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特許システムと開発途上国での医薬品アクセス:対策

2004/11/01 00:58
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(William Fisher教授によるゲストBlog)

(抄訳)

前回のポストで示された問題へのさまざまな解決策をスケッチする。

背景:特許システムが医薬品に適用される場合の利点と欠点。

(a) 新薬を開発し認可を受けるには非常に多額の資金が必要であり、リスクも高い。

(b) 一度開発された医薬品は容易にリバース・エンジニアリングされうる。

(c) 限界製造費用(ひとたび開発された医薬品の製造費用)は非常に低い。

よって特許による競争からの保護は重要だが、価格が限界費用近辺であれば購入できていた貧困層や無保険者には手が届かなくなる。(製薬会社は貧しい患者には低価格で販売することもできるが、おもに転売の可能性を恐れて積極的ではない)。

結果:特許システムは医薬品分野に関して特に社会的価値が高いが、同時に非常に深刻な社会的副作用をもたらす。

提案されている対策

(1) 開発途上国における特許保護レベルを緩和し、安価なジェネリック版医薬品の製造と輸入を許す。

製薬会社の利益は減るが、もともと開発途上国の占める割合はごくわずかであり、新薬開発のインセンティブを実質的には損なわない。引き替えに数百万の人命を救うことができる。

障害:WTO加盟国に課されるTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)によって、特許の双務的な尊重が強く義務づけられている。

(2) 段階的価格設定

既にある転売制限を強化することで、開発途上国向けに安価に販売された医薬品が富裕国に流入することを防ぐ。

障害:こうした“並行輸入”の禁止は、米国の二大政党双方の「医薬品の国際的な価格格差はいかなるものであっても不公正」というレトリックと対立する。

(3) 製薬会社に対する規制

自動車メーカーに求められるCAFE規制(企業平均燃費規制)に似たシステムの導入。

各製薬会社に、販売する医薬品全体の健康効果(延長されるDALY[障害調整後生存年数]÷価格)の平均を一定以上に保つことを義務づける。これにより、富裕国向けの「ライフスタイル薬」の販売分をより安価で救命効果の高い(価格効果比の優れた)、開発途上国向けの医薬品でバランスすることになる。さらに製薬会社間でのクレジットの取引を認めることで、より柔軟な最適化が期待できる。利点は製薬会社の研究開発や販売戦略を規制当局がマイクロマネージする必要がないこと。

(4) 共同研究レバレッジ

政府の研究機関あるいは政府が助成する大学の研究機関と製薬会社の共同で開発された医薬品について、途上国での安価な提供を義務づける。
(Science Magazine掲載のYochai Benklerによる小論を参考)

(5) 税インセンティブ

そのまま。

(6) 政府による"押し"プログラム

先進国政府による対外援助として熱帯病研究を助成する。

(7) 政府による"引き"プログラム

(NASAが宇宙開発関連で企画しているように、)現在等閑視されている疾患への新薬開発に賞金、あるいは政府・NGOによる買い上げというインセンティブを設ける。

(8) 代替補償制度

製薬会社が開発した新薬は、どの競合企業にもライセンス不要の生産・販売を認める。競争により価格は限界費用に近づく。政府は開発された医薬品の売り上げ総計および社会的価値に基づいて算定した報酬を開発企業に支払う。

(9) “伝統的医薬知識”の活用

新薬の開発に開発途上国の(薬草などの)伝統的知識が使われることがあるが、正当な対価が支払われることが少ない。TRIPS協定の改定を通じてより公正な環境を整備することでこうした開発手法をより効果的に活用する。

[オリジナルポスト 10月28日午後11時18分]

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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