(Richard Posner判事によるゲストBlog)
フェアユースについてはひとまず十分だろう。また後で再び扱うつもりだ。
諜報活動の失敗が9/11の攻撃を招いたとする9/11調査委員会の報告には興味を引かれた。報告書を書評してほしいというNew York Timesの依頼に応じたのは、国家は破滅的なリスクにどのように対処すべきかということに興味を持っているからだ。これはある意味で法と科学の問題でもある(書評は次の日曜の書評欄に掲載されるが、日曜版ブックレビューは前の月曜日にでるため、わたしの書評は今日公開されている)。わたしの本『Catastrophe:Risk and Response』は11月にOxford University Pressから刊行されるが、ゲストBlogという機会を厚顔にも本の宣伝に利用させてもらい、そこで扱われている話題のいくつかについて書くことにしよう。
ひとつはテロリズムからどのように身を守るかということだ。9/11委員会の報告書は良い読み物であり、他の美点も備えてはいるものの、その最も大きな欠陥のひとつは、9/11の再現よりも更に深刻なテロ行為のリスク、つまりバイオテロリズム、核テロリズム、そしてサイバーテロリズムのリスクを無視あるいは極めてなおざりにしか扱っていない点だ。委員会の提案は基本的に9/11の繰り返しを回避することを想定しているが、それは将来のテロリストの攻撃としてもっともありそうにないものだ――もはや意外性は失せている。テロリストにはわれわれの既に想定している攻撃しかできないと考えているなら、相手をひどく侮っていることになる。9/11日には、かれらはそんな失敗はしなかった。なぜ今になってそうしなければならないのだ?
委員会の報告書は、大統領選に関連したタイミングおよび委員による異例の宣伝(と自己宣伝)活動によって非常に大きな注目を集めた。特にNational Intelligence Director(国家諜報長官)という役職を創設すべしという大書された提案によって。
Roberts上院議員には敬意を払うものの、彼の提案は、すくなくともNew York Timesによって説明されている限りでは、報告書の問題を解決するよりもむしろ際立たせるものに思える。かれの提案はCIAを三つに分割し、そこからDIA(Defense Intelligence Agency、国防諜報局)を創設し、すべての諜報機関を新設の長官NID(National Intelligence Director)の指揮下に再編成するというものだ。かれが軍の諜報機関(陸軍、海軍etc)についてはどうしたいのかよく分からないので、NIDの指揮下に置きたがっている諜報機関の数もはっきりしないが、少なくとも15機関、多ければ18機関にもなりうる。
われわれの諜報機関は非常に多種多様なものだ。たとえばある機関はスパイ衛星の開発および打ち上げをおこない、また他の機関は国務省のために情報の分析をし、また他では衛星マッピングを、またFBIの対テロリズム部門もあり、等々。これらすべての機関をひとりの長官のもとに置くことがマネジメント的に意味をなすのか否か考察したものは誰もいないようだ。最適な管理の範囲というものは存在するだろうが、提案はそれを超過している。18もの部門をもつ政府部局が大統領に直接報告することは極めて異例だろう――各部門がわれわれの諜報機関のように多種多様に分かれている場合は特に。おそらく各諜報機関はいくつかのグループには分けられるべきだが、既にグループ分けはなされている――大部分の諜報機関は国防省の管轄下にある。Roberts議員の提案はそれらを一旦バラバラにし、改めてNIDの下に配置し直す。意義は非常に疑わしい。
そしてまた、ラリーのBlogの読者ならば特に関心をもつはずの問題もある:集中化による危険だ。もちろん、守備範囲の重なる複数の諜報機関が存在することはある程度の混沌を生む(だが限度もあり、CIA解体の混乱はそれを上回るだろう)。だがそれは同時に、異なる文化、方針、伝統、方法をもつ機関同士の競争につながってもいる。各機関がひとつの政府機関に融合させられれば、避けがたい結果は起源の異なる各部門の画一化であり、見解が大統領に採用されることを目指して努力する競争「市場」への中央管理だ。これらは果たして正味の改善につながるのだろうか? 9/11委員会による比較的控えめな集中化の提案も、Roberts上院議員によるより大胆な提案も、この何よりも重要な疑問を深く追求してはいない。すくなくとも、現時点で外部の人間に判断できる限りでは。
これらすべてを置いても、われわれはともかく何かをしなければならないという主張もありうるだろう。われわれは9/11に不意を打たれ衝撃を受けた、よって何か間違ったことをしていたに違いないという考えだ。だがそうとも限らない。わたしと妻は昨日、ある女性の夫が仕掛けた、彼女の60歳を祝うサプライズ・パーティに出席した。夫は彼女の50歳の誕生日にもサプライズ・パーティを開いている。にも関わらず、彼女は昨日のパーティにまったく不意を打たれ、まさしく声も出ない様子だった。
人を驚かせるのはたやすい。たとえひとつの国家であっても。
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