先月、LinkedInが急成長しているというニュースが流れていました。
また、今回の発表では、ビジネス向けソーシャルネットワークLinkedInが急成長を続けていることも明らかになった。LinkedInが10億ドルの評価を受けることを目指しているのかどうかはともかく、同サービスは前年同月比361%増となるユニークビジターを集めている。
LinkedInが急成長、マイスペースは停滞--ニールセン、4月SNS訪問者数調査を公表
1年で361%とは、すごい成長カーブです。
Nielsen: MySpace, Club Penguin growth static, LinkedIn soaring
他のサービスの伸び率と比較すると、その勢いがよくわかりますね。
このニュースの10日程前には、LinkedInのブログに、5年目にして登録者数が2200万人を突破したことを祝う写真が掲載されていました。

The LinkedIn Blog : LinkedIn turns 5! May 12, 2008
2200万人のうち、約半数はアメリカ以外の国からの登録とのこと。日本人も10万人程登録しているようです。
MySpaceが2億人、Facebookが7000万人、日本限定のmixiで1400万人と考えれば、ユーザ数の上ではあくまで大手SNSのうちのひとつ、という位置づけになるでしょう。
が、その収益体質を予想するに、サービスの市場価値としては、他の汎用的なSNSとは一線を画すところがあるようです。
LinkedInはFacebook同様に実名サービスですが、ビジネスに特化したSNSという性質上、学歴・職歴などの経歴を更に詳しく登録します。
履歴書を公開しての交流が前提。転職サイトのエントリーシートを起点にSNSが成り立っているイメージでしょうか。
プロフィール情報の濃さで言えば、匿名のゆるやかなコミュニティとは明らかに質が異なるものです。
CPM(掲載1000回あたりの広告掲載単価)だけを比較しても、MySpace、Facebookとは驚く程の開きがあります。
News Corp.'s MySpace CPM rate is $1.50 to $2. That's
down from as high as $3.25 during midyear 2007. Facebook banners, which are sold exclusively by Microsoft under a long-term deal, still command a CPM rate of $3 to $4.
Digital Buyers Enjoying MySpace's Half Price Sale
MySpaceのCPMが$1.50から$2。Facebookが$3から$4。
Advertisers are willing to pay more for display ads on LinkedIn than other social networks. LinkedIn's "cost-per-thousand" -- which is how much a company pays for its ad to be shown 1,000 times, known as CPM -- is around $75 in the U.S. and £25 (US$50) in the U.K. Other LinkedIn officials say those rates are far higher than what MySpace and others
can charge now.
LinkedIn prepares for lucrative push into Europe
これがLinkedInになると、いっきに$75です。
この違いは、考察していくと1エントリーできそうなくらい、興味深いですね。
これに加え、プレミアムサービスとしてのエンドユーザへの課金やリクルート支援サービス等、広告の他にも収益源を持つことも特徴のようです。
収益化が常に問題となるSNSでは、早々にしっかりとしたビジネスモデルを確率したいい例でしょう。
日本にやってくるという話も、昨年秋くらいに話題になっていました(世界最大のビジネス向けSNSが日本上陸へ--デジタルガレージ、米LinkedIn社の日本展開支援で基本合意)。
そんな魅力満載のビジネス特化型SNSですが、日本の状況を見るに、やはりそこには文化の違いを感じます。
実名か匿名か、という話題はいろいろなところで議論の対象となりますが、ひとまずべき論は抜きにして現状の日本を考えると、LinkedInのようなサービスがアメリカと同じような使われ方をするのは、やはりイメージしにくいところがあります。
組織よりもまず個人として立つ、という文化あってこそのサービスでしょう。
佐々木俊尚氏のCNETのエントリー「「実名」と「特定」は別のものだ」でも触れられていましたが、日本はやはり所属志向が根強い。
仕事は、会社を通してするもの。個人対個人よりも、やはり組織対組織の職業文化なのでしょう。
とはいえ、どこかの組織に所属していればそれで安泰、という感覚ももはや崩れようとしています。
右肩上がりの経済や終身雇用が約束されないのなら、個人としてサバイブしていかなければ、という思いも同様にあるのでは。
日本は今、その間で揺れているように思えます。
LinkedInを手放しで受け入れるのは難しくても、職業人として「自立・自助」するためのツールへの需要は、背中合わせであるのではないでしょうか。
この“間”のところに落としどころを見つけることが、日本でのビジネスソーシャルサービスの課題のように思います。
そして、あたれば大きい。
今年1月から公開されている”SBI Business”というサービスが、ここをうまく解釈しているように思えます。
(⇒ビジネス向けのソーシャルグラフ検索エンジン「SBI Business」、機能を追加し本格始動)
ビジネスSNSとしての機能もあるのですが、自分の名前をSEOしてくれる、というプロフィールサービスとしての機能を全面に出しているのが特徴です。
人脈拡大のメリットと同様に、検索エンジンで自分の名前が検索された際に間違った情報が流れることへのリスク管理として、ビジネスプロフィールサービスを使いましょう、と啓蒙しているのですが、この「リスク管理」という解釈が、日本人にはすっと入るのではないでしょうか。
実名を出す意義という点を、日本人に理解されやすいように翻訳しているという印象があり、なるほどな、と思ったサービスでした。
OpenSocialにしてもFacebookにしても、日本に浸透するには文化の翻訳が必要なことは言うまでもありません。
検索サービスがダっと日本にやってきた頃は、主にユーザインターフェイスレベルでのローカライズに各社尽力したことと思いますが、人間観や職業観、社会観を含むソーシャルサービスに関しては、思想の部分からの深い翻訳が必要になるのでしょう。
構造上、ベンチャーが生まれやすいアメリカがネット業界を何かと先行するのは事実です。
そこに日々生まれるヒントをいかに自国流に解釈するか。
サービス提供側には、創造力に加え、確かな文化翻訳力が求められているように思います。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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