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    なぜドコモの新しい型番が失敗なのか?

    2008-11-06 03:53:08

    プロフィール

    松村太郎

    携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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    docomo 2008-09 WS collection

     これまで高機能版90xと個性派70xというシリーズ分けをしてきたドコモが、思い切って4つのラインアップに分類して、機能に寄らないケータイの選び方を打ち出した。今までドコモとソフトバンクが似た型番の付け方をしていたが、ドコモがauっぽい型番の付け方になる。

     今回せっかく新しい命名ルールになったのに、4つのシリーズと型番のルールは連動しない。メーカー名のアルファベットはこれまでと同じでNはNEC、PはPanasonic、SHはSHARPなのだが、その後の数字は各メーカーの発売順、アルファベットは冬モデル〜翌夏モデルまでをA、次の冬モデル以降をBとするようだ。

     今回のモデルでは日本国内の端末では04ないし05までラインアップされているため、次の新製品は05、06と続くことになる。そして翌年度になれば、X-01Bという端末が出始めると見られる。このルールはケータイ市場の飽和に対して、ドコモ自身やメーカーがそこまでケータイの形状やコンセプトを新たに設定し続けることをしなくて良い、というメッセージのように感じられる。

     つまりだ。今回登場した、PRIMEシリーズにラインアップされたSH-01AはAQUOSケータイであり、SH-01BになってもCになっても、PRIMEシリーズのAQUOSケータイであり続けてくれれば、合点がいくというモノだ。「メーカー名 - 数字」の組み合わせが個性を持ってブランド化してユーザーに定着していけば、選びにくい、わかりにくい、という印象も払拭できることになる。出てきた当初の没個性感は、今後の展開によって解消できるはずだ。

     今後シリーズが増えるかもしれないが、当面4つのシリーズ、22機種が出そろい、来年は現行端末を売り続けるか、ソフトやサービス面で追加をするBモデルを出せば良いのではないか。端末のデザインやコンセプトの耐用年数を延ばし、今まで半年ごとに出してきた「似ている新しい端末」ではなく、同じ端末を成熟させることで、LTEなどの次世代高速大容量通信に向けてのメーカーの余裕を作れれば良い。

     ではユーザーからみるとどうだろう。

     高性能な90xシリーズと個性派の70xシリーズが良かったのは、似た型番ルールを持つコンペティターがいた点である。ソフトバンクモバイルでも、高性能端末にはSoftBank 9xx、個性派モデルにはSoftBank 8xxの型番を与えてきた。つまりユーザーがラインアップを比較するとき、ドコモの90xとソフトバンクの9xxを比べてどうか、というチョイスが出来、競争も生まれた。

     しかし今回競合相手を見つける目安となる型番ルールが崩れ、キャリアの戦略が強く出た4つのシリーズとそれに関係ない型番ルールが設定されたことで、キャリア間でどの端末を比べればいいか分からなくなる。キャリア間だけなら良いが、ドコモの中のメーカー間でも分からなくなった。短期的に見れば、ドコモのラインアップに目を向けさせるには良いかもしれないが、長期的に見ると、これは失敗だと思う。

     100年以上続く自動車産業が参考になる。日本メーカーは同じプラットホームで大量のモデルを送り出すが、海外の自動車メーカーはシンプル。Mercedes-BenzならA、C、E、M、S、SL、SLK。BMWなら1、3、5、X5、7、6、Z4。AudiならA3、A4、A6、Q5、A8、A5、TT。それぞれのモデル名の順番は、メーカーは違うが同じセグメントを順に表し、コンペティターとなる。選ぶ顧客にとってもわかりやすい。

     ケータイと自動車を単純に比べることは出来ないが、自動車のセグメント分けは今回ドコモが行った4つのシリーズ分けのそれに似ている。だとすれば、ドコモ以外のキャリアも、このシリーズ分けに乗ってくれれば比較しやすいし、ケータイの端末やサービスの競争の領域も設定され、市場が活性化するのではないだろうか。

     最後にグローバル展開の話。

     最近取材をしたHTC。彼らはTouch Diamondを世界で300万台販売した。そして日本でもEMOBILEを皮切りに、ソフトバンク、そしてドコモからリリースされる。ソフトバンクでは高性能なスマートフォンシリーズである「Xシリーズ」として、ドコモでは最先端のケータイを使いこなす「PROシリーズ」として位置づけられている。つまりTouch Diamondは、どのキャリアからも「Windows Mobile搭載のスリムでクールなスマートフォン」としてリリースするのだ。

     彼らは1つの市場におけるマルチ・キャリア戦略を欧米で成功させ、その戦略を日本でも展開しようとしている。つまりTouch Diamondは、ケータイでありながら、自動車と同じ「グローバル・ワン・プロダクト」なのだ。そして、2008年に日本で発売されたiPhoneやNokia E71も同様である。

     ドイツのメーカーが自動車産業のブランドと発展を牽引していくように、日本のケータイメーカーが世界に対して同様の役割を果たせないだろうか。それを考えたとき、どうしてもドコモのシリーズと連動しない没構成的な型番ルールが、もったいないと思ってしまうのだ。

    ※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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