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非差別をマーキング/マーケティングする

2005/06/07 07:07
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lessig

「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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[Ian AyresによるゲストBlog]

あまり知られない知的財産の形である認証マークが、性的傾向による差別をしないと公に約束する雇用者のための有効な仕組みを提供する。www.fairemploymentmark.orgを訪れて数クリックすれば、この国のどの雇用者でも“Fair Employment Mark”(公正雇用マーク)のライセンスを取得することができる。いたって無害なシンボルで、円の中に“FE”が入ったものだ:FE_logo.png
公正雇用マークとクリエイティブ・コモンズに類似する点は多い。どちらも伝統的な知的財産ライセンスの再発明を通じて世界をよりよい場所にしようとする試みだ。

ゲイ・レズビアン労働者にも平等な雇用という考えを支持する雇用者は、州や国で公正雇用を定めた法が成立するのを待つことなく、法案の内容を私的に受け入れることができるようになる。

このマークについては、わたしたちの新著Straightforwardの第四章か、こちらのローレビュー論文の草稿にさらに詳しい解説がある。

アイデアは実に単純だ。ライセンス契約に同意することにより、雇用者はFair Employment Markを表示する権利(だが義務ではない)を得るとともに、ENDA(現在提案されている、性的傾向による雇用差別を禁止する連邦法案)の規定を遵守することを約束する。製品やサービスにこのマークを表示すれば、この仕組みを知る消費者や被雇用者は企業が性的傾向による差別をしないと約束していることを知ることができる。

他の認証マーク、たとえばGood Housekeeping Seal、Underwriters Laboratory、Orthodox Union markなどでは、ライセンス契約が遵守されていることを保証するためにマークの所有者による調査が必要だ。一方Fair Employment Markのライセンス条件では、被雇用者や求職者が直接、ライセンス契約に明示された第三者受益者としてENDAの遵守を要求できるようになっている。つまりこのマークはENDA法案が成立した場合と同等の訴因を作りだすことによって、ENDAの中心的な強制メカニズムを再現している。

ライセンス条件は非常に明解であり、AyresとBrownが無意味な訴訟を起こしたりライセンシーに金を要求しはじめる心配はない。わたしたちは非差別の約束に違反したといって訴訟を起こすいかなる個人的権利も放棄しているし、そのうえライセンシーはいつでも好きなときにライセンス契約を打ち切ることができる。ライセンス料金が存在しないことから、この試みが金銭的利益を目的としていないことは明白だ。ライセンシーに求められる義務の具体的内容もまた明白となっている。わたしたちはENDA法案を改良しようとはせず、単にコピーするだけだ。ENDAが事件から180日以内の訴えを定めていることから、わたしたちのライセンス条件も同じ条文を定めている。ENDAで認められている仲裁契約はわたしたちのライセンスでも認められる。

公正雇用マークが体現しているのは、平等を求める努力における漸進的戦術だ。重要なのはこれがENDA法案の定める諸権利、なかでも差別に対して訴訟を起こす権利を、いま現在その権利を持たない数百万人の労働者や求職者に拡大する可能性をもっていることだ。

またこのマークには「デモンストレーション」としての効果もあり、ENDA法案に対して議会が抱く懸念を払拭できるかもしれない情報を提供する。法案が成立さえしないうちにその文言に対する判例法を得ることができ、ENDAが法廷によってどのように解釈されうるか、ENDAに基づいた訴訟が起こされる確率はどの程度かといった情報を立法者に提供することができる。

ある意味驚かされるのは、わたしたちの知る限り、このライセンスは成立前の法案の文言を私的契約として意図的に取り入れた最初の例であるらしいことだ。

米国人は雇用に際してゲイやレズビアンを差別すべきではないという単純な理念を強く支持している。Gallupによる2003年の調査では、回答者の88パーセントもが「同性愛者は...平等な雇用機会を得る権利を持つべきだ」と答えており、George W. Bushのような主だった保守派でさえ、性的傾向による雇用差別は間違いであるとすくなくともリップサービスはしている。

にもかかわらず、ゲイの権利を求めて運動する人々はこの問題について限られた立法的成果しか挙げられていない。15の「青い」州がゲイやレズビアンへの雇用差別を禁じているものの、連邦レベルでは公正雇用法案(ENDA)は成立しないまま何度かの提出を重ねている。ブッシュ政権が続くあいだは、ENDAが成立する可能性はほぼないといってよい。

多数の有力企業、例えばAT&T, Coors, IBM, General MillsなどはすでにENDA法案への支持を表明しており、そのほとんどが性的傾向を含む非差別雇用方針を定めている。しかし雇用方針の魅力的な文面がただの口先だけであったと判明することもある。仮に雇用者が非差別雇用方針を持っていたとしても、求職者がレズビアンであるという理由で差別を受けた場合、雇用者に契約違反の責任を負わせることができるかは定かではない。

この種の差別に反対を表明し、公平な雇用方針を定めENDAを支持する企業は非常に多い。仮にその選択肢があったとしても、人種差別を禁じた法律からオプトアウトする企業はほとんどないだろう。ENDAについても、離脱が認められる案が成立した場合でさえ、ほとんどの企業はそれを選ばないはずだ。公正雇用マークはそのような企業にオプトインの機会を与えるものだ。

Ian Ayres

[Ayres & BrownによるゲストBlog一覧]

[オリジナルポスト 6月1日午前5時43分]

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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