行錯誤が行われることでしょう。これは、キャリアがどの程度まで情報を提供してくれるのかという点にも依存してきますので、今年の中盤頃から方向性が見えてくると思います。
もう一つの「集合知」は、いわゆるCGM的な発想で、単なるシステム的な検索ではなく、ユーザ同士が情報をシェアしあったり、ユーザ自身がデータベースを構築していくような仕組みのことです。これはビジネスモデルにも関連する話で、ポータルサイト的なビジネスを展開しているYahoo!のようなサイトからすると、単に効率よく検索が行えてその検索結果から他のサイトに短時間でユーザ流出する仕組みを作っても仕方がない。つまり、ユーザに対して検索機能としての満足度を提供しつつも、自分たちのサイトにユーザが滞留する仕掛けをつくろうとすると、CGM的な発想になるわけです。

宮田 携帯電話は、そもそも「電話番号」や「メールアドレス」という個人情報が組み込まれているデバイスであるという点で、検索に限らずユーザがサービスをパーソナライズされることを受け入れやすいというのは同感です。では、どのようなレベルでパーソナライズは進むとお考えでしょうか?

紺野 パーソナライズって意外と難しいですよね。同じ情報でも、最初に欲しかった情報が、次に見たときにはそうではなかったりする。 モバイルがPCと違うのは、すでに生活に密着してある種の生活プラットフォームになっている点です。そのため、ユーザがわざわざパーソナライズしようと意識しなくても、検索エンジン自体が勝手にそのユーザに最適化していくということができるのではないかと考えています。例えば、年齢・性別といった基本情報などはユーザが登録するとして、自動的に端末から取得できる位置情報、有料課金コンテンツの利用情報などをユーザ情報として検索エンジンの側に供給していく。ユーザが求めているのは、いかに短いリードタイムで自分の欲しい情報まで行き着くかなので、いま存在しているキャリアのトップメニューなどに検索が勝てるような仕組みを作れるかが大きな分かれ目だと思います。セッション毎に「この人は、今こういう状況だからこういう情報を求めているはず」ということが見えるレベルまで情報が供給されるようになれば、現在の状況よりは精度が上がってくるはずだと思っています。

 宮田 なるほど。個人的にはパーソナルデバイスという側面を大いに活かして、パーソナライズ検索を追及して欲しいなと思いますね。一方で、端末の中にある個人情報を取られるという見方をして気にされるユーザも少なくないと思いますが。

 紺野 当然ハード側の公共性と、個人のプライバシーのバランスをどうとっていくかという点は重要だと思います。もしかすると、ユーザが主導するオプトイン、オプトアウト的なものに依存するかもしれません。特に日本の場合は、検索エンジン主導でというよりも、キャリアの力が強いという側面があるので、彼らがその辺りをどう主導していくのという点に注目をしています。

宮田 なるほど。その他に、モバイル向けの検索を考える上での問題点などはありますでしょうか?

紺野 非常に基本的な話なのですが、検索の精度以前の問題として、企業側は実はモバイルサイトを持っていないという問題もまだまだあります。また、企業サイトは持っていないのに、キャンペーンサイトだけ持っているという会社も多い。これまで、大手企業でのモバイル活用は良くてキャンペーン利用だったので、特定の部署やサービス単位でサイトが作られているというレベルだったりします。この辺りは、検索エンジンの普及と並行する形で徐々に企業側の意識が変わってくれば解決されていくと思います。
 
宮田 そもそも検索すべきサイトが存在しないというのは、改めてモバイルの検索というものが草創期にあるのだということを感じます。さて、最後になりますが、「モバイル独自」の検索の仕組みというものの可能性についてはどのようにお考えでしょうか?例えば、90年代に固定電話向けに試験的なサービスがいくつかあった「音声検索」や、弊社も含めて取り組みがされているカメラを使って見たものをそのまま検索する「画像検索」などがありますが。

紺野 音声と画像は間違いなく今後のキーになってくると思います。ただ、一方で、やはりこれまで普及しない足かせになっていた「精度」の問題がどれだけクリアされているのかがポイントになると思います。その辺りがクリアになれば、音声や画像による検索というのは間違いなく来るのではないかと思っています。特に、画像という切り口で言うと、YouTubeなどの成長により、「動画の最適化」という視点がすでに出てきています。一つ一つの企業が動画によりいろんな情報を発信していこうとし始めている中で、それは例えばIR情報のストリーミングであったり、PRであったり色々な情報が含まれると思いますが、そういった動画がどのような形で検索にかかってくるのかというのを管理したいという企業側のニーズが出てきています。まだ、画像検索や動画検索はそれほどされていないという状況はありますが、企業側の動きが先行してそうした流れを作っていく可能性を感じます。

irep1.jpg

-------------------------------------------------

 ようやくという感じで昨年急浮上した「検索」機能ですが、今回伺った実際の検索クエリーの内容や結果の例示を見てみると、ユーザの期待に応えられるレベルにはまだ到達していないように感じます。一方で、紺野さんが提示された「パーソナライズ」「集合知」というキーワードにあるように、PCインターネットの発展の中で見出されたモデルを活用できるという強みがあるのも事実なので、そうした点とモバイルの特徴をうまく組み合わせた新しい形が今後開発されることが期待されます。
 「検索」というアプリケーションは、現在のPCインターネットでの検索の形の印象がどうしても強いですが、改めて因数分解してみると、「入力手段」「データベース(インデックス)」「アクション」の3つの組み合わせで成り立っています。特に、携帯電話における検索を考える場合に、一番革新が期待されるのは「入力手段」の部分で、すでに「文字(キーボード)」「音声(マイク)」「画像(カメラ)」「位置(GPS)」「店舗(ICカード)」「赤外線」といった様々なものが存在しています。昨年急速に普及したQRコードなども携帯電話ならではの面白いある種の検索手段といえると思います。従来の検索エンジンの精度向上の部分に期待するとともに、「モバイル独自」の検索エンジンの形にも期待したいと思います。
 次回は、その一つ「カメラ」の可能性について、画像技術がご専門の慶応大学斉藤教授とカメラメーカー、オリンパスの古橋氏と三人で対談いたします。現状の携帯電話のプラットフォームの枠にとらわれず、「カメラ×携帯電話」という切り口で何ができるのかについて、話を伺いたいと思います。

次回以降もよろしくお願いします。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社