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黒白

2004/08/10 13:00
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「CODE」「コモンズ」等の著書や「クリエイティブ・コモンズ」などで知られるスタンフォード大学ロースクール教授ローレンス・レッシグ氏のBlogの日本語版。著作権や特許などの知的所有権の問題やオンラインカルチャー関連のトピックスを紹介します。
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(Timothy Wu教授によるゲストBlog)

時折、明らかに間違っていると思われている事柄を真顔で擁護する人間が現れる。かれらは例えばホロコーストは無かったとか、奴隷たちは実は奴隷制を望んでいたかもしれないとか、ある程度の拷問は政府の方針として問題がないなどと主張する。オーウェルはこの戦術を「ブラックホワイト」、あるいは「党の規律が要求すれば、黒は白と心から言える事」と呼んだ。さらには「黒は白と信じ込む能力であり、更に黒は白だと認識する能力であり、そして其の反対をかつて信じていたことも忘れてしまう能力を意味する。」

ジャーナリストMichelle Malkinはまさにこの通りの本を出版した:二次大戦中に7万人以上の米国市民が住処を追われ、幽閉されたことを擁護し正当化しているのだ。『In Defense of Internment』(強制収容を擁護する)と題されたこの本は、政府が当時日系人を駆り集めたことは正しく、よって現在アラブ系アメリカ人に同じことをするのも正当だと主張する。強制収容は過ちであったという主流の(レーガンの謝罪で示された)考え方を、Malkinは「陰謀」と呼ぶ。

たしかに希には、当然と思われていたことが実は間違いだったという例もある。たとえばボーアの原子モデルのように。だがそれよりも、反証によって正常な感覚が取り戻されることの方が多い――われわれは黒が実際に黒であると思い出し、分別を取り戻す。今回その役目を果たしたのは今週の必読Volokh Conspiracyの記事で、二人の歴史学者が問題の本をあらゆる角度から論破している。Malkinは結局アインシュタインではなく、むしろAhmad Chalabiだったのだ。

歴史学者Greg Robinsonが結論付けたように、「Malkinの本は有用な歴史研究とはいえず、注目を引くためにセンセーショナリズムと誇大表現に頼った論争狙いの著作といえる」。あるいはEric Mullerの言葉では、「たしかにこのようなやり方で“論争を引き起こす”ことは――少なくとも事実に基づかない論争を呼ぶことは――できるだろう。だがこのやり方で“歴史を書き換える”ことや、人々が信頼するような形で歴史を報告することはできない。単純に不可能であり、信頼できるものではない。」

だがいま問題となっているのは、歴史的正確さや一人の下らないジャーナリストのキャリアよりもっと重要なことだ。戦時に憲法が果たす役割は、Korematsu裁判への判決は誤りであったというコンセンサスによって示されている。ありがたいことに、すぐに忘れられるであろう一冊の本によってこのコンセンサスが揺らぐことはありそうにない。ラディカルになりたければ、それだけの実質が必要だ。

[オリジナルポスト 8月5日午後11時49分]
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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