最終更新時刻:2009年11月12日(木) 14時22分
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なぜドコモの新しい型番が失敗なのか?

公開日時:
2008/11/06 03:53
著者:
松村太郎

docomo 2008-09 WS collection

 これまで高機能版90xと個性派70xというシリーズ分けをしてきたドコモが、思い切って4つのラインアップに分類して、機能に寄らないケータイの選び方を打ち出した。今までドコモとソフトバンクが似た型番の付け方をしていたが、ドコモがauっぽい型番の付け方になる。

 今回せっかく新しい命名ルールになったのに、4つのシリーズと型番のルールは連動しない。メーカー名のアルファベットはこれまでと同じでNはNEC、PはPanasonic、SHはSHARPなのだが、その後の数字は各メーカーの発売順、アルファベットは冬モデル〜翌夏モデルまでをA、次の冬モデル以降をBとするようだ。

 今回のモデルでは日本国内の端末では04ないし05までラインアップされているため、次の新製品は05、06と続くことになる。そして翌年度になれば、X-01Bという端末が出始めると見られる。このルールはケータイ市場の飽和に対して、ドコモ自身やメーカーがそこまでケータイの形状やコンセプトを新たに設定し続けることをしなくて良い、というメッセージのように感じられる。

 つまりだ。今回登場した、PRIMEシリーズにラインアップされたSH-01AはAQUOSケータイであり、SH-01BになってもCになっても、PRIMEシリーズのAQUOSケータイであり続けてくれれば、合点がいくというモノだ。「メーカー名 - 数字」の組み合わせが個性を持ってブランド化してユーザーに定着していけば、選びにくい、わかりにくい、という印象も払拭できることになる。出てきた当初の没個性感は、今後の展開によって解消できるはずだ。

 今後シリーズが増えるかもしれないが、当面4つのシリーズ、22機種が出そろい、来年は現行端末を売り続けるか、ソフトやサービス面で追加をするBモデルを出せば良いのではないか。端末のデザインやコンセプトの耐用年数を延ばし、今まで半年ごとに出してきた「似ている新しい端末」ではなく、同じ端末を成熟させることで、LTEなどの次世代高速大容量通信に向けてのメーカーの余裕を作れれば良い。

 ではユーザーからみるとどうだろう。

 高性能な90xシリーズと個性派の70xシリーズが良かったのは、似た型番ルールを持つコンペティターがいた点である。ソフトバンクモバイルでも、高性能端末にはSoftBank 9xx、個性派モデルにはSoftBank 8xxの型番を与えてきた。つまりユーザーがラインアップを比較するとき、ドコモの90xとソフトバンクの9xxを比べてどうか、というチョイスが出来、競争も生まれた。

 しかし今回競合相手を見つける目安となる型番ルールが崩れ、キャリアの戦略が強く出た4つのシリーズとそれに関係ない型番ルールが設定されたことで、キャリア間でどの端末を比べればいいか分からなくなる。キャリア間だけなら良いが、ドコモの中のメーカー間でも分からなくなった。短期的に見れば、ドコモのラインアップに目を向けさせるには良いかもしれないが、長期的に見ると、これは失敗だと思う。

 100年以上続く自動車産業が参考になる。日本メーカーは同じプラットホームで大量のモデルを送り出すが、海外の自動車メーカーはシンプル。Mercedes-BenzならA、C、E、M、S、SL、SLK。BMWなら1、3、5、X5、7、6、Z4。AudiならA3、A4、A6、Q5、A8、A5、TT。それぞれのモデル名の順番は、メーカーは違うが同じセグメントを順に表し、コンペティターとなる。選ぶ顧客にとってもわかりやすい。

 ケータイと自動車を単純に比べることは出来ないが、自動車のセグメント分けは今回ドコモが行った4つのシリーズ分けのそれに似ている。だとすれば、ドコモ以外のキャリアも、このシリーズ分けに乗ってくれれば比較しやすいし、ケータイの端末やサービスの競争の領域も設定され、市場が活性化するのではないだろうか。

 最後にグローバル展開の話。

 最近取材をしたHTC。彼らはTouch Diamondを世界で300万台販売した。そして日本でもEMOBILEを皮切りに、ソフトバンク、そしてドコモからリリースされる。ソフトバンクでは高性能なスマートフォンシリーズである「Xシリーズ」として、ドコモでは最先端のケータイを使いこなす「PROシリーズ」として位置づけられている。つまりTouch Diamondは、どのキャリアからも「Windows Mobile搭載のスリムでクールなスマートフォン」としてリリースするのだ。

 彼らは1つの市場におけるマルチ・キャリア戦略を欧米で成功させ、その戦略を日本でも展開しようとしている。つまりTouch Diamondは、ケータイでありながら、自動車と同じ「グローバル・ワン・プロダクト」なのだ。そして、2008年に日本で発売されたiPhoneやNokia E71も同様である。

 ドイツのメーカーが自動車産業のブランドと発展を牽引していくように、日本のケータイメーカーが世界に対して同様の役割を果たせないだろうか。それを考えたとき、どうしてもドコモのシリーズと連動しない没構成的な型番ルールが、もったいないと思ってしまうのだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

