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フェアユースとミスユース

2004/08/29 10:16
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Richard Posner判事によるゲストBlog)

フェアユースを巡っては非常に気がかりな問題がある。法について考える人々が以前から指摘してきたような、条文の上の法と現実に受けとられる法との違いに関わるものだ。両者が乖離していることは珍しくないが、フェアユースはそのひとつの例といえる。以前の記事で述べたように、フェアユースは著作権者に害よりもむしろ益をもたらすことが多いとはいえ、常にそうとは限らない。加えて権利者は、引用などを含むある程度の無許可複製が売上げを損なわない場合でも、あるいは売上げに貢献する場合でさえ、ライセンス料を請求できると判断した場合はその利用はフェアユースではないと主張したがる。そしてさらに、フェアユースの原則があいまいなものであるため、権利者は拡大解釈を防ごうと非常に狭く解釈する傾向がある。

結果は著作権の機械的な誇張であり、著作権の範囲についての誤解を招いている。ほとんどあらゆる本の著作権ページや、映画DVDやVHSの最初にある著作権に関する警告を見てみるとよい。注意書きはほぼ必ず、作品の一部であっても出版社(あるいは映画会社)の許可なしに複製することはできないと主張している。これはフェアユースの完全な否定だ。警告を軽んじた読者や視聴者は、権利者から脅しの手紙を送られるリスクを冒すことになる。権利者に訴えられることになるのか、あるいは訴訟になったとしても、フェアユース法理の曖昧さのため結果がどうなるのかさえ定かではない。

作家や映画監督がフェアユースを望むことは多いと思われるが、かれらは自分の出版社やスタジオが厳格な著作権警察だと知ることになるだろう。出版社はみずからの本のフェアユースが拡大することを恐れているため、契約する作家が他の出版社の作品を利用することも奨励したがらない。結果として、出版社が考案した「事実上の」法がまかり通ることとなる。例えば一編の詩から二行以上を引用するには使用許諾が必要であるといった馬鹿げたルールだ。

著作権の馬鹿げた誇張の行きついた例がある:
「スラム街の学校についてのドキュメンタリーを制作していた映画作家は、生徒のインタビューを撮影中、たまたま背景にあったテレビの映像も画面に収めた。その三秒ほどの映像でどうにか見分けられるのはTV番組「The Little Rascals」の一シーンだった。番組の著作権者からその三秒の使用許可を得ない限りインタビューの場面は使用できない。権利者Hal Roach Studioとの数十回にわたる電話のやりとりの後、映画作家はスタジオの弁護士にこう告げられた。一瞬ちらりと映るだけのその映像を非営利のドキュメンタリー映画に使用するのはかまわない――使用料25000ドルを支払えば。映画作家は支払うことができず、シーン全体をカットすることになった」Jeffrey Rosen, "Mouse Trap:Disney's Copyright Conquest" New Republic,2002年10月28日、p12.
三秒間の「一瞬ちらりと」映るだけの利用は明らかにフェアユースだが、カットせずに使っていたらスタジオがどう出たか誰に分かろう。

こうした著作権の濫用にはどう対処すべきだろうか。ひとつの可能性として、わたしがWIREdata事件への判決文pp. 11-12で仮説として提案したのは、著作権の誇大な主張を著作権の悪用(ミスユース)とみなし、権利の失効を招くとすることだ。詳細な議論についてはKathryn Judgeによる興味深い論文を参照されたい。オンラインにはなっていないが彼女にメールkjudge@stanfordalumni.orgすれば入手可能だ。

根底には二つの問題がある。商業的価値のある著作権の保有者と、パブリックドメイン出版者あるいは自分の作品が大きな商業的価値を持つことは想定していない創作者との利害の非対称性、そしてフェアユース法理の曖昧さだ。この曖昧さの弊害に対しては、特定の種類の利用ならば著作権侵害の訴えから基本的に保護されるというカテゴリー的アプローチによる改善を提案した。「一瞬ちらりと」を定義できさえすれば良いのだが。

[オリジナルポスト 8月24日午後6時57分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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