お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

Groksterの勝利

2004/08/22 10:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

lessig

「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
ブログ管理

最近のエントリー

(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

GroksterはMGM v. Grokster.裁判に勝利を収めた(この“Grokster”は被告側“Streacast & Grokster”という意味で使っている。以下同様)。

分析

第九巡回区裁判所(高裁)は、法廷で示された事実に基づき、Grokster型のP2P技術はSony判例が適用される容易なケースだと判断した。Sony事件を知らない人のために書くと、ビデオテープレコーダの製造者は、VTRの使用者による著作権侵害の責任を問われないとした判決だ。言い換えれば、今回の判決はKaZaAのようなP2Pファイル共有技術はタイプライター、コピー機、VTRそして鉛筆とおなじ範疇に入るとした。これらのどの道具も使用が製造者によって監督されず、合法違法いずれの目的にも使うことができる。どれも製造者に著作権侵害の責任を負わせることはない。

法廷の意見は法というよりも事実についてのものだった。基本的には、二つの重要な事実認定がこの裁判を決した。まず、法廷はP2Pが「実質的な非-侵害用途に使用できる」と認めた:

「(下級審の)記録を精査すれば、非侵害用途の可能性という重要事実を疑うべき理由が存在していないことが示される。事実ソフトウェア会社側は、本ソフトウェア上で自分の作品が流通することを許可している者、あるいはパブリックドメイン作品の配布に本ソフトウェアを使用している者から寄せられた多数の証言を提出した。[P2P音楽流通で成功した著名バンドwilcoの例]。…すなわち、開示された証拠から、本ソフトウェアが実質的な非侵害用途を持つこと、よってソニー・ベータマックスの判例が適用されるとした下級審の判断は極めて正しかったということができる。」

二つ目の事実認定上の争点は、Groksterはユーザによる侵害行為に「寄与」したかどうかだ。法廷はGroksterが「場および設備」を提供していないことを認めた:

「[Grokster他は]アクセス提供者ではなく、またファイルストレージもインデックス管理も提供しない。ネットワークを作りアクセスを提供するのはむしろ(…)ユーザである。」いうまでもなく、これがNapster訴訟との大きな違いだ。Napsterはインデックスおよび侵害行為のための「場と設備」であるサーバを提供していた。

これら二つの事実があれば、ソニー判例に基づく勝利はすぐに導かれる。Napsterと比較したKaZaAのデザイン、およびその提示に成功したEFF(電子フロンティア財団)のGrokster弁護団(Fred von Lohmannもそのひとり)、これがGrokster勝利の理由だ。

判決は著作権がイノベーションに与える影響を意識して書かれている。つまり、ハリウッドの言葉ではなくシリコンバレーの言葉で書かれているということだ。法廷意見には「海賊行為」という言葉も「盗み」という言葉も使われておらず、むしろ経済学者のシュンペータによって書かれたかのようだ:「新技術の登場は常に旧マーケットにとって、特に既存の流通機構を通じて作品を売る著作権保有者にとって混乱をもたらす」。長期的に見て、レコード業界が打撃を受けることは問題だろうか? 大した問題ではない、と法廷は示唆する:「時間と市場の力が利害に均衡をもたらすことは歴史が示している。新技術が自動ピアノであろうと、コピー機、テープレコーダ、ビデオレコーダ、パーソナルコンピュータ、カラオケマシン、あるいはMP3プレーヤであろうと。」

法廷意見にも弱点がないわけではない。特に最高裁による再審理を考えたときは。もっとも顕著な弱点は「目隠し(blind eye)」あるいは「意図的な盲目(willful blindness)」の問題だ。見方によっては、Groksterが責任を免れたのは特定のファイル交換に対してコントロールを及ぼすことができないP2Pネットワークを周到に作りだしたからともいえる。もし著作権侵害を止めることができるネットワークをわけなく構築できるのなら、Groksterは法を「すり抜け」ようとしている、あるいは寄与している著作権侵害について「意図的に目を閉ざして」いることの責任を問われないだろうか? これがPosner判事によるAimster判決との重要な差だ。Posnerは「疑わしい行為に関与していると知りながら、あるいは強い疑念を抱きながら、関与する行為の性質や範囲を完全に知ることがないように進んで行動したものは[責任を免れ得ないとみなされる]」。ある意味では――特定の侵害行為について知ることも、また止めさせることも不可能なシステムを周到に構築したこと――こそGroksterがおこなったことだともいえる。

これが弱点といえるのは、この問題への控訴審の扱いが通り一遍のものでしかないからだ。「独立した責任理論としての「意図的な盲目」論、あるいは代位責任の要素は存在しておらず…」。最高裁まで進めば、この問題が全力で争点とされることになるだろう。もちろんGroksterは、「意図的な盲目」こそよりよいP2Pのデザインであり、著作権侵害の責任を逃れる意図ではないと主張することもできる。

しかし、いまは結果に戻ろう。P2Pファイル共有技術のデザインと販売はカリフォルニアでは合法と判断された。この合法化が広まるかどうかは最高裁への上訴(これについては後ほど)、および議会と呼ばれる場所、Induce Actと呼ばれる法案にかかっている。

[オリジナルポスト 8月19日午後12時31分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー

個人情報保護方針
利用規約
訂正
広告について
運営会社