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まったくやりきれない話

2006/11/21 12:55
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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以前こちらでも書いたように、英国は録音物の著作権保護期間を50年から95年に延長しようとしている。既存の作品と将来作られるもの両方についてだ。(われわれが著作権保護期間を延長したのは欧州と「調和」させるためだったことをお忘れなく。今度は欧州の側が米国と「調和」させるため期間を延長している。このサイクルに終わりはあるのだろうか? もちろんありはしない。)

ipprは知財を巡る問題全般について優れた報告書を公開しており、この延長のパターンのどこが誤りであるかもよく明らかにしている。(無料ではダウンロードできないが(問題だ)、サマリはこちらから落とせる)。また英国のあたらしい活動グループUK Open Rights Groupもまもなくポリシーペーパーを発表することになっている。

だがこの論争の真の問題は、期間延長を主張する側が(1) メディアに登場する一般受けのする人物で、(2) 本物の反論を許すことのない念入りに台本の書かれたイベントでのみ意見を主張し、(3) 報道もこうした問題が適切に議論されるイベントについては決して充分に扱わないことだ。

実例その一:このページでもおなじみのジャーナリストAndy Orlowskiによるこの記事 (以前わたしが少年合唱団のケースでHardwickeの弁護を引きうけたとき、Orlowskiが書いた実に下劣な記事を覚えているだろうか。結びは「レッシグは以前にも、勝利の顎から敗北をもぎ取る手腕を発揮している」。判決後のフォローはない)。いつものOrlowskiはメディアの問題をちゃんと理解しているが、この記事はあきらかな誤りで満ちている(例えば、「保護期間延長の支持者が例に挙げる経済的破滅の試算は、PriceWaterhouseCooperによれば10年間で1億4300万ポンドにも上る」という引用はするものの、その「破滅」が実際にどのような内容なのかは調べようとしない。英国を襲うというこの「破滅」は、(歌手の)Sir Cliffのようなものたちの利益のために一般の英国民が1億4300万ポンドを負担することがなくなるという意味なのだ。(富者を富ませさえすれば全体が良くなるという)トリクルダウン経済か?)。

だが、記者とは自分が目にしたことを記事にするものだ。Orlowskiは全体を目にしていないのだろう。無理もないことだ。記事にあるように、「この問題について議論するパネルは延長の支持者たちがほとんどを占めており、反対するのはただひとりしかいなかった」。まさしくソビエト式の公共政策議論だ。Orlowskiはこの意味についても触れていない。

一般受けする延長論者の側は、自分たちに都合のよいコンテキストの「討論」で済ませることができるかぎり、決して公正でバランスのとれた議論に参加しようとしない。それが許されているのは、報道や政治家がそれを野放しにしているからだ。もう終わらせよう。英国はこうした問題について、双方がその主張をちゃんと提示できる本物の議論がおこなわれることを要求すべきだ。

(それまでは、11月13日に開かれるOpen Rights Groupの「Release the Music」イベントでJonathan Zittrainが発表するプレゼンテーションをお見逃しなく。詳細はここここにある)。

わたしはこの議論にある代替案が持ち出されるのを心待ちにしている。以前も書いたが、Don Foster議員が提案しているのは、期間の延長はそれを望んだ権利者のみに限定するという案だ。著作権者が延長の意志を示さなかった場合、作品はパブリックドメインとなる。わたしもGowers Commissionに同様の提案をしたことがある。すでに作られた作品に対しても保護期間を延長するというあきらかに間違った政策へのあきらかな妥協案を、英国が率先して採用すればすばらしいことだ。

パプリックドメインの価値を示す実例としては、もしあなたが米国在住でなければ、こちらのクラシック音楽のLP盤1500枚のすばらしいコレクションを利用できる。欧州ではパブリックドメインになっているが、米国ではそうなっていないレコードだ。米国へ:近いうちにアクセスできるようになるとは期待しない方がいい。この国では、すくなくとも2019年までなにひとつパプリックドメインに入ることはないからだ。

[オリジナルポスト 10月31日午後11時27分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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