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CNET Japan ブログ

リサーチツールの特許化

2004/08/30 10:07
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Richard Posner判事によるゲストBlog)

シカゴ大学ロースクールの優秀なIP学者Doug Lichtmanは、わたしが特許のフェアユースについて軽く触れた部分に鋭い異議を唱えている。かれのメールにいわく、「特許のフェアユースについての言及は……ひとつの単純な理由で問題があります。つまり、研究ツールの主要な市場は他の研究者への販売であることが多いため、仮に研究者による研究ツールの利用がフェアユースとなれば、そもそもそうしたツールを作るインセンティブを大幅に減退させることになるでしょう。さらに、もしあなたの提案が機能したとしても、Bayh-Dole法の直感と深刻な齟齬をきたすことになります。すなわち、学術研究者がその研究成果を特許化した方が、社会にとってより福利が大きいとする考えです。ご存じの通り、連邦の援助を受けた大学が研究成果を特許化することを認め、産学連携を推進したBayh-Dole法は、大学でブレークスルー的成果が発見されながら(a)かつてのNIHのルール下では大学に独占権がないため、(b)大学にとって産業界の注意をひくインセンティブが低いため、といった理由で活用されてこなかったという証拠を受けて制定されています。いずれにせよ、特許フェアユースおよび研究例外は重要なトピックですが、あなたの短い裁定は多くの難しい問題を不当に避けているように思えます。」

これらは難しい問題であり、この場で十分な判断を下すことはできない。Lichtmanとわたしは学術研究への動機付けとしての特許の重要性について意見を異にしている。イノベーションに特許がもたらす効果は極めて複雑な問題だが、研究ツールの分野で起こりつつあるように特定の研究分野が特許で覆われた状況となれば、かつてのイノベーションを利用したりその上に築こうとする研究者は、ライセンス契約のための高額かつ長引く交渉を強いられることになる。よってわれわれは、製薬やその他の研究分野におけるイノベーションを促すために、特許のほかにはどのような代替手段があるのか注意深く検討せねばならない。そして代わりの手段は多数存在しているのだ――政府による助成、大学による助成(大学には独自のリソースがある――ハーバードは200億ドルの基金を保有する)、先行による商業的優位、そして商標など。

さらに、学術研究者が研究成果に特許を取得できたほうが、本当にわれわれにとって利益となるのだろうか? もしかしたらそうかもしれない。だが逆の効果を及ぼす要素は、学術研究の特許化の可能性によって、研究者が基礎研究を離れ応用へと誘導されることだ。それは長期的にはイノベーションを損なう結果を招きかねない。

[オリジナルポスト 8月25日午前10時07分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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