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「アマゾン→着メロ?」 対談2 「検索」前編

2007/01/08 09:22
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宮田拓弥

携帯電話向けアプリケーションの業界で、常に新しい製品・サービスを模索・開発してきた宮田拓弥氏(ジェイマジック株式会社代表取締役社長)が「ケータイ用アプリの未来」について考えていきます。
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 前回のテーマ「広告」とも大いに関係する「検索」機能を今回は取り上げます。「検索」は、インターネットにおける最も重要なアプリケーションの一つです。新しいウェブサイトを訪れる際に、検索サイトでキーワード検索を行い、その結果からサイトに辿り着くというのはいまや一般的な行動となりました。

 一方で、モバイルの世界においては、こうした「検索」機能・行動はまだ常識になっていません。ユーザは「自分の探したいサイトを検索する」という自由を与えられず、各キャリアのトップページからしかサイトを探せない、という状況が長く続いていきました。ただ、ご存知の通りこの状況に大きな変化が起こり始めています。昨年、auがGoogleを検索エンジンとして採用し、そのトップページの一番上にGoogleの検索窓を設置したことが大きな契機となり、モバイルインターネットにおける「検索」の状況が大きく変化しています。ドコモでもGoogleを含む検索サイトを利用できるようになり、ソフトバンクもYahoo!の検索サービスを使えるようになったということで、「一応」すべての利用者が特に難しい操作を経なくてもPC同様検索サービスを使えるようになったと言える状況になりました。

 今後、モバイルインターネットにおける「検索」はどのように発展をしていくのでしょうか?

 オフィスや家庭のデスク上で利用されるPCとは、探したいもの(街中で、旅行中に)、入力手段(文字以外の入力手段)、表示方法、その後のアクション、など様々な要素が異なるはずです。すでに一部事業者からは、モバイルを対象に「クリック」ではなく「問い合わせ電話」をかけた時点で広告費が発生する「Pay Per Call」という新しいモデルなども提案されています。
今回は、検索エンジンマーケティング(SEM)大手で、先日モバイル向けにもSEMサービスを提供することを発表したアイレップの紺野取締役に、モバイル向けの検索サービスの現状と今後の展望について、お話をお伺いしました。


アイレップ 紺野取締役

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宮田 まず、最初に会社の概要からお伺いできますか。

紺野 弊社の事業は、インターネットにおけるマーケティングをクライアント様に提供して収益を得るモデルと、そのマーケティングノウハウを使って、ユーザとクライアントのマッチングを行い、収益を得る2つのモデルがあります。私が責任者をしているのは、1つ目の「インターネットマーケティング事業」です。この領域にはすでに何社か大手の会社が存在する中で、弊社が差別化として取り組んでいるのが、検索エンジンマーケティングという分野です。現状は、ネットの中でサーチという手段を使った情報のマッチングをメインに取り組んでいますが、今後、PCというハードにこだわらず、ユーザが自分の欲しい情報にできる限り短いリードタイムで行き着けるようになるようなマッチングを軸にしていきたいと考えています。

宮田 御社でも早速SEM事業の開始を発表された、携帯電話での検索の現状を教えてください。

紺野 まだ本当に始まったばかりなので、詳細な統計がとれているとは決して言えないのですが、Overtureのツールから抽出したモバイル検索クエリに関するデータがここにあります。「アルバイト」に関連した検索ワードに関する統計なのですが、PCにおける検索の場合、「アルバイト タウンワーク」「アルバイト an」といった「社名、固有名詞との組み合わせ」による複数ワードの検索が全体の約6割程度見られるという特徴があります。PCにおける検索がこのような結果になる理由として、ユーザがある程度検索に慣れているというリテラシー側の理由と、キーボードの入力がしやすいというハード側の理由があると思います。一方で、モバイルにおける検索の場合は、ほとんどが「アルバイト」一語による検索で、「単ワード率」が75%超と非常に多く、社名、固有名詞との掛け合せがほとんど見られないのが特徴になっています。また、「高収入」「短期」「在宅」などのキーワードが多いのも特徴です。

宮田 なるほど。短期的なデータとは言っても、「単ワード率」の違いはデバイスの特徴を反映しているよう気がしますね。ところで、ユーザは、モバイル検索で求める情報に到達できているのでしょうか?

