最終更新時刻:2009年11月7日(土) 10時00分
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「科学と有用な技芸の発展を促すために」

公開日時:
2004/06/10 17:12
著者:
lessig_blog

さらにJerry Lobdillから。現在の著作権法によるかれ自身の体験について。

わたしは小さな事業を手がけている。関心がある分野のひとつは小規模な出版だ。たくさんのことに興味を引かれる質なので、扱ってみたい主題も多岐に渡っている。そのひとつは米国史、なかでも西部開拓の時代についてだ。

わたしは以前、開拓時代の西部を学ぶ人間にとって非常に重要なある絶版本を発見した。その本は1928年の初版以来刷られておらず、ごく僅かな部数しか現存していない。著作権は1955年に著者単独の名義で更新手続きがとられており、現行法の下では2022年までパブリックドメインにはならない。(わたしの調べたところでは、2019年になるまでかつて公表された著作物のどれひとつとしてパブリックドメイン入りすることはない)。しかし著者は1963年に世を去っており、子はなく、妻も1976年に亡くなっている。妻の遺言はどんな著作権についても触れていない。わたしは著者の遺言の写しを入手しようとしているが、まだ目にすることはできていない。著作権局に有料の調査も依頼したが、記録にあるのは著者が1955年に著作権を更新したということだけだった。書類には著作権の譲渡については何も記載されていなかった。

何か情報はないかとオリジナルの出版社に問い合わせてみると、その本については何も知らないというのが最初の回答だった。だがそのうち問題の著作権はおそらく我々が所有しているが確認のために調査中だと言いだし、その次には確実に所有していると主張した。法律で著作権の譲渡に必要とされている文書の写しを求めると、社の方針として「私的機関」に対してそうした情報を開示することはできないという。わたしが問題の本を再出版したいと思っていること、著作権局にある更新の記録には著者の名義のみが記されていること、出版権のための交渉を進めるにはそちらの主張の根拠が必要だということを説明すると、わたしは出版者として小規模すぎて交渉相手の資格がないと告げられた。

そんなわけでわたしは、譲渡を示す証拠はどこにもない書類の山を抱えたまま行き詰まっている。著作権局には所有権の移転を示す記録は存在せず、わたしは出版社が嘘をついている可能性はかなり高いのではないかと感じている。もしそうだとしても、現代の環境では珍しいことではない。おそらくかれらは、わたしが何の証拠もないまま取引を持ちかけることを期待しているのだろう。

こうした状況の結果、時間と資金を費やしたあげく手に入ったのは、著作権の所有を何の証拠もなく主張する文書だけだ。この根拠のない主張がなければ、著作権が譲渡されていたのかあるいは再出版に異議を申し立てる人間は誰も生存していないのか確認できていたことだろう。

わたしの考えでは、所有権の移転に土地や車のような実在の財産とおなじく書面を要求しておきながら、権利主張者は著作権侵害の訴訟以外ではその証拠を示す必要がないというのでは、現在の著作権法には欠陥があると思う。

もし同意するなら、この法律を手直しするためには何ができるだろうか? 現在の著作権法のありかたは偽りの権利主張に動機と見返りをあたえ、実質的にパブリックドメインとなっている著作物の理に適った利用までも阻害している。

(参照:「単純なこと」)

[オリジナルポスト 6月5日午前10時44分]

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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