(Richard Posner判事によるゲストBlog)
前回の記事にはいくつか面白いコメントをもらった。フェアユースの原則について説明してほしいという声もあったが、それについて書こう。
特許および商標法にも類似の対応物をもつこの原則は、一定の範囲内で著作権つき作品の無断複製を許す。けしからん! わたしの車を勝手に乗り回して逮捕された若者もフェアユースだったと弁護できるだろうか? もちろん無理だが、この例は物理的な財産と知的なそれとの重要な違いをよく示している。無許可の複製を「窃盗」あるいは「海賊行為」と呼ぶような言い方によって誤魔化されている違いだ。誰かが私の車を使えば私の使用の妨げとなるが、誰かがわたしの書いた本を複製したところで、わたしは変わらず読むことも利用することも売ることもできる。売上が減って出版社とわたしの収入が減るかもしれないが、そうとも限らない――そもそも店頭で定価を払って購入する気などなかったということもある。そして本一冊を複製するのではなく、書評者が本から一段落を引用することはわたしの利益にもなる(いうなれば、私の車を乗り回す代わりに勝手にトランクに物をしまうこととは対照的だ)。そしてもし引用にも許可がいるとしたら、わたしにとって却って不利益となるかもしれない。特に著者の許可がなければ引用もできないとすれば書評の信頼性は損なわれてしまう。書評者による引用はフェアユースのひとつの例だ。
フェアユースの原則は実際の審理のなかで生まれた法理に端を発している。判例による法理の多くと同じく、条件はより包括的であり、厳密なルールよりはむしろひとつの基準を定めるものだ。議会は1976年に不器用な手を伸ばしてこの原則を「成文化」したが、これは実際には成文化といえるほどのものではなかった。議会は法廷の基準を置きかえるルールを定めたわけではなく、法廷が考慮すべき4つの要素を列挙したに過ぎないからだ。1976年の法改正はまた、ときに見過ごされるが、わたしが数限りない(そして刺激的な)「ビーニー・ベイビー」著作権裁判のひとつTy, Inc. v. Publications Int’l Ltdへの判決文で明確にしようと試みたように、それら4つの要素は必須でもなければ排他でもないことを明記している。
結果として、現在のわれわれはどんな状況におかれているのだろう。Copyright and Fair Useのような創作者へのアドバイスに見られる概観では、フェアユースとは非常に曖昧だ:「唯一のガイドラインは、著作権法に定められたいくつかのフェアユースの要素です。これらの要素は個別の利用それぞれについて、フェアユースの要件を満たすかどうか判断するために用いられます。たとえば重要な要素のひとつは、あなたの利用が著作権者の収益を損なうかどうかです。残念ながら、フェアユースの要素の判断はしばしば極めて主観的です。こうした理由で、フェアユースの扱いは非常に厄介なものとなる場合が多いといえます。」
上記のような助言は確かに真実だ――もしフェアユースが利用ごとに、4つの要素やあるいはもっと広い(そして間違いの少ない)基準、たとえば権利者の正当な利益を深刻に損なわない無許可複製は許容されるといったものに基づいて判断されるならば。だがそれは正しいアプローチではない――あまりにも曖昧すぎる。正しいアプローチとはカテゴリー的なものだ。例えば書評には評価対象の本を引用して良い、以上。(もしかしたら、本が非常に短い上に書評が非常に長いので大部分を引用してしまい、実質的に書評が本の代わりになってしまう場合があればおそらく別だが、そんな例はまだ聞いたことがない)。パロディ作者はパロディされる作品の大きな部分を複製してよい――さもなければパロディかどうか分からない――といったように。そしてPatryとわたしが信じるのは、上記のような例と同様、ある程度古い著作物の利用は、権利保有者がみずからの利害を表明するための最低限の手続きを踏んでいない場合には許容されるべきということだ。
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