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全く話替わって - 財産権のかわりにオプションを

2005/06/14 00:07
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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[Ian AyresによるゲストBlog]

ラリー・レッシグは知的財産の法律はあまりにも財産権を拡大しすぎていると世に訴える先頭に立っている。多くの文脈で、法定ライセンス料金を設定し権利者以外にも料金を支払って使用するオプションを与えた方が良い結果をもたらすだろう。

わたしはつい先日Optional Law: The Structure of Legal Entitlements (University of Chicago Press)という本を出した。そのなかではオプション・ライセンスの利点を明確にしているだけでなく、伝統的な財産権の概念に優るオプションによる権利付与(optional entitlement)のさまざまな仕組みを説明している。多数の新たな知財保護メカニズムを提案するだけでなく、それらのいかに多くが伝統的なコモンローの意志決定においてそうとは知られないまま使われてきたかも示している。

この本では例として、法廷が当事者間に権利(entitlement)を割り当てるとき、当事者それぞれの評価について不完全な情報しかない場合にどうすべきかという問いを設定する。二者のどちらが権利をコントロールすべきか判断する場合を考えよう。当事者双方は権利に対するそれぞれの評価を持つが、法廷は双方の偏りのない確率関数のみを知るとする。法廷の目的は、権利をもっとも高く評価する当事者にコントロールさせることだ。

このような場合、法廷はどう判断すべきだろうか。最初の直感は、単に期待値のもっとも高い側に権利を与えるというものだ。この「平均」割当てルールは、もし法廷が単に財産権ルールのうちで選択しているだけなら大いに意味があるだろう。だがこれから――オプション理論というレンズを通じて――見てゆくように、平均してより低い評価の当事者に最初に権利を与えた方が、時にはより高い効率を達成できる。

例として、法廷の最善の推測によれば、原告側の評価は5から105の間で同様に確からしく、被告側は40から60のあいだのすべての値で同様に確からしいとする。この場合は原告側に権利を与えた方が良いと思うかもしれない(期待値は55で、もう一方の50を上回っている)。だが実際には、まず被告側に最初に権利を与え、原告側には50で行使できるオプションを与えた方がより効率は高くなるのだ。

この結論は、もちろん直感に反している。だが他にもそうした例は数多い:

コールあるところにプットあり
伝統的な責任ルール(liability rule)をひとたび「コール」オプションと見なすことができれば、では「プット」は何か、それは法によって利用されるべきなのかと問うのは自然なことだ。CalabresiとMelamedは(大気汚染の)被告である汚染する側が汚染する権利に、あるいは原告である汚染される側が汚染を止める権利に支払う例を考察したが、決定するのは誰かという問題には深く立ち入っていない。従来の責任(損害賠償)ルールは、支払う側に売却を強制するオプションを与えていることからむしろコールに近い。しかし支払いを受ける側に、購入を強制できるプット的なオプションを与えることもまた可能だ。汚染する側に汚染する権利を購入するオプションを与えるのではなく、法は汚染される側にきれいな空気を吸う権利を手放すことに対して支払いを受けられるオプションを与えることもできる。汚染される側へのプット的保護という考えにはぎょっとするかもしれないが、実際には財産権が侵害された場合に与えられる通常の「救済方法の選択」とおなじことだ。例えば被告側が原告の土地に入り込んで柵を築いた場合は、撤去命令か損害賠償請求かどちらかを原告に選択させるのは自然なことだろう。

法廷は分配と割当ての問題を分離できる
プットオプションの可能性を受け入れることは、法廷の選択肢を拡張する第一歩だ。被告側に100万ドルの支払いで汚染を許すことと、100万ドルで汚染する権利を販売するプットオプションを与えることでは、割当てのバランスの上では同じでも富の分配としては大きく違う。割当てのバランスとしては同じでありながら、紛争当事者の間で支払いを分配する割合が異なるオプションの実装方法は無数にある。例えば80万ドルを支払って汚染することと、20万ドル受けとって汚染することを放棄することのあいだで被告に選択させる場合、割当額は前述のコールとプットによる解決と同じだが、中間の分配という選択肢を提供できる。これにより、賢明な法廷は割当てについての選択をより効率的な当事者に任せ、公平や事前投資インセンティブを犠牲にすることなく効率を最大化できる。

2つの頭はひとつより賢い
伝統的な責任ルールは割当て額の選択をどちらか一方(被告か原告)に委ねていたが、法廷は訴訟当事者の双方に割当額の選択を委ねるオプションを作ることもできる――当事者に特定の金額での拒否権を与えるのだ。たとえば係争中の権利(entitlement)をまず原告側に与え、同時に被告側には$Xで取り返せるコールオプションを与える(そして原告側は$Xあるいは$X+Yでさらに取り返せるオプションを得る)。こうした「二重選択者」ルールは、特定の状況では、伝統的な単一選択者ルールよりも高い期待ペイオフをもたらす。最終的にどちらが権利をコントロールするかという決定プロセスに双方を参加させることによって、双方の持つ知識を活用できる。プットオプションのルールと同様、二重選択者のルールもすでに実際の判例のなかで使われてきた。

財産権による保護は長きにわたってわれわれと共にあった。だがオプションによる保護にも多くの価値がある。当事者双方の非公開情報をよりよく活用し、より公正な結果をもたらすことができる。そして従来の方法よりも商取引を奨励できるかもしれない。

最初の章はこちらで無料で読める。あるいはこちらで、その、購入もできる。Balkinizationへのポストについたコメントはこちらで読める

Ian Ayres

[Ayres & BrownによるゲストBlog一覧]

[オリジナルポスト 6月7日午前6時55分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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