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VirginとCreative Commonsに対する訴訟について

2007/10/04 15:00
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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Virgin Australiaの広告キャンペーンに未成年の娘が写った写真を使われたとしてテキサスでおこされた訴訟について、Slashdot記事が載っている。問題の写真は成人によって撮影され、CC-AttributionライセンスでFlickrに掲載されていた。原告である親の主張は、被写体の許可なく営利目的の広告に写真を使用したことで、Virginは娘のプライバシー権を侵害したというものだ。写真を撮影した人物もまた原告に加わっており、クリエイティブ・コモンズは「…営利目的の写真利用、およびそれを許可するライセンスを選択することの含意について、充分な説明・警告を怠った」と訴えている。 (訴状のV).

スラッシュドットのスレッドに掲載されたコメントはバランスがとれており、おおむね正確だ(ストーリー本文はやや誤解を招く。写真家はVirginに対して、適切なクレジットを表示しないことでCCライセンスを侵害したとも訴えているからだ)。多くのコメントで正しく指摘されているように、CCライセンスはプライバシーにかかわる複雑な権利のどれにも(まだ)手を出していない。 よって、Virginが写真を営利利用する前に同意を得なかったことにより、未成年者のプライバシー権が侵害されたのか否かという争点が持ち上がっている。

現在のところ、わたしはこの訴訟の法律的内容についてコメントすることを許されていない。だが、この訴訟によって浮かび上がったいくつかの明白な点、およびあまり明白とはいえない論点についてはコメントしたい。

まず、当然のこととして、CCはこれまでもそしてこれからも、ライセンスの意味をさらに分かりやすくする方法を模索してゆく。われわれの狙いは著作権者の望むとおりのライセンスを提供することだ。ライセンスが明解でなければそれは不可能だ。

次に、ライセンスを明解なものにしたいというわれわれの欲求は、法によって求められるかもしれないどのような義務をもはるかに超えている。われわれは著作権を、議会が定めたものよりシンプルにしようと試みてきた(少なくとも、いま著作権による規制の対象となっている大多数についてはそうだ)(たとえば、著作権者が「権利移転の終了」をおこなう手続きを簡略化する試みを参照)。われわれはまた、ライセンスの意味を法的に求められるどのような基準よりもシンプルにすべく努力している。

しかし第三に、この事件はCCが従来取り組んできた範囲を超えた分野にもまだ果たすべき仕事があることを示していることはたしかだ。CCのライセンス群は、たとえばプライバシーの権利について扱うとは主張していない。しかしすでに、あるiCommonsノードまたはプロジェクトのためにそうすべきではないかとの検討は始まっている。われらがチェアマン Joi Ito(伊藤穰一)の計画する"freesouls"は、CC-BYライセンスで公開された高解像度の人物写真を提供するものだ。もちろんかれはそうした写真が営利組織(たとえばVirgin)からも利用されることを認識しているが、"model release"(撮影・利用同意書)がなければ簡単なことではない。撮影者と被写体の双方にとって、また一律の許諾についても特定の利用許諾についてもこの手続きを簡略化することがプロジェクトの狙いだ。繰り返せば、CC-BYライセンスは著作権についての許諾の問題を解決するが、パブリシティ権、あるいはプライバシーの権利についての問題は解決しない。

最後に、今回の事件はCCライセンスの非営利条項が備える「フリーカルチャー」機能をあらためて際立たせている。フリーソフトウェアコミュニティに属する人々の多くは、文化もまたソフトウェアとおなじく自由に、つまり営利・非営利を問わず、(少なくとも、ときには)コピーレフトの条件を伴ってライセンスされることが好ましいと考えるだろう。

だが今回の事件は、なぜその目標がみためほど単純ではないのかについてヒントを示している。今回の撮影者がたとえばFlickrに写真を掲載しただけで、プライバシーの権利侵害を認める裁判所はおそらくないだろう。またわたしの考えでは、今回のような写真を非営利で利用した場合でも、法廷でプライバシーにまつわる権利の侵害が認められることはないのではないかと思う。そしていまの世の中では、Virginが(明確に商用の許諾を得た写真ではなく)自分の写真を無料で利用することには抵抗があるという人が多い一方で、ネットコミュニティに属する人々の大多数は、おなじネットコミュニティ内で自分の写真が使われても非営利であればなんの問題もないと考えるのではないだろうか。

非営利ライセンスはそうした期待に応えることを試みている。非営利条項は、営利経済ではなく共有経済のなかでの共有と再利用にお墨付きをあたえることが狙いだ。そのため著作権以外の権利についても、少なくともその大半については問題をおこさないことを意図している(とはいえ、すべてではない。例えば盗撮された写真にCC BY-NCライセンスが付けられればプライバシーの問題がある)。非営利ライセンスはまた、共有を許しているならば一切の権利を放棄しているのだろうという推定から著作権者を守るようにも機能している。

続報に注目。

[オリジナルポスト 9月22日午後4時41分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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