お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

価格差別化 - エンターテインメントと医薬品

2004/11/02 01:05
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

lessig

「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
ブログ管理

最近のエントリー


(William Fisher教授によるゲストBlog)
(抄訳)

この最後のポストでは、価格差別・差別化価格という議論の絶えない問題を、音楽や映画のレコードと医薬品の2つの分野について扱う。筆者の予測では

(a) 近い将来、より多くの価格差別が行われるようになる。
(b) エンターテインメント分野での価格差別は、総体的にみれば、良いアイデアではない。
(c) 医薬品分野での価格差別は、総体的に見れば、良いアイデアといえる。

(b)と(c)の判断は仮説であり議論の余地がある。

背景:(Promises to Keep第四章から)
価格差別とは、おなじ財やサービスへのアクセスについて、消費者によって異なる価格を設定すること。より正確には、財やサービスの供給にかかるコストの差以上の価格差をつけること。航空券などが典型。

価格差別は売り手の利益を増やす。ではなぜすべての売り手が価格差別をしないのか?

なぜなら、売り手がある程度以上の市場支配力を持ち、「さや取り」(価格差を利用して転売によって利益を得る)を防げるときしか有効ではないから。

レコード・映画会社および製薬会社の状況。

・市場支配力あり。
・著作権法の「初販原則」や薬の転売阻止の難しさから、「さや取り」の抑制は難しい。
よって、これらの業界の価格差別は比較的粗雑な方法に頼っている。

・映画業界の"windowing"市場分割。まず限定された劇場で高価に、そののち拡大して安価に。
・製薬会社の国や地域による販売価格差。

筆者による将来の予測。

エンターテインメント分野に関しては、DRM技術の普及で価格差別はより精密に、ユビキタスになる。DRM技術の目的のひとつは自由な転売を妨げること。おなじCDにだれもがおなじ価格を支払っていた時代は過去のものになり、年齢・住所(郵便番号。収入の近似として使える)・使用するデバイスなどによって異なる価格が定められる。

医薬品分野についてはエンターテインメント分野ほど明確ではないものの、特許の国際消尽を縮小するトレンドと、より貧しい地域での販売価格を下げさせようとする圧力の組み合わせから、価格差別の仕組みを強化する誘因がある。

価格差別の功罪

社会的利益

(a) エンターテインメント産業と製薬会社の利潤を増やす。「もし仮に」、それがイノベーションへのインセンティブになるとすれば、社会的利益となる。

(b) 貧者が特許・著作権で保護されたマテリアルにアクセスできる機会を増やす。マテリアルが必須の医薬品であれば、価格差別は命を救う。

(c) 多くの場合(常に、ではない)、価格差別は富の再分配を行い、累進所得税に近い働きをする。

社会的損失

(d) 価格差別の仕組みを設計・実装する費用。
(e) すくなくとも一部の人にとっては、価格差別は非道徳的と考えられる。「相手によって取れる分だけ取る」「暴利を貪る」など。

筆者の考えでは、医薬品については、より多くの手に命を救う薬を届けるという切実な問題(b)は(d)と(e)に勝る。アクセスの重要性が医薬品とは比較にならないほど低いエンターテインメント産業については、上記のさまざまな利害の考量はより難しい。エンターテインメント産業の価格差別はさらに追加の問題をもたらす。第四章から抜粋すれば:

1.文化的問題。音楽や映画を視聴するたびに「消費者プロファイル」が調節され、次からは一段階高くなるのではないかと意識することは、消費者の行動を変化させる。

2.エンターテインメント商品の創造的・批評的利用はおそらく「ただ消費するだけ」より高い価格が設定される。そうした「二次的」クリエータからの派生作品が失われ、「記号論の民主主義」に参加する機会が減ることは社会的損失となる。

3.精密かつ遍在する価格差別による、消費者から制作者への劇的な富の移転。

結論:医薬品の価格差別を補助するための法整備は必要だが、他の条件が平等であれば、音楽や映画の著作権者に同等の機会を提供するための法改定はさらなる調査を待つべきである。

Terry Fisher

[オリジナルポスト 10月30日午後12時53分]

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社