
(Geoffrey Stone教授によるゲストBlog)
南北戦争へ移る前に、戦時における反対派がもたらす特別な問題について少々触れておくべきかもしれない。軍事行動の効率性、兵士たちの備え、進行中の戦争の道徳性、非戦闘員へ加えられる被害の残虐さ、アメリカ兵の死傷者数、司令官の能力などに対する批判を愛国心の最高の発露であると捉えるのは極めて妥当なことだ。民主主義の基本となる前提とはまさに、政府への批判こそ意志決定の質を向上させるというものだ。しかし一方で、そうした批判はたやすく国家への裏切りとして扱われる。
市民の自由の擁護者は往々にしてこの事実に頭を悩ませるが、なんら不思議なことではない。戦時における反対派は意志決定の質を向上させるかもしれないが、しかし同時に敵の戦意を高めることもあるのだ。われわれが分裂し確信を持たないと知った敵は、われわれが一致団結して決意を固めているときよりも一層奮戦するだろう。軍事的に勝つことができなかったとしても、米国の国内政治のおかげで勝てる(あるいはより受け入れやすい結果を得られる)かもしれないと理解しているからだ。よって戦争を強く支持するアメリカ人からみれば、反対派は敵を勇気付け、(よっておそらくは)アメリカ人の命を危険にさらす反逆行為を働いていることになる。主戦派の反対派への反応とはつまり、「自分が何をしているか分からないのか? アメリカ兵の命を危険に晒しているんだぞ! いいから黙れ!」というものだ。
そのうえ、戦争は非常に激しい感情を呼びおこす。懸かっているのは何千人もの命だ。戦地に赴いた自分の子供や配偶者や友人が、間違ったことのために命や手足をかけているなどと聞きたがる者はいない。子や配偶者や友人が既に死亡したりひどい傷を負ったりしていればなおさらだ。兵士を勇気づけ、戦死した者も「無駄死に」ではなかったのだと言いたがる強い欲求があるのだ。このような空気の中では反対の意見を持つことと裏切りが同一視され、両者の境界はあいまいになる。われわれは現代においてさえこうした傾向を目にしている。
そしてまた、言論の自由が持つ重要な役割についても指摘しておくべきだろう。署名運動に協力したり、メールを送ったり、デモ行進に参加したりという自分一人の判断が国の進む道になんらかの影響を与えると信じている人間は少ない。それ以外の人々にとって声を上げることの意義は極めて小さく、もし牢に入れられたり、政府職員から質問や嫌がらせを受けたり、現在のあるいは将来の仕事を失ったりする恐れがあれば、署名や意見メールやデモ行進に参加する危険を冒す価値はないと判断するだろう。われわれはこれを「萎縮効果」(chilling effect)と呼んでいる。もちろん危険は単に一個人の意見が封じられることだけではなく、別の状況では政府に批判的であったかもしれない一定の割合の人々全員が沈黙させられることで、コミュニティの意志決定プロセスを不具にしてしまうことだ。
9/11以降、こうした例は実際に起きているだろうか?
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