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終わりに

2004/09/09 00:09
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Richard Posner判事によるゲストBlog)

コメントを読んでいて印象に残ったのは(すべてを注意深く読むことができたわけではないが)、不確定性を扱うことの難しさだ。扱った話題のすべてに共通するもの、そして多くのコメントを集めたのは不確定性という主題だ。わたしはまず知的財産の話題からはじめたが、そこにある根本的な不確定性とは、知的財産について強制可能な法的権利を設定することの社会的価値がどれほどのものか明らかではないことだ。物理的な財産であれば、われわれは現状の権利定義といったものを理解している――あるいは理解していると思っている。たとえばわれわれは、私有財産の権利にも限られた例外があること、つまり政府による収用、不法占有(既成事実による権利の移転)、やむを得ない侵入(他の車との衝突を避けるために誰かの庭先に乗り入れるといったこと)、税の未納による失権、土地利用者の権利等々が経済的に最適であることを知っている。だが知的財産に関しては、同じような確信に至るどのような根拠も持ち合わせてはいない。知的財産権をすべて廃止することはほぼ確実に非効率的だろう。そして現在の範囲を大きく超えて拡大することも同様だ。だが両者のあいだには広大な中間地帯がある。わたしの考えでは、そうした根本的な疑問についてさほど心配せずに進められる改革がいくつか存在している。例えばすでに商業的価値が全く、あるいはわずかしかない古い作品――登録の放棄に示されるような――については無許可の複製を認めるといったことだ。もしかしたら、われわれはそうした方向に努力を集中させた方がよいのかもしれない。

知的財産権の適切な範囲を巡る不確かさは新技術の奔流によって拡大されている。わたしがレッシグの主張を繰り返して述べたように、法は技術とともに変化するものだ。技術は法によって入念に定められていたバランスをかき乱す。だが定められるべきバランスとは何かはっきりと意識していなければ、暗号化技術がIP保有者にこれまで法で認められていたよりも強力な保護をあたえるとき、どのような立場をとるべきかは難しい。

こうした問いに対して正しい答えを知っていると確信する人々をわたしは信用しない。

地球温暖化やその他の潜在的な環境災害、そしてさまざまな形のテロリズムの問題についても、われわれは深い不確定性のただなかにいる。「リスク」と「不確定性」には、古いが今なお有効な区別がある。前者は蓋然性を予測することができる偶発事であり、後者はそれが不可能なものだ。前者は保険や費用-便益分析の領域にある。では後者は? テロ行為が取りうる非常に広い日時・場所・方法について確率を算出できるものは誰もいない(明らかにありえない可能性は除外されるとしても)。それでもなお、われわれはテロリスト対策を実行せねばならない。つまりわれわれは、不確定性をリスク同様に扱うことを強いられている。

そして最後に、こうした不確定性に対して聞き入れられるべきは誰の意見かという問いがある。寄せられた数々のコメントから、特定の分野に関する知見という意味では、議論に参加する諸氏が非常に広い範囲を網羅していることは明らかだった。別の言い方をすれば専門家と総合家の混在だ。わたしは総合家だ。一部の人は、わたしが事件を審理したり、法的トピックについて執筆や経済的分析をしていないときに扱っているほとんどの分野について、わたしは口出しすべきではないと考えているようだ。だが不確定性の領域、最善の対応を公式化することができない領域では、総合家の声こそ聞かれる価値があるのではないだろうか。そうした領域では、専門家は正確な知識や合理的な方法論よりもむしろ直感と偏見によって行動する傾向がある。われわれは本当に、情報の収集および分析システムのデザインを諜報活動の専門家に委ねたいと思っているのだろうか? その専門家とは結局誰のことなのだろう。かれらの意見は一致しているのか? もしそうでなかったら、われわれはどうすればよいのだろう?

この場は質問を残して去るのが正しいように思える。言葉の上の問いに過ぎなかったとしても。

愉快な経験だった。Au revoir.

[オリジナルポスト 8月29日午後9時32分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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