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Tu Quoque (“お前もな”) (II)

2004/09/07 16:04
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Richard Posner判事によるゲストBlog)

いつものように、興味深いコメントが集まっている。わたしがラリーのゲストBloggerを務める最後の日でもあり、コメントに答えることに集中しよう(残念ながら、すべてに返答することはできない――そしてもちろん、一部のコメントは他のコメントによって十分に答えられている。コメントの多くの質の高さと対話的なありかたには感銘を受けた)。

コメントを寄せたひとりは、コペンハーゲン合意が地球温暖化を最下位に置いたというわたしの発言を訂正してくれた。ひとつには、問題のリストは非常に不完全だった(これについては後ほど続ける)。もうひとつ、出席者に求められたのは問題への対策に順位をつけることであって、問題そのものにではない。経済学者たちは地球温暖化に対して京都議定書を含む三つの対策を与えられたが、そのどれもお気に召さなかった。

それにしてもなんと奇怪なやり方だろうか。経済学者たちにかれらが思いつく最善の対策を順位付けるよう頼むのではなく、すでに作られた案を手渡して評価させるとは。これでは評価される対策の選択を通じて、主催者は結果の大部分をあらかじめ決定することができてしまう。

また別のコメントの質問は「地球温暖化が世界でもっとも深刻な問題だと考える根拠は? 何もないはずだ」。いや、それはわたしの考えではない。会議の参加者たちは短い、むしろ奇妙なリストをあらかじめ与えられており、かれら自身が考えるもっとも深刻な問題は何かと聞かれていたわけではなかった。問題のリストはエイズ・マラリア・栄養失調だけでなく、たとえば水の衛生や貿易障壁といったものまで含んでいた。そのリストから選べというなら、わたしには地球温暖化が最も深刻な問題と思える。だがリストにある対策を実行すべきとも、ほかのどんな対策を選ぶべきともいっていない。すべては費用対効果次第だ。地球温暖化に対処するには非常に多くの費用がかかるだろうことを考えれば、もしかしたらわれわれは何もすべきではないのかもしれない。だがわたしは、この場所では十分に説明することはできないが、本では詳細に述べている複数の理由から、われわれはなんらかの手を打つべきだと考えている。

もし世界にとって最も深刻な脅威を列挙しろと言われれば、地球温暖化も含めるが、その他にもバイオテロリズム、核テロリズム、核拡散、生物多様性の損失、サイバーテロリズム、ナノテクノロジー、人工知能/ロボット工学、そして小惑星の衝突を加えよう。

小惑星の衝突? 他の銀河系から宇宙人が侵略してくる心配もしているのかというからかいのコメントがあることだろう(答えは否だ)。だが実際には、大災害をもたらす隕石衝突の確率は低いものの、期待費用はNASAがNEOのマッピングに毎年費やしている400万ドルを上回っている(NEOはNear Earth Object、地球近傍天体を意味する。たとえば地球の軌道と交差する小惑星など。これに関するよい議論としては英国科学省が任命したタスクフォースによる報告書を参照)。直径60メートル程度の隕石がシベリア上空で爆発し、水素爆弾ほどの衝撃を与えてから一世紀も経過していない。幸運なことに、現在までに判明している唯一の被害者は地元のトナカイたちだけだ。だが次回の小惑星はトナカイを避けてロサンゼルス上空で爆発するかもしれない。もちろん確率は低い――都市は地表のごくわずかな面積しか占めていないからだ。だがわずかに大きい小惑星であれば、落下地点に関わらず大津波・ファイアストーム・衝撃波によって千万から億単位の犠牲者を出しかねない。破片と塵の厚い雲は光合成を阻害し、破滅的な温暖化のきっかけとなる可能性すらある。

世界的な危機の数々を調査し、期待費用によって順位付け、費用対効果の妥当な対策を(もしあれば)分析することは非常に重要なプロジェクトとなるだろうし、経済学者はそこで欠かせない役割を果たすことだろう。だが「コペンハーゲン合意」は、そのような重大事のパロディにしか見えない。

[オリジナルポスト 8月29日午後1時30分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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