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敗者のパラドックス

2004/08/19 23:00
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

政府のふるまいを研究する経済学者たち(公共選択理論)は、1970年代以来「敗者のパラドックス」に興味を抱いてきた。これはわれわれの著作権や電気通信法の内容を説明する手がかりにならないだろうか。

経済学者たちは、政府による援助のおどろくべき割合が、拡大している産業ではなく斜陽産業に割り当てられていることに気づいた。典型的には農業・織物・衣類・履物そして鉄鋼と造船などが永続的な生命維持に頼って生きながらえている産業だ。いずれも数十年にわたって衰退を続けているが、他のどの産業よりもおおくの政府援助を受けている。逆に成長分野、たとえばハイテク産業などは、そもそも得られるとして非常に希にしか政府の手助けは得られない。つまり経済学者たちが結論したのは、政府は敗者を選ぶということだ。

なぜこうなるのかについてはいくつかの説明がある。経済学者Anne Krugerと結びつけられている説は、政府には「アイデンティティ・バイアス」がある――政府は職に就けない人々よりも職を失う人々の方を心配する――というものだ。経済学者Richard E.BaldwinとFrédéric Robert-Nicoudによる説では、敗者は市場参入の心配をする必要がなく、ロビー活動により力を入れるからとする。結果は「政府方針が敗者を選ぶのではなく、敗者が政府の方針を選択する。」

理論はこの通り。敗者のパラドックスは、著作権法や通信法の内実を説明する手がかりになるだろうか? わたしは長くそう考えている。理解すべき決定的に重要な点は、衰退しているのは娯楽でもコミュニケーションでもないということだ。人々はおそらく過去のいつにも増して娯楽に時間と金を費やしたがっている。脅威に晒されているのはむしろ、特定の技術や流通のチャネル――もっとも明白なのはあのきらきらする円盤のモデルだ。そうした斜陽産業は政府による保護をひっきりなしに要求し、手に入れている。

このような見方をすれば、たとえば一方のInduce Act(著作権侵害“誘発”禁止法案)と、もう一方のトウモロコシ農家への補助金にはたいした概念上の差がないことが分かるだろう。どちらの場合も、より競争力のあるライバルの登場を遅らせようと死に物狂いになっている産業が対象だ。そして真実は、両者ともすでに緩慢な死を迎えつつあるということだ。その腐敗がわれわれの経済を毒している。

[オリジナルポスト 8月17日午後10時59分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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