紺野 例えば「キャッシング」と検索した場合に、あまり関係のない個人のページが結果の上位にランキングされたり、キャッシング会社ではない会社が表示されたりする場合もあります。また、せっかく大手キャッシング会社がヒットしても、本来であればトップページや商品ページがヒットされるべきところを、規約ページやFAQページが上位に表示される場合もあります。残念ながら、現状は検索エンジン側の問題により、あまりユーザが欲しい情報が表示されていないというのが現状です。極端な話をすると、少し前まで「アマゾン」と調べたのに着メロサイトが出てくるという状況もありました。モバイル特有の問題として、アクセス制限やエンジンによるロジックの違い(文字数が多いページがヒットしやすい、カテゴリーを重視、など)などもモバイルSEOを行なう上でのポイントです。

宮田 この辺は、PCにおける検索に関しても90年代は同様の問題点が存在していましたよね。当然検索エンジンの側もこの問題は認識されているのでしょうね。

紺野 もちろん我々のような立場の人間だけでなく、検索エンジン側も現在のような検索結果画面は問題があるという認識をしているので、今後どのようにしていったらよいかという、試行錯誤の時期なのです。ですから、我々のようなコンサルティング企業は、クライアント様と、どのように検索エンジンンを考慮してサイト構築をすべきかという点を検討していますし、検索エンジンやキャリアも、今後のモバイル検索エンジンのあり方について検討をしているタイミングになっています。

宮田 現状では、検索を利用したユーザの満足度は決して高くないと想像されますが、広告主の側の姿勢はどのような感じでしょうか?広告主的にもやっぱり厳しいなという感じなのでしょうか。

紺野 精度としてはまだまだという面がありながらも、PCよりもモバイルの方が、効果が高いと判断をされている業界も出てきています。例えば、人材系でいうアルバイト業界。この業界は、ターゲットであるユーザのボリュームが大きいということと同時に、最終的な収益化というところからみてモバイルの方が効率的という判断をされるケースも出てきているようです。転職や派遣はモバイルではまだなかなかうまくいっていませんが、モバイトドットコムさんなどがテレビCMを放映しているように、アルバイト業界においてモバイルはかなり活用されています。アルバイトといっても、「短期」などの衝動性の高いものなどは、もう明確にモバイルにシフトしていますね。 また、教育関係でも、大学・専門学校など若者をターゲットとする業界もモバイルにシフトする傾向が強くなっています。
 確かにまだまだいろいろな問題は抱えていますし、モバイルユーザでない層から見るとネガティブにも見られがちな面もありますが、やはり若年層などを購買層に持つ分野ではモバイルの活用はかなり進んでいるのが現状です。実際に、検索のクエリ数も明確に増加傾向にありますし、最終的にマーケットはますます大きくなっていくというのは間違いないかなと。

宮田 検索エンジンと一口に言ってもたくさん存在していますが、精度などの面でどこがいい、というのは出てきているのでしょうか?

紺野 難しい質問ですね。現在主流は、PCでの検索エンジン提供会社なのですが、多くが米国の会社です。やはり、実際の日本の市場に合っていないという面がどうしてもあると感じています。また、日本独自でサービスを展開している会社も、アダルト・フィルタリングやクラスタリングなど独自の機能を盛り込むなど特徴を出されていますが、最大のポイントである「精度」という面で言うとまだまだというのが正直なところです。そうした状況の中、リスティング広告の方が、自然検索結果よりもユーザが求める内容に近く、クリック率がPCと比べて非常に高いという過渡期的な状況も生まれています。

宮田 最近、テレビCMで「続きはこちらで」と言って検索窓が表示されるケースが非常に多くなっていますよね。PC、モバイルという切り口だけでなく、他のメディア、テレビCMも含めて総合的にSEMを考える方々は増えているのでしょうか?

紺野 私の印象では、まだまだこれからという感じです。広告代理店や広告主の構造的な問題として、テレビCMの担当とインターネット広告の担当の間にあまりコミュニケーションがないように見受けられます。テレビの方は、マスのメディアにおけるユーザとのコミュニケーションを非常に理解されているのですが、ネットにおけるユーザとのコミュニケーションは理解されていない場合が多いです。ただ、徐々にではありますが、自動車会社で、新しい車種が出てきたときに、ユーザの間でどんな評判になっているのか、具体的に車名で検索して自分たちの商品が出てくるのか、などをきちんと管理しようという動きは出てきています。まだその中にモバイルが組み込まれるという状況ではないですが、今後ニーズがでてくるでしょうし、我々のような会社もサービスメニューとして加えていくことになると思います。

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 前編では、主にモバイル検索の現状について伺いました。現状は、検索エンジンとしての精度が確保されていないという点と、モバイルの特徴(画面が小さい、利用シーンが違う、など)とが混在しているためそれぞれの結果と理由を分析するのは難しいようです。ただ、現状の統計で見られた「単ワード率」の高さやリスティング広告のクリック率の高さなどに見られる、ユーザにとって「容易であること」「シンプルであること」の重要性は、今後もモバイルでの検索機能を考える上で重要なポイントになりそうです。

 後編では、モバイル検索機能今後の展望について伺いたいと思います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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