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議論に資することのないレトリック

2006/10/30 12:37
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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FTのコラムについて書いたポストへのコメントで、John Earnhardtがわたしの「レトリック」に不満を述べている。EarnhardtはCisco(つまりネットワーク中立性を終わらせる技術を売る会社)の「ハイテク政策Blog」を書いている人物だ。「法律屋が嘘をついているか見分けるには」と題したBlog記事のなかで、Earnhardtはこう述べている:

FTへの寄稿でレッシグは書く:
「ネットワークの所有者たちはいまや……ネット企業から、“プレミアム”インターネットを使う特別料金を取ろうとしている。YouTubeやblip.tvは、コンテンツを効率的にユーザに届けるために特別料金を支払わされることになる。もし払わなければ、コンテンツはより遅くて信頼性の低い「公共」インターネットに追いだされる。ネットワークの所有者たちはどのコンテンツが(そしてアプリケーションが)すばやく流れ、どれがそうならないかを選ぶようになるだろう」。
これは完全な作り話であり、レッシグはそれを理解している。真実は、YouTubeやGoogleといった、レッシグがフェアプレイの鑑、アップルパイ、母の温もりに子猫のほおひげと褒め称える企業こそ、自社サイトの目立つ場所に掲載することに対して特別料金を取っているのだ。これはどうしたことだ? ウェブサイトやサービスを所有するものが、有利な位置に掲載する見返りに広告主から特別料金を取ることは許されるとは! わたしはこの恐るべき事実に大変な衝撃を受け、これについてFTに寄稿するつもりだ。サービスプロバイダ(レッシグの用語でいえば「ネットワークの所有者」)が、保有するネットワーク内での特別な扱いに課金するのとどこが違うというのだろう。他者のサービスを損なっているわけではなく、特別な扱いに対して支払う意志のある客へのサービスを増強しているだけだ。

「サービスプロバイダーが……保有するネットワーク内での特別な扱いに課金することとどう違うのだ?」なんとまあ。これ以上の違いはない。ネットワーク中立性を支持する者の誰ひとりとして、ネットワーク末端での差別には反対していない(すべきでもない)。核心はここにある:ネットワーク中立性を推す議論すべての礎となるエンドtoエンドの原則こそ、ネットワークの端でできるだけ多くの差別化や選好を可能にするものだ。差別が問題になる場所はただひとつ、ネットワークの内部(中間)しかない。また、わたしの主張はネットワークの末端にいる者たちが「フェアプレイの鑑、アップルパイ、母の温もりに仔猫のほおひげ」であるか否かとはなんの関わりもない(子猫のほおひげ?)。問題は善vs悪ではない。重要なのは、アプリケーションとコンテンツに最速の成長をもたらすのはどのようなアーキテクチャかということだ(それが技術によるものであれビジネスモデルによるものであれ)。特定のアーキテクチャが特定企業の利益を助けるのは間違いないだろう(どういった企業かはいわないでおく)。だが一部にとっての利益は、全体のよりよい成長とイコールではない。

二番目の攻撃はさらに傑作だ:

別の喩えをしよう。ここ米国では選挙シーズンの真っ盛りであり、ラジオやテレビが候補者の当落に大きな役割を果たしている。資金のある候補者ほど多くの広告を買うことができ、人気番組中の広告を買ってより多くの選挙民の目に触れることができる。金がなくてテレビ・ラジオ広告も買えないような候補者には、ラリー・レッシグがネット中立性の名のもとに資金を出してやるのだろう。レッシグの頭の中では、競争の場はすべての候補者にとって平等でなければならないからだ。

ここでも答えは否だ。候補者が金を持っているか否かはわたしの関知するところではない。かれらは(たとえていえば)ネットワークの末端(エッジ)にいる。だが、おなじ喩えを使わせてもらうとすれば:ある民主主義国家に、ふたつのテレビ局しか存在しないとしよう。その2社が、候補者の政治的傾向によって異なる料金を請求する「段階アクセス」を始めたとする。たとえば民主党は共和党の1/2の料金だとか、与党は野党の1/3しか払う必要がないといったものだ。これでも問題はないだろうか。

さきの記事で書いたように、こうしたことすべては市場支配力と関わっている。だからもしラストワンマイルのブロードバンド接続に真の競争があったなら、わたしもこれほど懸念することはないだろう(Barbara van Schewickはそれでもまだ懸念すべき理由があると語っている)。だが、限られた競争しかない市場においては、ネットワークのあるふるまいが末端でのイノベーションを抑圧し、ネットワーク所有者が全体としてのパフォーマンスを向上させるインセンティブを失わせることになる。

[オリジナルポスト 10月20日午前6時08分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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