このところ、“時間軸”を扱ういわゆるタイムラインサービスが、特に海外で元気があるように見えます。
日本では、@nifty TimeLine がこの手のサービスとして老舗的な存在だと思いますが、それぞれに工夫を凝らしながら新しいサービスが続々と登場しているようです。
時間軸を扱うサービスが出始めて、まだそれほど時間は立っていないと思うのですが、この間にもずいぶん進化をしているような印象を受けます。
中でも、今年の3月にローンチされたというドイツの「TimeRime」というサービスが、とてもよくできています。
上は、ObamaさんとMccainさんに関してのTimelineが並んでいる図。
こうして、誰かの人生を並べてみるだけでも、なかなか興味深いです。
画像、出来事、所属情報、といった情報の要素別にエリアが整理されている点も、ちょっとしたことなのですが気持ちがいいです。
更には滑らかなUIが秀逸で、時間をたぐって行くのが単純に楽しい。
「単純に楽しい」、これは何かが普及していく上で大切なポイントでしょう。
まだPrivate Alpha版とのことで、閲覧系の機能のみの公開となっていますが、その触りだけでも十分楽しいのがこちら、「AllofMe」。
そのタイトルの通り、基本的には自分史をまとめるツール、ということのようです。
映画史や音楽史など、すでに多くのコンテンツが仕込んであって、それらと見比べながら自分史をつくって行きましょう、というもの。
上のキャプチャは、Time誌とAppleの製品の歴史を並べたもの。
あの時の「あの顔」とあの時の「あの製品」がリンクして、「あー、そうそう」と記憶がザワザワしてきます。
機能紹介の動画を見る限り、 ずいぶんと奥が深そうなサービスで、ベータ公開への期待が高まります。
タイムラインサービスの全体を眺めてみると、大きく以下のように分類できるかと思います。
上の「TimeRime」は歴史Wiki系、「AllofMe」は自分史系、「@nifty TimeLine」はその両方、といったところでしょうか。
ライフストリーム系としては、最近「Tumblr」ライクな、とか「FriendFeed」ライクなといった表現でよく引き合いに出されている「Swurl」などがあります。
この「Swurl」は、Last.fm、Flickr、Amazonなどでの活動状況を集約できるアグリゲートサービス。これだけ聞くとFriendFeedなのですが、ここでの主眼は「伝達」ではなく「記録」にあるとのこと。
しかしCEOのRyan Sitは、SwurlはFriendFeedのような自分の行動を定期的に友達に伝えるためのものではないと言う。行動を伝えるためのものではなく、Swurlは友人・家族のために、自動的に生成するブログないしスクラップブックだとのこと。
この「記録」というコンセプトを裏付けるように、他のライフストリーミングサービスには見られない「Timeline」モードのビューアーが存在するわけですが、ここでは横一本のタイムラインではなく、カレンダーのように情報を一覧させています。
時間の流れを感じることよりも、一覧性を重視したUI、その分類軸に“時間”を使っているということでしょう。
日本国内のサービスであれば、ブログやtwitter等のマイクロブログのフィードを年表化するサービスとして、「LifePedia」といったものもあり、これもライフストリーム系のタイムラインサービス、と分類できるでしょう。
この「タイムライン」サービス、「タイムライン」という見せ方の提案自体に可能性はあるにしても、単に時間軸上に情報が並んでいるだけでは実際見ていてもどうもおもしろくない、という身も蓋もない感じがずっとしていました。
ただ、「時間軸+情報+○○」ともう一越えすることで、急に何かが起こりはじめるようです。
「TimeRime」や「AllofMe」に見られる「並べてみる」という提案は、その「もう一越え 」にあたる要素のひとつだと思います。こうなると、時間軸上の情報が急に生き生きしてくるから不思議です。
Youtubeのコンテンツをタイムラインにマッシュアップした「Timetube」というサービスが最近ちょっと話題になっていましたが、このサービスでは「で、なんか面白い?」という印象を受けた人も多かったのではないでしょうか。
そのコンテンツの背景としての時代・時期で時間軸上に動画がプロットされているのであれば、思い出として見るも資料として活用するも、非常に興味深い利用シーンがイメージできるのですが、残念ながらYoutubeのコンテンツは「投稿日」としてしか日付情報を持ちません。
マッシュアップではそれを手がかりに陳列することになるので、「あれ? で?」という印象が残るものになったのだろうと思います。
物事に何かしらの”関係”を発見できたときに、どうやら人の脳みそはとても喜ぶようです。
その「関係性の発見」を補助するものとしてタイムラインが機能しはじめると、急におもしろくなってくると思います。
「Timetube」は「Dipity」というタイムラインサービスのマッシュアップ企画でしたが、この後Dipityは「Newsline」というニュースコンテンツとのマッシュアップ企画を公開しました。
こちらは、はなから並べて表示することを促すもので、検索窓も「vs.」をはさんで二つ置かれています。
上はFacebookとMySpaceのニュースフィードを並べたものですが、それぞれの成長の過程を交互に見ながら追って行くと、単体で見ているのとはまた違った発見もありそうです。
「関係性の発見」というキーワードで言えば、例えば同世代・同年代といったくくりで他分野の情報を集めたり、逆に時代の違うノード同士の繋がりが可視化されたりと、「並べる」という提示方法以外にも「発見の快感」を刺激する方法はいろいろあるのではないかと思います。
GoogleMapが公開された頃、多くの人は航空写真に衝撃を受け、地図の面白さを再確認したものです。
当時はまだ地図そのものが主役、そこにどんなコンテンツをのせると面白いかを一斉に探りだしました。はてながまっさきに「はてなマップ」を公開したことも、まだ記憶に新しいところです。
今では地図は重要な裏方として安定した地位を気づき、位置を表現するにはなくてはならないツールとしてWEBサービスにとけ込みました。
これは空間軸の話ですが、時間軸にしても、インターネットが歴史を刻むにつれ、その役割が重要になってくることは予想されます。
ただ空間軸と違うところは、誰もがそのプラットフォーム提供者になりうるというところ。
さすがに地図をつくれる企業は限られてますが、時間は自由です。
その自由さから、まだ混沌とした状態が続いている、という見方もできるでしょう。
今のところタイムラインサービスは、時間を表現するユーザインターフェイスレベルでの試行錯誤の段階にありますが、UIレベルである程度のセオリーが確立されるのもそう時間はかからないでしょう。
すると今度は、「UIの妙」から「コンセプト」自体にその勝負所が移行していきます。
同時に、“時間軸”を宿命的に必要とするテーマというのは必ず存在します。
例えば、育児。同じ「食」でも、乳幼児では1ヶ月単位でその内容が違ったり、「病気」ひとつとっても時間軸上に分布図がイメージできたり。
「育てる」という意味では、植物なんかも同じでしょう。季節も絡むので、時間軸での表現手法が活躍しそうです。
それから、モチベーション。ダイエットとか勉強とか、長期間モチベーションを維持することが必要なものには、時間軸による何かしらの訴えかけがおおいに役に立つでしょう。
「時間」というのは、誰にもあたりまえにあるものなので逆に見えにくいですが、その他にも、日常生活の中に“時間軸”を必要とするトピックはたくさん潜んでいるのだと思います。
“時間軸”を扱うタイムラインサービスに関しては、まだ土壌を整えている最中、といったところでしょうか。
これから、おもしろくなりそうです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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