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「ライフスタイルを変えないこと」から - おサイフケータイで生活できるか(3)

2007/07/19 16:04
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松村太郎

携帯電話の機能進化が進む中、アーリーアダプター層がどのように携帯電話を使いこなし、生活がどう変わっていっているのかについて、携帯電話と社会のあり方について研究するSFC研究所の松村太郎さんが紹介します。
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 2007年に入って、電子マネーが店舗側の対応やおサイフケータイへの対応でユニバーサルに使えるようになってきた。ではどの電子マネーを利用するかを考える際、何が決め手となってくるのだろうか。ここでキャッシュレス生活の実験を経験した僕が考えるポイントは、まずはいかにして現在の生活を変えずに導入できるか? だと考えている。 実験の中でなるべくライフスタイルを変えないように心がけていたが、店舗や電子マネーのブランドを自由に選べない時点ですでに新たな、しかも地域や店舗の対応による「選択」を迫られていた。しかし1つを選んで使い込むことで、現金で支払いをしているのと同じような生活を送ることが可能だった。それでも現金に出来て、電子マネーに出来ないことがまだある。 例えば数人で食事に行って、割り勘をする場合。現金であれば、お代を人数やちょっとした割合で計算して1人分の金額を出し、その分の現金を場に集めてまとめて支払いをする、と言ったことが可能だ。現金を持たない生活の場合、あるいは現金の持ち合わせがない場合もそうだけれど、少ない人数であれば自分がカード払いをして他の人から割り勘分をもらうことも出来る。しかし5人を超えて人数が増えてくると、決済額が大きくなって、なかなかそういうわけにも行かなくなってくる。 これはちょっと余談かもしれないが、お賽銭はどうするのだろう。ご縁がありますようにと賽銭箱に投げ入れる5円玉と、賽銭箱のようなEdy読み取り部に100円吸い取らせるのとでは、5円玉の方が御利益がありそうな気がする。よく噴水に「また来られますように」とコインを投げ入れたりするが、電子マネーのカードやおサイフケータイをジャボンと投げ入れるわけにはいかない。そう言う点で、新しいお金のカタチに関する感覚的な定着には時間がかかる。 数年間の実験の中で見つけた、僕が考える現金と電子マネーの最大の違いは、チャージだった。チャージに関しては、現金に出来て電子マネーに出来ないこと、ではなく、現金では必要なく電子マネーでは必要な動作ということになる。 特に2001年にEdyを利用する際、チャージをする機会が現金を使うコンビニの店頭以外ではなかなか見かけなかった。そのためか、コンビニでもチャージせずにそのまま現金で払ってしまうことが多くなってしまった。せっかく小銭に煩わされることがない電子マネーのEdyも、チャージが面倒であったために、あえてEdyで決済するインセンティブは特になかったのである。 Edyはケータイの上でANAのマイルと連携することでポイントサービスが受けられるようになったので、インセンティブになり得るが、ポイントサービスが受けられるとしても、おサイフケータイのEdyアプリからはポイントをチェックできないし、そもそもANAのマイレージカードを持っていなければ始まらない。いくらポイントがもらえても、ポイントを受けられるまでの面倒くささが、チャージに対する面倒臭さにプラスされてしまっていた。 Suicaカードのチャージは少し違っていた。Suicaにはもともと、電車に乗るためにチャージをしていたため、コンビニで電子マネーとして利用するためだけに敢えてチャージをすることはなかった。PASMOオートチャージやモバイルSuicaのアプリによるチャージも便利なのだが、どちらも対応するクレジットカードや銀行口座を用意したり、ケータイにアプリをダウンロードしたりするなど、簡単に使い始められるとは言い難い。そのため通常のSuica/PASMOカードが、チャージに関して言えば、最も簡単に、わざわざ感なく使い始められる電子マネーであると言える。 しかしながらセブンイレブンのnanacoが登場してからは、少し状況が違うようだ。 2007年7月17日付の日経新聞に掲載されていた電子マネーのデータによると、2007年4月23日に東京都内からスタートしたnanaco、既に380万枚を発行し、6月の月間利用件数はトップの3000万件に躍り出たそうだ。老舗とも言えるEdyはサービスを早くからスタートさせ、発行枚数も他サービスを凌駕する3100万枚、利用できる店舗も52000店、月間利用件数は月間1800万件を数える大きな勢力であるし、電子マネーという分野を開拓してきた先駆者としての提案性の高さとブランドもある。 しかし東京に住んでいると、Edyの強さは他の電子マネーの陰に隠れているように思える。Suica/PASMOはエリアこそ首都圏に限られるものの、合計2295万枚発行で月間1746万件と全国区のEdyの利用件数に迫る勢いだ。また特に注目すべきはnanacoで、7月11日は開始から80日間で発行400万枚を突破し、6月は月間3000万件利用まで延びている。利用できる店舗数はSuica/PASMOが約2万店、nanacoが約1万店であることを考えると、nanaco・Suica/PASMOのカード1枚ごとの利用率は、Edyを上回っていると考えられる。 Edyのポテンシャルは大きいが、Suica/PASMOはチャージの障壁が低く、結果的に決済の件数が延びている高まっているように見える。しかしEdyと同じスタイルのnanacoが持っている爆発力には目を見張る。これは一体何が作用しているのだろうか? ITmediaの記事で神尾さんは、ボーナスポイントと、レシートや(ケータイの場合)同一アプリ上での残高とポイントサービスの分かりやすい表示を指摘している。多くの電子マネーやポイントサービスでは決済額に応じて一定の割合でポイントが付く。nanacoの場合も100円で1ポイントの割合だ。しかしキャンペーン中の商品は、20ポイント〜400ポイントのボーナスポイントが付与される(セブンーイレブン: ボーナスポイントキャンペーン)。例えば1リットルのミディペットボトルのドリンク199円を期間中にnanacoで買うと、20ポイント(21円分)のボーナスポイントが付く。 Edyがケータイのアプリの上でANAのマイレージ連携することでポイントを貯めていく一方で、nanacoは1つのアプリを入れるだけでセブンイレブンで利用できるポイントが自動的に貯まっていき、モノによっては高いポイントを得ることができる。ANAのマイレージ10000マイルがEdyの10000円分に交換できるが、nanacoは101ポイントで100円分に交換できる(1ポイントは手数料)。このあたりのわかりやすさ、利用しやすさが、ユーザー層を増やし、利用件数を伸ばし、この80日間の爆発力に繋がっているのだろうか。 ここで、先に述べた新しいお金のカタチに関わってくる。 貨幣で199円のドリンクを買うと199円払ってドリンクが手に入る。これは当たり前のことだ。しかしnanacoで買うと、199円分がnanacoのカードから引かれるが、nanacoでの買い物を続けていくとすれば、実質的には179円でドリンクを買うことができる。ユーザーからすれば、ただ単に20円分お得だった、というところだろうか。 しかしキャンペーン中ではない199円のお菓子を買った場合、貨幣でもnanacoでも199円には変わりない(nanacoには1ポイント付与されるけれども)。ドリンクを買う場合に限って、199円と199“nanaco”円では意味が違うことになる。購入する商品によって、“nanaco”円の場合、表記されている金額の意味が変わるということか。 ポイントサービスはnanacoに始まった話ではないが、日常的な少額決済で、細かいマーケティングとポイントサービスの上手い連携でメリットを感じられるパターンは初めてかもしれない。お金が「見えないお金」に変わることで価値を増やしてメリットが受けられる反面、ボーナスポイントによってダイレクトに買い物がコントロールされることにもなる。それも含めて「意味のある金額」という新しいお金のカタチが試されているのだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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