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地球温暖化 (II)

2004/09/02 17:46
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Richard Posner判事によるゲストBlog)

優れたコメントが届いている。ほとんどは前回のポストに肯定的なものだが、一部には懐疑的な声もあった。いわく、気候モデルは複雑である、気候科学は不確実だ、専門家が間違っていることもある、といった主張だ。すべてその通り――だが懐疑的な文献を読むにつれ、わたしは喫煙と健康の関連を巡る1960年代の論争を思い出した。健康への深刻な悪影響を示す証拠はすでに非常に強かったにもかかわらず、一部には煙草産業からの資金援助を受けていた懐疑論者たちは次のような主張をした:証拠は統計的なものであり、ニコチンやタールが肺組織の変質をもたらすメカニズム等は十分に解明されていない。それらが解明されるまで、健康への影響について確実なことは言えない――言外の主張は、よってわれわれは何もすべきではないというものだ。似たような申し立ては今も、多くはエネルギー企業やそこから金を受けとっている人々によってなされている。かれらもまた、不確実であるゆえにわれわれは何もすべきではないとほのめかす。

これは意味のない非推論だ。われわれが確実性に基づいた行動という贅沢を享受できることはほとんどない。動脈瘤の手術をしなければ99%の確率で一週間以内に死亡すると告げられたとき、確実でなければ行動しないと答えるのは愚か者だ。前回のポストでは刑事罰を受ける可能性が1%あれば一定の著作権侵害を抑止できると書いたが、思いとどまるのは愚か者だけだと述べたわけではない。

愚かなのは、少数派の科学者が地球温暖化の恐れをあざ笑っているという理由から、われわれは問題を無視すべきであると結論することだ。懐疑派の言い分の根拠に目を向けてみれば、むしろ地球温暖化を一層警戒することになるだろう。なぜなら、かれらの主張の大部分は気候には深甚な不確実性が存在することに基づいているが、不確実性はどちらにも作用するものであり、リスクの減少よりもむしろ増大を意味するからだ。例を挙げれば、懐疑派たちは先史時代のある時期(およそ一万年前)洞窟人たちがSUVを乗り回していたわけでもないのに大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇したことがあると指摘する。確かに事実だ。そしてもしそのような非人為的な急上昇が現在の人為的上昇と同時に発生すれば、われわれは本当に厄介な状況に陥ることになる。

前回のポストでリスク回避について軽く触れた。もし100ドル確実に支払う方が1%の確率で9999ドルの損失を被るよりも良いと思うなら、そして期待費用が99.99ドルに過ぎないとしてもそう考えるのならば、あなたはリスク回避型ということになる(100ドルを保険料と考えればよい)。起こりうる結果の分散が大きくなるほど、リスク回避型はより多くの不安を感じるだろう。気候についての不確実性が増すほど、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が招くかもしれない結果の幅も大きくなる。(他の温室効果ガス、たとえばメタンについても同様だ。メタンは二酸化炭素よりもなお保温効果が高く、アラスカとシベリアの永久凍土が融けることによってますます多くの量が放出されている。危険なフィードバック効果は想像できるだろう――大気中のメタン濃度上昇が地表の温度上昇を招き、さらに融けた永久凍土がさらにメタンを放出し…)。よってリスク回避型の人間は――地球温暖化が招く可能性のある災厄のレベルを考えればわれわれのほとんどがそうなのだが――単に人類の活動以外にも気候に影響を及ぼすものはあるという程度の根拠しか持たない懐疑派によって安心させられることはない。そうした要因は人類の活動による影響を相殺する可能性と同様に加速する可能性もあるのだ。

[オリジナルポスト 8月26日午後10時06分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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