6

お店では4つのラインアップ分類に合わせた陳列をしているわけで、これは90Xi・70Xiの時と変わらない。
買う側って言っても、大抵の人はお店に行ってモックなどを触って決めるわけで、別段困る事でもないですよ。

正直なところ、携帯に詳しい業界人ばかりが不満を言っていて、一般の人たちは「5、6万で携帯なんて、今使ってるのが壊れでもしなきゃ買わないからどうでもいいよ」というのが実際のところなんじゃないかと思うのです。

  korly on 2008/11/22

5

2番目のコメントのものです。

> 3番目のコメントの方
> 単にケータイを買う人の側が型番をどうとらえるか

私としては、松村さんがどのような論理を頭で構築して最後に、

> 日本のケータイメーカーが世界に対して同様の役割を果たせないだろうか

と書いたのかがわからない、との主張をしているつもりでした。
日本のキャリアが主導してきたようなビジネスモデルがなくなるのがもったいないのか?
もし型番をそろえてユーザー側への目線(機能、性能が型番で推測しやすい)に配慮をしたいならば、私の2番目のコメントのように

> 各キャリアがデザインハウスと契約して開発費をすべて持った上で
> 独自携帯端末を作る

などの処置が必要だと思います。

これ以外にもたとえば、各キャリアがメーカーの作ってきた端末の機能・性能を評価して、「この機種は性能がいまいちだから90xという型番にしなさい」と、
認定をしていくという手もあるかとは思いますが。


またこの場では釈迦に説法ですが、「型番の縛り」も議論を分けたほうがいいと思います。
型番は買う側の目線と携帯端末メーカー側への縛りという2つの側面があります。

・買う側は型番の番号が統一されているほうが機能・性能などの指標が見えやすい
・メーカー側は型番変更の時期までに新機種を作らねばならず疲弊が激しくなる

買う側の目線としては、まあ別段議論の余地はないと思います。

メーカー側の目線だと、疲弊しない程度の開発期間(販売期間)があればよいですが、
現状はそれが実現されておらず、三菱に代表される撤退組まで出る始末です。
この結果、機種のバライティ不足、作りこみ期間の短さによるバグなどの混入増加、
などが起こります。

これは結果的に、キャリア、そして買う側へ悪影響として跳ね返ってきます。
だからドコモは、メーカー側への型番の縛りをやめた。


とりあえず私は、松村さんの次回の記事ではどのような論理が展開されるのかが気に
なります。

  shake_hip_love on 2008/11/13

4

型番なんて、どうでもいいでしょう・・・

auは長年その方法ですが、絶好調の時代がありました。
(今はやや不調ですが)
イーモバイルだって、一部のスマホ以外は同じルールですが好調です。
そういえば、V90XSHとかいう型番ルールのVodafoneは最悪でしたね。

結局、品質・サービス・価格などの中身が決め手なんです。

開発の自由度が上がることで
より良い機種が出ることを期待します。

  kikkukikku on 2008/11/10

3

ドコモはインフラ屋ですが、型番はドコモが決めていますし、端末の販売元はドコモです。
日本の端末の販売手法が特殊なので自動車業界含め比較しやすい業界はなさそうですが、お二方のコメントは、単にケータイを買う人の側が型番をどうとらえるか、という首題からずれている気がします。

  Hajime on 2008/11/10

2

コメント1の人に同意です。

ドコモは「インフラ」を握っている企業です。
ドコモを自動車業界などと比較するならば、道路という「インフラ」を握る国土交通省などと考えるべきです。
もちろん、そう考えるとNECなどのメーカーは自動車業界でいうところのトヨタなどの自動車メーカーとなります。

> ドイツのメーカーが自動車産業のブランドと発展を牽引していくよう
> に、日本のケータイメーカーが世界に対して同様の役割を果たせない
> だろうか。
上記については、セグメントをきちんと分けて議論したほうがよいです。

・ドコモが世界のけん引役となるセグメントは「キャリア」
・NECなどのメーカーがけん引役となるセグメントは「携帯端末」

それとも松村さんは、現状のような特定キャリアの回線でしか動かない携帯端末のモデルを世界に広げたいと考えている?
それならば、各キャリアがデザインハウスと契約して開発費をすべて持った上で独自携帯端末を作る以外、道はないと考えます。
そうしなければメーカーが幸せになれないからです(現状の日本メーカー)。

もう少し、深堀した議論をお願いしたいと思います。

  shake_hip_love on 2008/11/09

1

その通り、単純に比較はできないですけど
自動車業界との比較をするなら、ドコモなどのキャリアは道路屋と比較されるべきだと思います。
メルセデス等と比較されるのはシャープ等でないと。

ドコモが付ける型番はドコモに主眼を置いたときに確かに没個性に向かいそうです。
メーカーのほうでブランド名がない場合は売りにくくなるでしょうが、最近は各社ブランドを付けているので、それを邪魔しないという点で正しい方向に進んでいると思います。

  ohinawa on 2008/11/08

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